清原事件に関連して「ドーピング」の話が出てきたときに、正直、じゃまくさ!と思ってしまった。問題がそちらに流れると、本質を見失うと思った。

確か、アメリカに行っている日本ハムの選手が帰ってくるときに薬物検査をすべきだというご意見が最初だったと思う。

たしかに薬物検査は、一時的には有効かもしれない。NPBは、今、一斉に薬物検査をすべきかもしれない。
そうすれば、いろいろなことがわかる可能性もある。

しかしながら、それでは「第二の清原和博」は見つからないのだ。
清原は野球界から離れてから覚せい剤所持で逮捕されたのだ。彼らをNPBは管理することはできない。

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重要な問題はNPB機構の内外に広がりつつある「裏社会勢力の浸潤」なのだ。「週刊新潮」によれば清原の覚せい剤使用は、大魔神のパーティで見られたという。このパーティの参加者がどういう顔ぶれだったかは知らないが、清原一人がシャブでキメて狂ったわけではないだろう。
そういうものを許容する空気が、野球界に漂っているということなのだ。

野球賭博をめぐる問題も、賭博行為そのもの以上に、裏社会の人間が野球界に足を踏み入れていることの方がより深刻だ。
何度も言っているが、舎弟同然となっている野球人がたくさんいるのだ。
尿検査や血液検査も必要だが、それ以上に裏社会と野球界の骨がらみの関係を断ち切るほうに、エネルギーを注ぐべきだと考える。

NPBのドーピング検査はゆるいが、MLBのように深刻な薬物汚染が進行しているわけではない。
薬物使用に関するガイドラインは厳密に決めるべきだが、それが清原のような「不良野球人」の抑止力にはならない。別の問題なのだ。

WADAのドーピングンの基準にNPBも従うべきだという意見もあるが、私一概にそうとは言えないのではないかと思う(断言はできないが)。
五輪競技のドーピングは、ロシアや中国などの民度の低い国や、その国のステートアマの国家ぐるみの不正との間で、いたちごっこになっている。そのために、異常な厳密さで検査が行われている。
日本人選手も風邪薬などを服用してひっかかることがたまにあるが、真夜中の宿泊先で抜き打ち検査をするなど常軌を逸しているのではないかと思う。

オリンピック競技の多くは、数日から1~2週間程度の短期間の競技会単位で行われる。6か月もの間、ほぼ毎日試合を行う野球とは競技の形態が全く違う。
体の手入れのために服用する薬が、五輪基準に照らせば違反になる可能性も十分にある。

MLBの薬物汚染が深刻であることは、ミッチェル・レポートで明らかになった。NPBで活躍する選手の中にも、アレックス・カブレラのように名前が載った選手もいる。ちなみにカブレラは、NPBを退いてからメキシカンリーグで薬物使用を疑われ、一時、永久追放処分になった。

しかしながら、日本ではそうした薬物汚染は、深刻なレベルにはなっていない。日本人にそういう文化がないので、ビジネスとしてもうま味がないのだと思う。

何度も言うが、今後のことを考えれば、NPBはドーピングの基準を設けて、厳格な検査を行うべきだ。

しかしそのことと、清原に端を発する問題は、別だ。ドーピング検査が野球界の「裏社会浄化」の決め手になることはないと思う。


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