ベースボール・チャンネルでも清原と江夏についてふれていたが、今回の不祥事のインパクトは、3年前の「清武の乱」に匹敵する。まさに球界を揺るがしかねない。
なぜそうなったのか、一つには清原和博の「大きさ」があるだろう。
成績的にも大選手ではあるが、清原は高校生の頃から注目度が極めて大きかった。今、当サイトで紹介している通り、甲子園では空前絶後の大活躍をしたからだが、それだけではなく、清原には常に「物語」がついてまわった。
ドラフトでの巨人の裏切り(と思われている)、僚友桑田真澄の背信(と思われている)。
西武での活躍、巨人との日本シリーズでの清原の涙、そしてFAでの巨人入団、そこからの衰退、落剝の物語と、清原自身のモンスター化。
清原は実績以上にキャラクターが“大物感”を漂わせていた。
江夏も確かに大物選手ではあったが、活躍の舞台は関西、ローカル、パ・リーグが中心であり、全国区の“大物”の印象が乏しかった。
さらに言えば清原は、成績が下落して不良資産化するのと反比例して“大物感”が増していった。野球選手としての実態が薄れるとともに故ナンシー関の言う「何様度」が上がって、それが世間の反発と好機の目を集めた。

江夏は不振の時期もあったが、先発から救援への転身を見事に果たし、キャリア晩年まで「優勝請負人」として高い評価を得ていた。実態とイメージはかい離しなかった。周囲の人はわがままぶりに手を焼いたといわれるが、少なくともファンは「400奪三振」「オールスター9連続三振」「江夏の21球」と次々と「伝説」を生み出してくれる江夏をリスペクトしていた。
引退後8年目に江夏が覚せい剤所持で逮捕されたときには、世間は大きなショックと失望を感じたが、江夏には「更生してほしい」という希望の声が多く寄せられた。
その声にこたえて江夏は見事に更生し、今は関西を中心に評論家活動をしている。
独特の節回しのその解説は、ある種の芸になっている。江夏は、選手を「○○君」と呼ぶが、そのあたりに彼が現役選手に寄せるシンパシーを感じることができる。
要するに江夏豊の「転落の物語」は起承転結がついて終わっている。そして、その物語は天才にありがちな「役者子供」のようなキャラに起因するものであり、江夏だけの話だと思われている。
しかし清原は現役時代半ばから、すでに「不良化」していた。
ろくな成績も上げていないのに徒党を組み、周囲を睥睨する。わけのわからない理由でピアスをあける。常軌を逸した豪遊をする。
球団や関係者はそういう清原を腫れ物に触るように扱い、甘やかした。おそらくはそのころから裏社会とつながり、深刻な事態になっていただろうが、周囲はそれを看過した。
極論すれば「やくざが野球をしている」ようになっていったのだ。
そして引退後の清原は、「野球」という玩具がなくなったために、暴走に歯止めが利かなくなった。
解説者か、タレントか、何ものなのかよくわからないが、とにかく異様な威圧感のあるモンスターになっていったのだ。
江夏の覚せい剤が「予想外」だったのに対し、清原の覚せい剤は「やっていないほうが不思議」だった。
多くの人は「いつになったら破滅するのか」と思いながら、清原を見つめていたはずだ。
その挙句の逮捕劇。清原の覚せい剤所持量は江夏の1000分の一だそうだが、そのショックは江夏の時よりも1000倍も大きいし、深い。
なぜなら江夏は「大選手が引退後の空虚感を紛らわすために覚せい剤に手を出した」というストーリーなのに対し、清原は「現役時代から不良化し、悪質化していった“舎弟選手”の悪事が、引退後、ついに発覚した」ストーリーだからだ。
江夏の罪は、個人に帰せられる。自己責任であり、贖罪すれば話は完結される。
しかし清原の事件の責任は、個人だけでなく、ここまでこの愚かな人間を肥大させた「球団」「球界」にまで及ぶ。
西武は、巨人は、こんな馬鹿な人間をのさばらせていたのか、野球界はやくざや裏社会とずぶずぶなのではないか。清原は氷山の一角なのではないか。野球界は、まともな業界ではないのではないか。
そう思わせたという点で、清原事件のダメージは深い。
NPBは、清原を「一部外者の犯した事件」と知らんぷりを決め込むのではなく、これを機に徹底的な調査をし、球界の浄化に努めてほしい。
2015年菊池保則、全登板成績【6年目で初の100イニング突破】
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成績的にも大選手ではあるが、清原は高校生の頃から注目度が極めて大きかった。今、当サイトで紹介している通り、甲子園では空前絶後の大活躍をしたからだが、それだけではなく、清原には常に「物語」がついてまわった。
ドラフトでの巨人の裏切り(と思われている)、僚友桑田真澄の背信(と思われている)。
西武での活躍、巨人との日本シリーズでの清原の涙、そしてFAでの巨人入団、そこからの衰退、落剝の物語と、清原自身のモンスター化。
清原は実績以上にキャラクターが“大物感”を漂わせていた。
江夏も確かに大物選手ではあったが、活躍の舞台は関西、ローカル、パ・リーグが中心であり、全国区の“大物”の印象が乏しかった。
さらに言えば清原は、成績が下落して不良資産化するのと反比例して“大物感”が増していった。野球選手としての実態が薄れるとともに故ナンシー関の言う「何様度」が上がって、それが世間の反発と好機の目を集めた。

江夏は不振の時期もあったが、先発から救援への転身を見事に果たし、キャリア晩年まで「優勝請負人」として高い評価を得ていた。実態とイメージはかい離しなかった。周囲の人はわがままぶりに手を焼いたといわれるが、少なくともファンは「400奪三振」「オールスター9連続三振」「江夏の21球」と次々と「伝説」を生み出してくれる江夏をリスペクトしていた。
引退後8年目に江夏が覚せい剤所持で逮捕されたときには、世間は大きなショックと失望を感じたが、江夏には「更生してほしい」という希望の声が多く寄せられた。
その声にこたえて江夏は見事に更生し、今は関西を中心に評論家活動をしている。
独特の節回しのその解説は、ある種の芸になっている。江夏は、選手を「○○君」と呼ぶが、そのあたりに彼が現役選手に寄せるシンパシーを感じることができる。
要するに江夏豊の「転落の物語」は起承転結がついて終わっている。そして、その物語は天才にありがちな「役者子供」のようなキャラに起因するものであり、江夏だけの話だと思われている。
しかし清原は現役時代半ばから、すでに「不良化」していた。
ろくな成績も上げていないのに徒党を組み、周囲を睥睨する。わけのわからない理由でピアスをあける。常軌を逸した豪遊をする。
球団や関係者はそういう清原を腫れ物に触るように扱い、甘やかした。おそらくはそのころから裏社会とつながり、深刻な事態になっていただろうが、周囲はそれを看過した。
極論すれば「やくざが野球をしている」ようになっていったのだ。
そして引退後の清原は、「野球」という玩具がなくなったために、暴走に歯止めが利かなくなった。
解説者か、タレントか、何ものなのかよくわからないが、とにかく異様な威圧感のあるモンスターになっていったのだ。
江夏の覚せい剤が「予想外」だったのに対し、清原の覚せい剤は「やっていないほうが不思議」だった。
多くの人は「いつになったら破滅するのか」と思いながら、清原を見つめていたはずだ。
その挙句の逮捕劇。清原の覚せい剤所持量は江夏の1000分の一だそうだが、そのショックは江夏の時よりも1000倍も大きいし、深い。
なぜなら江夏は「大選手が引退後の空虚感を紛らわすために覚せい剤に手を出した」というストーリーなのに対し、清原は「現役時代から不良化し、悪質化していった“舎弟選手”の悪事が、引退後、ついに発覚した」ストーリーだからだ。
江夏の罪は、個人に帰せられる。自己責任であり、贖罪すれば話は完結される。
しかし清原の事件の責任は、個人だけでなく、ここまでこの愚かな人間を肥大させた「球団」「球界」にまで及ぶ。
西武は、巨人は、こんな馬鹿な人間をのさばらせていたのか、野球界はやくざや裏社会とずぶずぶなのではないか。清原は氷山の一角なのではないか。野球界は、まともな業界ではないのではないか。
そう思わせたという点で、清原事件のダメージは深い。
NPBは、清原を「一部外者の犯した事件」と知らんぷりを決め込むのではなく、これを機に徹底的な調査をし、球界の浄化に努めてほしい。
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コメント
コメント一覧
私でも一瞬思い出せなかったくらいなので、世の人々には既に忘却の彼方でしょう。それに比べるとこの度の「清原の変」は仰る通り彼個人に留まらないマイナスをもたらしたと思います。
まあ、これだけゲップが出そうなほど清原に関する報道があふれている現状を考えれば、江夏との違いは明らかでしょう。江夏の時は、これほどまでに報道が多かった記憶がありませんからね。ただ、ネットの普及などで、我々が普段から目にする情報量は格段に増えていますから、そのぶん錯覚しているのかもしれません。
何より深刻で重大なのは、現役時代に薬物に手を染めていた可能性が極めて高いということでしょう。この一点において、清原と江夏の差は決定的であり、賛否は別にしても、殿堂入りの議論に大きな影響を与えるでしょう。
厳しいでしょうね。過去の人、過去の事件(現役中に使用していた場合)として球団もNPBも扱うでしょうね。
やる気があれば、広尾さんの提唱している全選手の覚せい剤検査を実施するはず。
選手・球団ともに大ダメージを受ける可能性もありますが、根を断つにはそれぐらいの覚悟が要るのではないでしょうか。
つまりNPBのドーピング検査はやっていないかやっているならザルだって証明しているわけだし。それか黙認、隠蔽なり、どちらにしても、処分、追放なりをその時に何もしていなかったことが明らかになりそうだからなんです。そして、その上に東京オリンピック競技復帰とか、王さん、長嶋さん、コミッショナー、大谷とかの有名選手が目指しているから余計にタチが悪い。何かNPBから声明、当時の関係者、長嶋さんなり、高橋監督なりの人が言えば落ち着くかもしれませんけどね。
あくまでも所持
彼は本物の強面で、清原みたいな下っ端構成員キャラとはまるで違う
いい悪いは別にして、江夏は野球を本気で好きなんだと思う
清原は、金と車と女が手に入れば、野球でなくても別に良かった
ちやほやされれば満足だった
だから、あんな成績でも恥じることなく、平気で高額年俸を要求できた
清原が野球を好きだったとしても、野球よりずーっと、巨人で手に入れられるだろうステイタスの方が遥かに好きだったのは間違いない
たとえメジャーに行く道があったとしても、常に「金女車おべんちゃら」が目的なんだから、無理だと思うよ
野球に問題があるとか球団に問題があるとか以前に、どう育成しても無理だったレアキャラだよ
ただ、野球というスポーツの特性のせいで、あそこまで持った、とは言えるかも知れない
打者(特に一塁手)は、ハードワークを余り求められないからね
彼の人生はPLで狂ったのか、西武で狂ったのか、巨人で狂ったのか…。 それはもう分かりませんがね。 フロントが馬鹿正直に「ウチに在籍してた時にやってたよ」なんて言うわけも無く、真相が明かされる事など無いのでしょう。ただ、野球界への信頼は賭博も併せてガタ落ちでしょうね。
大麻を大量に所持していて初版で実刑くらった人間のクズです
いいたいことあるんやったらHNで書け。へたれ。