プロ野球もJリーグも観客動員の仕組みはよく似ている。

どちらも、ライトユーザーの数は少なくなっている。BSやCSなどで試合を熱心に見る層、そしてファンクラブに入って、常に球団、チームから情報を得ているような層。

プロ野球やJリーグはファンクラブ会員に実にきめ細かな情報発信をしている。
「あなたが今年観戦した試合の勝率は0勝0敗」
「今日はあなたが好きな○○選手が先発します」
「あなたの誕生日にはスタジャンをプレゼント」
そういう形で、個別にアピールすることで来場を促している。

また「親子デー」「彼女と観戦デー」など客数を上げるためのキャンペーン展開も積極的に行っている。
プロ野球は、「カープ女子」などのイベントも功を奏し、観客動員は増加したのだ。

営業担当の努力は涙ぐましいばかりだ。
こういう形で、リピーターを増やすことでプロ野球もJリーグも観客動員を図っている。

しかし、ありていに言えば、それは「限定的なコアファンを回すことで大きな数字を作っている」ということだ。

実際にプロ野球やサッカーの試合を観戦する人の数は限られている。試合を見に行くような熱心なファンは、実際にはそれほど多くないのだ。
プロ野球中継、サッカー中継の視聴率が低いのは、そのためだ。
サッカーや野球の愛好者の数は、今でも決して多くないのだ。

それでも今の状態が続いているうちは、Jリーグはともかく、プロ野球は安泰だ。少ない客を回していくのは、販促的にも効率が良い。
しかし、ファンは歳月とともに高齢化する。観戦機会は少なくなり、引退していく。コアなファン層にも新陳代謝が起こらなければならない。

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その部分で、Jリーグとプロ野球は大きく違うのだ。

プロ野球はこれまで、地上波放送のメインコンテンツだった。巨人戦を中心に、プロ野球は「メジャースポーツ」として君臨してきた。
これまでの世代は地上波テレビを通じて、プロ野球のことを知っていた。またそれを見に行くことの晴れがましさ、バリューも知っていた。もちろん、野球のルールも知っていた。
BS、CSがなく、ファンクラブの活動がここまで発達する以前は、地上波でテレビを見た層が、何かのきっかけでプロ野球を観戦するようになっていたのだ。
しかし、その循環は昨今のプロ野球の地上波放送のほぼ絶滅にともなって、途絶えてしまっている。
今はプロ野球中継が契機となって野球観戦を始める層は激減している。
そして他に、ファン層の新陳代謝を促す明確な手段はない。

これまでも述べてきたように、少年層の野球競技人口は激減している。また、野球に親しむ子供、野球が好きな子供は、今や少数派になっている。
少年世代では野球はマイナースポーツになっている。
ファンクラブに入って、熱心に球場に駈けつける若い世代は、激減するものと思われる。

Jリーグも当初は、地上波放送を重要な訴求の手段としていた。
しかしサッカーは日本では長くマイナースポーツであり、野球程には理解が進んでいなかった。
1998年に日本が初めてワールドカップに出場するとサッカー人気は沸騰した。
一時的にJリーグも人気となり、試合中継の視聴率も上がったが、日本のファンは次第に「ワールドカップなどの国際試合」と「Jリーグなどの国内試合」を区別するようになり、ワールドカップで盛り上がってもJリーグはお客が入らなくなった。

11年前にJリーグの地上波放送はなくなった。
それ以降、Jリーグは地上波メディアに頼らないマーケティングを続けてきた。
さらに、サッカーの競技人口、愛好者人口を増やすためにさまざまな努力を続けてきた。
サッカー界は、実質的に一枚岩になっている。プロもアマも共同で、子供世代の掘り起こしを行った。

その結果として、10代以下ではサッカーが好きな子供が、野球の2倍近くいる。その上女子サッカーも人気となったため、女子でもサッカー愛好者が増えている。このあたりが野球とは決定的に違う。

この世代の何割かは成人して、サッカーファンになっていくものと思われる。

スポーツは地上波テレビでは国際大会を除いてほとんどすべてが「オワコン」ではあるが、野球とサッカーの将来性は異なっている。

現時点でJリーグは人気、経済力においてプロ野球よりも大きく劣っている。
現状を見ていれば、信じられないかもしれないが、将来性では明らかにサッカーの方が上だと思われる。

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