今、野球界の問題についての本を書く準備をしている。その比較をする目的で、サッカー界についてもいろいろ読んでいるのだが、その体質の差は非常に大きいと言わざるを得ない。
Jリーグは、2015年から2シーズン制に戻して、ポストシーズンも復活した。
この目的は、ひとえに観客動員と、放映権料など事業収益の増大のためだ。
本来、サッカーは半年間のシーズンをかけてリーグ戦を行う。週末ごとの試合によって優劣を競い、最終勝利者を決めるものだ。
それを2シーズンに割って、ポストシーズンをもうけるのは、プロサッカーリーグとして邪道であるという意見が根強くあった。
それだけに、2013年、この制度変更が発表されたときには、大きな反響があった。
強豪チームのサポーターの中にはスタジアムに「さようなら」という横断幕を掲げたところもあったという。
この変更には選手の側からも多くの異論があった。
Jリーグの大東前チェアマンら当時の首脳陣は、方向性は堅持するとしたものの、制度変更の発表があまりに唐突すぎたこと、そしてサポーターや選手に十分に説明をしなかったことを反省して、その後、話し合いの機会を持ち、コミュニケーションを深める努力もした。
この制度変更の根底には、スポンサー料や放映権料の維持が困難になっていることがあった。Jリーグのスポンサードは発足以来博報堂が仕切ってきたが、近年はオフィシャルスポンサーが予定の枠数に達しない状況が続いていた。博報堂との契約は包括的なものだったために、博報堂は不足分を自腹を切っている状況だ。近年になって博報堂は、専属広告代理店の座を降りて、電通も参入するようになったが、これはやむにやまれぬ状況からだった。
さらにテレビの放映権料も、地上波民放の中継がなくなって以降、CSのスカパー！が担っているが、これも赤字である。
Jリーグとしては、これら赤字で頑張っているパートナー企業に報いるためにも、リーグ戦の盛り上がりを作り、ポストシーズンという新たなイベントを作る必要があった。
Jリーグはこの経緯をすべて一般にディスクロージャーし、サポーター、選手、スポンサーなどに理解を求めた。
その結果、今年、Jは今季観客動員最多を記録。久々の地上波での中継も復活し、収益的にも改善したのだ。
この経緯を知るにつけ、NPBとは何たる違いだろうと思わざるを得ない。
Jは、サポーターあってのJリーグだという認識がある。そのために、機構としてもサポーターと常に対話しようとしている。
また、何らかの変更を行う上では、選手の理解も得ようとする。プレイヤーファーストが本当に行われているのだ。
NPBは、ルールや制度の改革において、選手の意見を聞いたことはない。
11年前の「球界再編」の際に、当時の渡邊恒雄巨人オーナーが、面会を求める古田敦也選手会長を「たかが選手が」と言ったのは有名だが、球団経営者にとって選手は奉公人か何かだと思っている。
ましてやファンの存在が、NPBによって語られたことはない。
千葉ロッテマリーンズでバレンタイン監督の解任騒動が起こった際に、ファンは団結して声を上げたが、それが球団を動かすことはなかった。
NPBが動くのは、ファンや選手の意向ではなく、力関係の上で発言力の強いものの意向による。
それ以外では、何もしない。
今回の清原の件でも、NPBはだんまりを決め込んでいる。
昨日、NHK外見を求めた時も
「コメントのしようがない」と言っただけだ。
清原和博の件とは一切関係がないという姿勢なのだ。
もちろん、サポーターとコミュニケーションを取るのはさまざまな困難が伴う。
声高に意見を言うサポーターの中には、クレーマーのような連中もいる。憂さ晴らしをするかのように言いたい放題するものも多い。
低姿勢に出れば、彼らを増長させかねない。
しかしながら、プロスポーツが「観客」「ファン」に支えられているのは事実だ。ファンこそが最大のステークホルダーだという認識がなければ、今後の展開は見えてこないのだ。
NPBは日本最大のプロスポーツとして、圧倒的な優位を維持してきた。
野球は日本で最も人気のあるスポーツだった。
その期間があまりに長かったために、「自分たちが社会から見放されるかもしれない」という可能性に思い至ることがなかった。
NPBはお客の財布からお金を取ることには熱心だ。一生懸命販促をしてリピーターを募っているが、ファンのことをステークホルダーとか、運命共同体だとは思っていないのではないか。
根底ではいまだに、
「いやなら見なけりゃいいんだ。ファンなんていくらでもいる」と思っているのではないかと思う。
この認識が改まるのも、ずいぶん先のことになりそうだ。
1951年江藤正、全登板成績【最多勝でパ・リーグ初優勝に貢献】
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この目的は、ひとえに観客動員と、放映権料など事業収益の増大のためだ。
本来、サッカーは半年間のシーズンをかけてリーグ戦を行う。週末ごとの試合によって優劣を競い、最終勝利者を決めるものだ。
それを2シーズンに割って、ポストシーズンをもうけるのは、プロサッカーリーグとして邪道であるという意見が根強くあった。
それだけに、2013年、この制度変更が発表されたときには、大きな反響があった。
強豪チームのサポーターの中にはスタジアムに「さようなら」という横断幕を掲げたところもあったという。
この変更には選手の側からも多くの異論があった。
Jリーグの大東前チェアマンら当時の首脳陣は、方向性は堅持するとしたものの、制度変更の発表があまりに唐突すぎたこと、そしてサポーターや選手に十分に説明をしなかったことを反省して、その後、話し合いの機会を持ち、コミュニケーションを深める努力もした。
この制度変更の根底には、スポンサー料や放映権料の維持が困難になっていることがあった。Jリーグのスポンサードは発足以来博報堂が仕切ってきたが、近年はオフィシャルスポンサーが予定の枠数に達しない状況が続いていた。博報堂との契約は包括的なものだったために、博報堂は不足分を自腹を切っている状況だ。近年になって博報堂は、専属広告代理店の座を降りて、電通も参入するようになったが、これはやむにやまれぬ状況からだった。
さらにテレビの放映権料も、地上波民放の中継がなくなって以降、CSのスカパー！が担っているが、これも赤字である。
Jリーグとしては、これら赤字で頑張っているパートナー企業に報いるためにも、リーグ戦の盛り上がりを作り、ポストシーズンという新たなイベントを作る必要があった。
Jリーグはこの経緯をすべて一般にディスクロージャーし、サポーター、選手、スポンサーなどに理解を求めた。
その結果、今年、Jは今季観客動員最多を記録。久々の地上波での中継も復活し、収益的にも改善したのだ。
この経緯を知るにつけ、NPBとは何たる違いだろうと思わざるを得ない。
Jは、サポーターあってのJリーグだという認識がある。そのために、機構としてもサポーターと常に対話しようとしている。
また、何らかの変更を行う上では、選手の理解も得ようとする。プレイヤーファーストが本当に行われているのだ。
NPBは、ルールや制度の改革において、選手の意見を聞いたことはない。
11年前の「球界再編」の際に、当時の渡邊恒雄巨人オーナーが、面会を求める古田敦也選手会長を「たかが選手が」と言ったのは有名だが、球団経営者にとって選手は奉公人か何かだと思っている。
ましてやファンの存在が、NPBによって語られたことはない。
千葉ロッテマリーンズでバレンタイン監督の解任騒動が起こった際に、ファンは団結して声を上げたが、それが球団を動かすことはなかった。
NPBが動くのは、ファンや選手の意向ではなく、力関係の上で発言力の強いものの意向による。
それ以外では、何もしない。
今回の清原の件でも、NPBはだんまりを決め込んでいる。
昨日、NHK外見を求めた時も
「コメントのしようがない」と言っただけだ。
清原和博の件とは一切関係がないという姿勢なのだ。
もちろん、サポーターとコミュニケーションを取るのはさまざまな困難が伴う。
声高に意見を言うサポーターの中には、クレーマーのような連中もいる。憂さ晴らしをするかのように言いたい放題するものも多い。
低姿勢に出れば、彼らを増長させかねない。
しかしながら、プロスポーツが「観客」「ファン」に支えられているのは事実だ。ファンこそが最大のステークホルダーだという認識がなければ、今後の展開は見えてこないのだ。
NPBは日本最大のプロスポーツとして、圧倒的な優位を維持してきた。
野球は日本で最も人気のあるスポーツだった。
その期間があまりに長かったために、「自分たちが社会から見放されるかもしれない」という可能性に思い至ることがなかった。
NPBはお客の財布からお金を取ることには熱心だ。一生懸命販促をしてリピーターを募っているが、ファンのことをステークホルダーとか、運命共同体だとは思っていないのではないか。
根底ではいまだに、
「いやなら見なけりゃいいんだ。ファンなんていくらでもいる」と思っているのではないかと思う。
この認識が改まるのも、ずいぶん先のことになりそうだ。
1951年江藤正、全登板成績【最多勝でパ・リーグ初優勝に貢献】
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コメント
コメント一覧
＞根底ではいまだに、
＞ 「いやなら見なけりゃいいんだ。ファンなんていくらでもいる」と思っているのではないかと思う。
＞ この認識が改まるのも、ずいぶん先のことになりそうだ。
タイトルを見て真っ先に思い浮かんだのは、今からほんの数年前、似たようなことを出演番組の演者が豪語して以来、大きく視聴率を下げた某民放局でした。
この放送局は、このような発言が視聴率低下の原因だとは認めたくないようですが、直接的には関係がなくとも、何らかの影響があったのは間違いないでしょう。
NPBがどういう認識を持っているかは定かではありませんが、もしそのような認識を持っているとするならば、改まる前に痛い目に遭うのではないかという気がいたします。
気のせいですヨ
「嫌なら見るな」的経営が可能なことなんですよね。
これが出来ていないNPBの場合は広尾様が書かれた通り「嫌なら見るな」をやるとただファンは離れる一方です。
が、コア層、リピーターを増やすことに核を置いたJリーグの場合「嫌なら見るな」としても離れない。
正確に言えば離れられない。
2ステージ制にはあれだけ反対論が噴出しましたが、それで見に行かないなんて人はおりませんでしたからね。
語弊があるかもしれませんが、サッカー好きにとってはサッカーは覚醒剤と同じなんです。
それが身体に害は無く、合法的なだけかどうかの違いなだけで。
何か勘違いしてませんかね？（貴方はいつもこう言う調子のコメが多いようですが。）
この件の場合、サポーターが抗議をしたい相手はJリーグの事務局であって、応援するチームには何ら否はありません。
チームにとって、金銭的にも、試合中の後押しでもマイナスなのですから、見に行かないなどという行動には結びつきません。無論、『イヤなら見るな』などという態度など取ってはいませんし、その様なチームは見放され、支持などされません。
他の競技を不法薬物に例えるなど、ただ他人のあげ足取りしたいだけでしょう。
もう一度本文を良く読む事をお薦めします。
これをまず考えるべきです。
1、競技的要素
2、エンタメ性
1は競技として面白いかどうか、試合をみて面白いかどうか。競技、リーグ(チーム)、選手(監督コーチ)のブランド。
2、競技以外の部分、例えばアメフトのスーパーボールのハーフタイムショーような要素、スタジアム内外の雰囲気、環境(広島のマツダスタジアムやガンバの吹田スタジアムは理想です)。
一つ一つ検証していくと面白そうですね。ただ、日本人はブランド要素はかなり強いと個人的には思います、とりわけライト層の獲得にはブランド要素が重要です。ブランド→エンタメ性→リピーター&コア層化のサイクルへの確立でしょうね。
自分は三大都市圏なんかは野球サッカーとかスポーツ以外の娯楽が存在するわけで、それとの差別化はどうやってやるのかを今後考えていくべきだと思います。日本シリーズやチャンピオンシップは別として、W杯予選やクラブW杯はお祭り要素があると思います、もちろん競技的要素があってのお祭りですので、それとの連動性ですね。
お気を悪くさせたとしたら申し訳ありません。
ちょっと例えが誤ってましたね。
要は、サポーターとクラブ間等で対立することがあっても
(海外だとよく選手やクラブ会長のクルマが燃やされたりとかありますが)
それが理由で見なくなるようなファンを作らないビジネスモデルが
あると、長期的に見て安定する、ということですよ。
覚せい剤というのはいい意味で中毒者になる、という意味合いです。
NPBは逆で、浅いファン獲得方法しかしてないように見えますね。
始球式にくだらないタレント使ったりとか、粗悪なレプリカユニフォームを無料配布したりだとか。
2シーズン制もポストシーズンもどう考えてもサポーターや選手の方を向いた策ではないですよ。どちらの支持も得られていません。
「久々の地上波での中継も復活」というのも誤りで、もともとシーズン最終節は地上波放送でした。それがプレーオフに回っただけです。
「収益的にも改善」というのも、明治安田生命がタイトルスポンサーについた分だけです。
本当にJリーグに関して勉強されていますか？
自分が主張したいことを言うために他のスポーツを出しにするのはやめてください。
現状、ゴールデン地上波てJのクラブをみるにはチャンピオンシップと、勝ち進んで日本開催の時のクラブW杯のみです。唯一いえるのは、クラブW杯がそれなりに成立しているところがサッカー界にとって救われているところ。多分、ACLも決勝までいけばゴールデン地上波はあり得るかも。
結局国際戦頼みってところでしょう、まあ、それも競技のウリなので。
それはあなたのご意見ではないかと思います。サポーターの支持を得ていないというのも主観でしょう。
私は本を書くため位Jの経営について、取材をしています。Jの経営計画にのっとって書いたつもりです。
明治安田生命がスポンサーについたことも、収益改善の大きなファクターだと思いますが、それだけではありません。入場料収入も増えています。
もちろん、私はこれからもJについて必要なことは学びます。ご教示ください。
要は、かつての巨人戦の様に『シーズン前から視聴率が見込めるカード』がハッキリしていなければ、地上波TVは放送予定を組んですらくれないワケです。
Jリーグよりも海外サッカーの方が人気が…と言うのも、海外の場合は、バルセロナの様なビッグクラブ＋日本人所属のチームを取材と、かつての巨人戦の様な報道体制で良いからで、ファンにと言うよりはまずTV側に人気があるんですよ。国際大会の報道も同様です。
言い換えれば地上波TV側は、国内の人気、娯楽が分散・多様化した中で、数10試合のリーグ戦を中継できるビジネスモデルを、何も研究してこなかったのですね。野球のキャンプ情報垂れ流しなのも、成績に関係なく報道できる便利さがあり、時計の針を戻したがっているワケです。『イヤなら見なきゃ』的な考え方の正体も、この辺と思います。
Jリーグにもビッグクラブが必要では？と言う論議も、優勝候補本命＋対抗馬2～3、程度に絞れないと、TV側も難しいのでは？でも意図的に作ろうとするのはどうか？TV側ももっと意識改革すべきじゃないか？と言うもどかしさがありますね。
ここは「外野で応援を行っていた一部のファン」がでないと事実誤認になってしまいます。
ファン全体がバレンタイン監督を支持していたわけでなく、某応援団体と一体化して球団に抗議をしていたという事実はありません。
私は他球団(ファイターズ)ファンではありますが、パリーグファンとして、マリーンズファンの名誉のために言わせて頂きます。
マリーンズファン全体があの2009年9月27日に西岡剛に対しての侮辱的なゲーフラを掲げた方々と一緒にされるのはあまりにも残念でなりません。
つい先日、千葉ロッテ球団の横山健一さんからその事情は詳しくお伺いしましたが、それでもこの記述を変えるには至らないと判断しました。
個別の事情はさておき、球団とファンの対話ができていなかったことは事実ですので。
>つい先日、千葉ロッテ球団の横山隆一さんからその事情は詳しくお伺いしましたが、
横山健一さんではないですか？
そうです。失礼しました。隆一は漫画家ですね。
> 個別の事情はさておき、球団とファンの対話ができていなかったことは事実ですので。
にしても、ファンと球団が対立していたのは事実ですが、ファン同士でも対立が起こっていた事実は抹消できません。
例を上げれば「MVPとマリンブルーが団結して声を上げた」と書いたのと同じになり、2009年当時を知るファンに鼻でせせら笑われるレベルの記事になってしまいますので…と思っていたのですが。
当然、それは承知の上です。大きな意味でこれを例示しないわけにはいきません。ファンが蜂起した事例はNPBでは極めて少ないので。
せせら笑われても別にかまいません。
ロッテ球団が、バックヤードでの闘争に明け暮れ、表立って説明責任を果たさなかったのは明らかです。
因みに欧州でもCL予選化した国内リーグは結構ありますから。ただ、都市圏と都市圏の代理戦争や、首都圏のダービーは殆どありますからね。これがいいのか。
そこをはっきりとさせておかないと、MVPとMVPに反感を覚えている層の両方から事実誤認と謗られるわけで。事実誤認は事実誤認ですし。
例示をしたいのはわかりますが、嘘はいけないです。
まぁ、「一部マリーンズファンが団結しての蜂起だからマリーンズファンが団結しての蜂起で間違いがない」とおっしゃるなら、残念ながらそうなんでしょうけど。
あと、「ファンが蜂起した事例はNPBでは極めて少ない」って広尾さんが把握されているモノが2004年の合併反対以外でなんかございますか？
ちまちました一部のファンにしかわからない話はどうでもいいと思っています。MVPなんて何のことかわからないでしょう。
ただ、確かに例示としては不適切だったとは思います。あとでブログを挙げます。
ですよね。
まぁ、そこだけ認識して頂ければということでしたので。了解いたしました。