先週の続き。「甲子園の土」のストーリーを紹介する。
中巻
1968年夏。
沢村健治の活躍で1回戦を勝ち抜いた竜門高校だが、月謝を払っていないことを理由に小杉監督は、PTA会長の息子今野を次戦で投げさせるという。
沢村は月謝を稼ぐためにアルバイトをする。ナインがこれを助ける。
竜門は決勝に進出。
PTA会長の息子の今野は、配下の労務者に沢村を襲わせる。不動主将らも応戦するが、不動は左手を負傷する。
決勝の鉄甲高校戦、不動は負傷した手から流血しながら沢村の球を受ける。負傷した不動に代わって今野が捕手を務める。小杉監督と今野は改心し、チームは勝利。
1回戦の西城高校を勝利し、勝ち進んだ竜門は準決勝でサンダー三木のいる石松高校と対戦。
サンダー三木は同級生を使って自分の弱点である内角低めを沢村にわざと教える。正義感の強い沢村は、弱点をつけなくなると読んだからだ。
沢村は1打席目はサンダーを歩かせるが、2打席目は意表を突くど真ん中で凡フライに打ち取る。3打席目のど真ん中で三振。竜門は石松を1-0で下す。
決勝戦は永遠のライバル紅がいる港高校との対戦。紅を二打席凡退に打ち取る。紅はなぜか焦っていた。実は母が死の床に臥せっていて、病床から試合を見ているのだった。
テレビの放送でそれを知った沢村は手元がくるって紅に逆転2ランを許す。竜門敗れる。
しかし不動と沢村は甲子園で抱き合う。
甲子園で活躍した不動にはプロ野球からスカウトが殺到する。しかし資産家の息子の不動は大学に行くとこれを断る。
沢村は1年だったが、ジェームス黒木というスカウトが近づく。
折あしく、改心して働きだした沢村の叔父が病に倒れる。治療費がないため沢村はプロ入りを決意し、ジェームス黒木に金をもらう。
そのことを聞きつけた不動は、大学進学をあきらめ、契約金をもらって阪神に入団する。その契約金をジェームス黒木に返す。
■ご都合主義丸出しである。沢村と不動が星と伴にどんどん似てくる。

下巻
1969年。
副キャプテンになった沢村。クラスに西城法彦という生徒が転入してくる。アメリカ帰りの西城は大リーガー級の打者だった。
西城は沢村をだましてオーバーワークでダウンさせる。プロ入りを考える西城は、沢村を蹴落としてチームを牛耳ろうとしたのだ。
沢村は西城を憎むが、チームワークを考えて耐え忍ぶ。
竜門は選抜大会に出場する。沢村の投球はさえなかったが、西城の活躍で竜門は1回戦を突破。二回戦も沢村は苦戦する。延長17回、竜門は敗退する。
夏へ向けて再起の時。小杉監督のもとに、一通の手紙が届き、西城の悪だくみが発覚する。西城の妹が告発したのだ。
西城は心を入れ替えて、ナインとともに鍛錬する。
阪神に入った不動から連絡が入る。阪神に入ったものの大型新人捕手田淵幸一が入ったために不動は出番がない。沢村はくさる不動を甲子園に連れ出し、自らが投げて打撃練習をさせる。
沢村と西城の活躍で地区予選を勝ち抜いた竜門は豊太閤の怪力坂口も下して甲子園に進出。
勝ち抜いた竜門は、ロシア人の血を引く大滝がエースの美幌高校と決勝戦を戦う。両者は0-0のまま翌日に再試合となる。
竜門はついに優勝。
沢村は高校卒業後阪神に入り、不動とともに活躍した。
■読者各位にお詫びする。取り上げるほどの大した漫画ではなかった。大滝は太田幸司だと思うが、梶原一騎は多忙を極め、あまり人気のない「少年画報」は明らかに手を抜いていた。グランドキーパーの祖父と娘はいつの間にかいなくなっている。
画のほうもかなりお粗末。当時小学生だったから、夢中になったのだろう。ストーリーも荒っぽく、投げやりだった。
来週は趣向を変えて、いしいひさいちを取り上げる。
1968年池田重喜、全登板成績【新人ながら5勝を上げる】
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コメント
コメント一覧
一峰大二の作品は「スペクトルマン」や「ライオン丸」といったヒーロ―ものは読んでいますが、本作は全く知りませんでした。梶原と組んでいたんですね!
大したことないと言われると、かえって興味がわきます(笑)。ただ「黒い秘密兵器」も未読なので、迷うところです。
次回は、いしいひさいちとのことですが、水島作品は温存ということでしょうか?
野球漫画の王道は長いんです。
水島は膨大すぎて、どうしようかと思います。ドカベンとあぶさんは全巻揃えていますが。