「どうか正直に話してくれ」久保社長が懇願していた。今、ちょっと名前を失念したが確か巨人は新聞社の系列のはずである。小さなメディアではなかったように記憶している。真実を究明する力がここまで落ちてしまったか、と歎ぜざるを得ない。
NHKや各新聞社も「自社による調査の限界」を報じていた。メディアは「人が話したがらない真実を吐き出させる」ものではなかったのか。
彼らもすっかりだめになった。ただの給料取りになったのだろう。

事態がここまで大事になってしまえば「私がやりました」と言って出るような馬鹿な選手はもういない。自分が首になるだけで済まず、会社の屋台骨が揺らぐし、極悪人のような扱いを受けるのだから。
初動調査で、てぬるいシナリオを描いて取り調べをしたことが、ここにつながったのだ。

巨人はNPBの熊崎コミッショナーに告発したが、これは、役所に転居届を出す程度の意味しかない。自分たちが選んだ傀儡に能力などないのは、巨人が一番知っている。
噛まない、吠えない犬を番犬にしたのは、巨人自身なのだ。

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巨人は、座してNPBのお裁きを待つのではなく、本当の意味での自浄能力を発揮すべきだ。

■まず、「匿名での内部告発制度」を設けること。
選手たちが、野球賭博にうつつを抜かしているのを苦々しく思っていた選手、関係者はたくさんいる。内部告発者は法律で保護されるのだ。ここでこれを活用しない手はない。
記者など部外者も含め、そうした事実を見聞きした人間から、情報を再度集めるべきである。

■第二に福田、笠原、松本に再度、事情聴取をすること。
彼らは自身が巨人軍の面汚しとしてトカゲのしっぽ切りをされたことに恨みを抱いている。だからこそ週刊文春の記者にぶちまけたのだ。
その折の対応のまずさが事態の悪化を招いたことを考えれば、失うものが何もない彼らに再度話を聞いて、事件の全貌を明らかにすべきだ。特に笠原はいろいろなことを知っているはずだ。
さらに越智大祐や、2014年ころまで巨人に在籍していた投手にも、事情聴取をするべきである。

■第三に野球賭博だけでなく、違法賭博の実態も明らかにすること。
文春ではファンゴの際や、練習、試合後のロッカールームや寮でも、大規模な賭博行為が行われていたと報じられている。
こうした違法賭博が、野球賭博や裏社会との交流の温床になっていたのは明らかだ。実態を再度調査し、手を染めていた選手に球界追放とはいかなくとも謹慎、罰金など何らかの制裁を下すべきである。

■第四に、部外者のA、Bを警視庁に告発すべきだ。
彼らは野球賭博を図利開帳し、違法な金銭の授受を行っていた。また巨人軍の選手を賭博に引きずり込み、球団に深甚な打撃を与えた。
証拠不十分で不起訴になる可能性があるとしても、巨人はそれらの費用を負担する覚悟で彼らを訴え、彼らの口から真相を吐かせるべきだ。
特にBは賭博事件が発覚後も笠原と接触し、いろいろと指示をしていたと思われる。高木京の名前が出なかったのは、Bの差し金によると思われる。
野球賭博の頻度や掛け金では、BはAよりもおとなしかったといわれるが、Bは笠原が寮を出たときから実質的な後ろ盾になるなど、選手との付き合いは深く非常に悪質だ。
またBの経営する店には、多くの巨人選手が出入りしていたといわれる。
Aは、立浪和義と交友関係がある。笠原はそのことでAを信用したとされる。
A,Bを告発すれば、警視庁は立浪和義にも事情聴取するだろう。そのことも重要だ。
Bは妻とともに韓国に逃亡しているといわれる。そのこと自体が彼のやったことの大きさを表しているが、A、B二人を取り調べることは絶対に必要だ。

事ここに至れば、「円満に事を収めよう」「延焼を食い止めよう」とする動きは、すべて裏目に出る。命を投げ出す覚悟で、すべてを究明すべきだ。

私は熊崎コミッショナーは辞職すべきだと思う。当事者意識が全くなく、真相究明に消極的な姿は「日本の正義をつかさどるトップ検察官は、この程度の人物なのか」と思わせた点ですでに大きな問題だ。

もし、彼に社会的正義と職業的良心があるのなら、これまでのコミッショナーのようにキャリアの最後に大きな汚点を残したくないなら、巨人の告発を受けて、第三者委員会を設置し、球界全体に広がる賭博汚染を徹底的に究明すべきだ。

第三者委員会の顔ぶれは、東芝の粉飾決算事件のようなお手盛りではなく、もっとも厳しい批判をNPBに浴びせている人も含めて構成されるべきだ。
ジャーナリストとして二宮清純氏か、玉木正之氏。メディアは週刊文春、週刊新潮、朝日新聞、NHKなど。法曹界からは、スポーツ選手の訴訟を手掛ける大阪の太陽法律事務所、京大野球部のエースだった岡村英佑弁護士はどうか。さらに、企業のコンプライアンス面を見るために久保利英明弁護士もよいのではないか。
間違ってもヤメ検は入れないことだ。
統一球の問題で第三者委員会が設けられたときには野球OBとして桑田真澄が加わったが、はかばかしい成果はなかった。巨人を恐れないOBとして古田敦也が良いのではないか。

巨人が自浄能力を発揮して、真相の解明がなされるとともに、NPBが設けた第三者委員会が、球界全体の賭博や裏社会との癒着の実態解明をする。
これくらいのことはやるべきだ。

それによってペナントレースの運営に支障が出てもやむを得ない。開幕を1か月遅らせてでもやるべきだと思う。


1956年秋山登、全登板成績【弱小チームでも文句なし新人王】

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