プロ野球選手は、球団の従業員ではない。個人事業主だ。彼らが野球賭博のような違法行為を行ったのなら、彼らに責任があるのであり、球団に責任はない。豊浦彰太郎さんや小林至氏がこのような意見を述べている。

小林氏はテレビで、
「こんな事件がMLBで起こったら、球団のオーナーは選手を訴えるはずだ。選手は球団の信用を傷つけたし、選手が出場できないことで球団に損害を与えたのだから」
と言った。
豊浦さんも野球賭博は彼らの責任であり、ナベツネなど経営トップが辞任するのは筋違いだと言っている。
豊浦彰太郎さん。ナベツネ辞任に異論

確かに野球選手は個人事業主であり、球団と個別に契約を結んでいる。彼らは球団の従業員ではなく(昔は大洋やヤクルトなどに従業員の選手もいた)球団とは契約でのみつながっている。
彼らは球場やキャンプ地で球団との契約を履行し、そのために働く義務を負うが、それ以外の場所、時間では球団に拘束されるものではない。
プライベートでは、彼らは、自己責任で行動するのであり、反社会的な行為をしたとすれば、その責任は選手自身が追うべきである。

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本来はそうであるべきだ。しかし、今回の事件については球団経営者は責任を負うべきだと思う。

まず、野球賭博は球団が管理する寮やスタジアムのロッカールームで行われていた。
選手の管理義務がないとしても、球団が管理する施設で違法行為が行われていたとすれば、球団はこれを止める義務がある。その義務を怠った責任は逃れられない。
さらに、問題が発覚後、球団はこれを積極的に解明して、公表することをせず、中途半端な調査でお茶を濁した。
その結果、問題発覚から5か月も経って、新たな野球賭博疑惑の選手が発覚した。球団がこの事件に責任ある態度で臨んでいなかったことは明白だ。

そうした問題とは別次元でいえば、NPBと選手の関係は、形式と実態がかい離している。

選手は球団と契約関係で結ばれているのであり対等の立場のはずだが、実際には選手は球団に帰属し、忠誠を尽くすことを求められている。その根拠はなく、慣習的ではあるが、ずっとこの形でやってきた。
選手は球団に対してサラリーマン以上の忠誠心を求められている。球団は選手にクビを通告しない限り、選手を実質的に支配下に置いている。その代わりに球団は選手を教育し、私生活でも面倒を見ている。
FAは選手の当然の権利だが、NPBでは選手が「宣言」をしない限り、権利行使ができないことになっている。
選手が球団に帰属することが前提になっていて、自らの権利を行使する方が「例外」という共通認識があるのだ。

契約上、法律上は根拠がなくても、球団は選手を管理している。球場など球団が管理する施設外での選手の行動にも、管理責任が発生する、ということではないか。
つまりNPB球団は慣習上、高校野球や大学野球と同じように選手を支配しているのである。

豊浦さんや小林氏が言うように、選手が自己責任で行動する方が本来の姿だとは思うが、日本の野球選手はそのための教育をほとんど受けていない。
一個の社会人として自分で判断し、自己責任で行動する訓練をほとんどしていない。
だから、こんなバカな連鎖をやらかしたのだ。日本の野球エリートの教育がおかしいとしか言いようがない。

NPB経営者が「これからMLBと同じように一個の契約者として契約するから、自分の責任で行動しろ」と言われたら、今のNPB選手たちの多くは、「それは困る」「これまで通り僕を管理してください」というのではないか。精神的に自立していないのだから、無理なのだ。
話がそれるが、MLBで活躍している日本人選手はこの部分が違うのだと思う。

筋として豊浦さんや小林氏がそういう意見を言うのは正しいと思うが、実態は異なると思う。
図らずも今の日本野球界の深刻な問題が、ここでも浮き彫りになってくる。


1966年池永正明、全登板成績【ヒジ痛と闘いながらのピッチング】

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