日本でも人気があった。MLB屈指の右腕だったが、どうしたんだ?という投球が続いていた。
大学時代も含めた成績。
まるでNPBの投手のような薄いキャリアSTATSだ。エリートで、あっという間にマイナーを駆け上がった上に、移籍をしていないからだ。

Lincecum


間違いなく天才である。
高校時代、一度カブスから指名されるが拒否してワシントン大学に進む。ここで才能を発揮する。投球は粗削りだったが、とにかく奪三振率がすさまじかった。
2006年のドラフト1巡目(全体10位)でジャイアンツに入団。同期にはエヴァン・ロンゴリア、クレイトン・カーシヨウ、マックス・シャーザー。

リンスカムは、彼らより先輩のような印象がある。あっという間にマイナーを駆け上がったからだ。
6月のドラフトの後入団してA-のセーラム・カイザーで2試合投げて、A+のサン・ホセへ。
ここでも6試合投げて翌年はすぐにAAAのフレスノに。わずか5試合を投げただけで、入団翌年の5月6日にはフィリーズ戦で先発しているのだ。
初先発、初登板は4.1回で5失点したが、次のロッキーズ戦で初勝利。以後、ローテに入り、7勝。
そして翌年には18勝してサイ・ヤング賞に輝くのだ。

180cmという小柄だが、伸びあがってから倒れこむようなダイナミックなフォームで、威力のある速球、2シーム、カーブ、チェンジアップを繰り出した。
特にチェンジアップの威力は抜群で、まず打たれることはなかった。
どんな打者にでも向かっていくタイプ。配球の妙もあり、見ていて非常に面白い投手だった。

アジア系の血も入っていた。少年のような風貌で、女性にも人気があった。
2年連続サイ・ヤング賞。3年連続奪三振王。入団3年目にはMLB屈指の投手になった。

しかし2012年を境にその投球はめっきりとさび付いてくる。ERAが急落。
味方の援護もあって二けた勝利を続けてはいたが、悪い時には早い回に打ち込まれることも多かった。
最大の原因は、全盛時には155km/h以上あった速球が10km/h以上も下落したこと。これで投球の組み立てが変わってしまった。

それでも調子のよい時は好投するが、次の試合で潰れるなど不安定だった。
若いスター捕手のバスター・ポージーとの相性が悪いのも首脳陣には頭の痛いことだった。

2014年のシーズン終盤には救援投手も務める。少しは回復したかと思えたが、今季は股関節の故障もあり、二けた勝利が途絶えた。

2013年、2014年とノーヒットノーランを2度記録。新しい投球スタイルを確立するかと思えたが。

リンスカムは出世が早かったため、スター選手としての年俸をもらった期間は短い。2010年に900万ドル、2011年に1400万ドル。2012年から2年4000万ドル。成績が下落した2014年から2年3500万ドル。
そして今オフにFAになったのだ。

何球団かが興味を示しているが、契約には至らない。このままキャリアを負えるのか、新しいドラマを見せてくれるのか。引き続き注目したい。


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