今回発覚した裏契約金が、プロ野球ビジネスにとって、どのくらいの大きさなのかをいろいろ比較してみよう。まず2011年度の年俸上位10傑との比較。単位億円

景気が低迷している中、選手の年俸も抑制されがちだ。2011年のNPB最高年俸はダルビッシュ有の5億円。2001年に阿部慎之助はこの倍の金額をもらっている。
一度にもらったわけではなく、分割していたようだが、それは税務上の処理、あるいは巨額契約を隠蔽したいと思っただけで、支払時期がかわっただけだ。
江本孟紀氏は「プロで1試合も出ていない選手に巨額の金を支払うのが問題」といっていたが、この表を見るとそれが実感できる。


また、こうした巨額契約をしないで入団した選手は、この事実を知っていれば相当不満を抱くと思うのだが。
次に過去5年間のMLBアマチュアドラフト全米1位選手の契約金との比較。為替レートが変動しているので難しい部分はあるが、1ドル80円で換算。

ここ数年新人選手の契約金が高騰している。悪名高い代理人スコット・ボラスが有望選手の契約を独占しているからだ。
2009年のスティーブン・ストラスバーグは4年1510万ドル(12.1億円)という空前の契約を勝ちとった。このときも「プロで1試合も出ていない選手に」という批判が巻き起こった。ただし、こうした巨額契約は極端な例に過ぎない。昨日の東京ドームのオープン戦で本塁打を打ったダスティン・アクリーは、ストラスバーグの年の2位で、5年750万ドル(6億円)だったが、多くの選手は契約金はゼロ。有望選手でも10万ドル程度が多い。
阿部以下巨人選手が結んだ契約は、この金額に匹敵する。MLBよりもはるかに経営規模が小さい球団が、毎年これだけの支出をしていたのだ。
最後に、その球団の経営規模についてのデータとの比較。
中国新聞から
広島東洋カープは27日、広島市中区のホテルで株主総会を開き、2011年決算を承認した。売上高は96億5006万円。当期利益は2億313万円。1975年から37年連続の黒字となった。
売上高は昨年に比べて約2億円の減収となった。昨季は主催72試合の総入場者が158万2524人で前年を約1万7千人下回り、入場料や飲食収入などがダウンした。当期利益は9200万円減った。外国人選手を含む選手総年俸は過去最高の約20億円になったという。
今季も150万人以上の観客動員を目指す松田元オーナーは「勝つ喜びと(球場を)訪れる楽しさを提供できる球団でありたい」と話した。
有数の健全経営球団といわれる広島の経営報告。ただし、親会社からの補てん額がどれくらいだったかは分からない。独立採算で考えた場合は、当然赤字だったと思われる。
華やかに見えるが広島東洋カープは年商100億足らず、経常2億円。従業員100人~200人程度の中小企業の経営規模なのだ。
巨人は、2008年売上高240億円、年俸総額55億円、経常利益24.7憶円を計上している。広島を最小とすれば、恐らく巨人のこの数字が最大。それでも中小企業の域を出ない。
巨人は2012年、年俸総額は38億円程度に縮小している。これは、経営状態を反映しているものと思われる。
これらの数字を阿部以下の選手の裏契約と同一に並べてみる。単位、億円。

広島が、巨人が出したような契約金を出せないことは一目瞭然だ。また、巨人にしても経常利益の4割の金額を一人の新人選手に与えることは、経営上考えられない。当然親会社である読売新聞社(連結売上4500億円前後)の金が動いたのだろうと思われる。
ただし5億、10億という巨費を秘密裏に動かすことは、有価証券等報告書の提出義務があり、透明性を求められる上場企業では考えられない。非上場の読売グループならではだ。同様にドラフト廃止論者の西武も非上場企業グループである。
裏契約の年俸は、経営的に考えても非常識だ。まともな経営者なら、会社の屋台骨を揺るがすような支出を許すはずがない。
2004年の時点で、かなりの数の球団が「完全ウエ―バー制移行」を求めていたというのは、至極当然だと思う。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!
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景気が低迷している中、選手の年俸も抑制されがちだ。2011年のNPB最高年俸はダルビッシュ有の5億円。2001年に阿部慎之助はこの倍の金額をもらっている。
一度にもらったわけではなく、分割していたようだが、それは税務上の処理、あるいは巨額契約を隠蔽したいと思っただけで、支払時期がかわっただけだ。
江本孟紀氏は「プロで1試合も出ていない選手に巨額の金を支払うのが問題」といっていたが、この表を見るとそれが実感できる。
また、こうした巨額契約をしないで入団した選手は、この事実を知っていれば相当不満を抱くと思うのだが。
次に過去5年間のMLBアマチュアドラフト全米1位選手の契約金との比較。為替レートが変動しているので難しい部分はあるが、1ドル80円で換算。

ここ数年新人選手の契約金が高騰している。悪名高い代理人スコット・ボラスが有望選手の契約を独占しているからだ。
2009年のスティーブン・ストラスバーグは4年1510万ドル(12.1億円)という空前の契約を勝ちとった。このときも「プロで1試合も出ていない選手に」という批判が巻き起こった。ただし、こうした巨額契約は極端な例に過ぎない。昨日の東京ドームのオープン戦で本塁打を打ったダスティン・アクリーは、ストラスバーグの年の2位で、5年750万ドル(6億円)だったが、多くの選手は契約金はゼロ。有望選手でも10万ドル程度が多い。
阿部以下巨人選手が結んだ契約は、この金額に匹敵する。MLBよりもはるかに経営規模が小さい球団が、毎年これだけの支出をしていたのだ。
最後に、その球団の経営規模についてのデータとの比較。
中国新聞から
広島東洋カープは27日、広島市中区のホテルで株主総会を開き、2011年決算を承認した。売上高は96億5006万円。当期利益は2億313万円。1975年から37年連続の黒字となった。
売上高は昨年に比べて約2億円の減収となった。昨季は主催72試合の総入場者が158万2524人で前年を約1万7千人下回り、入場料や飲食収入などがダウンした。当期利益は9200万円減った。外国人選手を含む選手総年俸は過去最高の約20億円になったという。
今季も150万人以上の観客動員を目指す松田元オーナーは「勝つ喜びと(球場を)訪れる楽しさを提供できる球団でありたい」と話した。
有数の健全経営球団といわれる広島の経営報告。ただし、親会社からの補てん額がどれくらいだったかは分からない。独立採算で考えた場合は、当然赤字だったと思われる。
華やかに見えるが広島東洋カープは年商100億足らず、経常2億円。従業員100人~200人程度の中小企業の経営規模なのだ。
巨人は、2008年売上高240億円、年俸総額55億円、経常利益24.7憶円を計上している。広島を最小とすれば、恐らく巨人のこの数字が最大。それでも中小企業の域を出ない。
巨人は2012年、年俸総額は38億円程度に縮小している。これは、経営状態を反映しているものと思われる。
これらの数字を阿部以下の選手の裏契約と同一に並べてみる。単位、億円。

広島が、巨人が出したような契約金を出せないことは一目瞭然だ。また、巨人にしても経常利益の4割の金額を一人の新人選手に与えることは、経営上考えられない。当然親会社である読売新聞社(連結売上4500億円前後)の金が動いたのだろうと思われる。
ただし5億、10億という巨費を秘密裏に動かすことは、有価証券等報告書の提出義務があり、透明性を求められる上場企業では考えられない。非上場の読売グループならではだ。同様にドラフト廃止論者の西武も非上場企業グループである。
裏契約の年俸は、経営的に考えても非常識だ。まともな経営者なら、会社の屋台骨を揺るがすような支出を許すはずがない。
2004年の時点で、かなりの数の球団が「完全ウエ―バー制移行」を求めていたというのは、至極当然だと思う。
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コメント
コメント一覧
それ故に去るものは追わずで、コストカットを繰り返し、優勝の可能性が無いチームになってしまったのですから。
それと、今朝の毎日新聞によると、1994年に公取委が、契約金に上限を付けないことは違法でないと回答していたようですね。
プロ野球の場合、はっきり言って正確な売上高がわからないので、この手の話はどうにもわかりにくいんですよね。ただ、印象としては、売上高のわりには年俸総額が少ない印象がありますね。
もちろん売上高がそのまま年間予算になるわけじゃないんですが、一般論として、プロスポーツチームの人件費(大まかに言って選手、監督などの年俸合計)は、年間予算に対する割合が通常の企業の人件費よりも高めであっても構わないので、だいたい予算の60%くらいまでは許容されるのですが、これを見る限りは、通常の年俸以外の諸経費があまりにもかかりすぎている印象がどうにもぬぐえません。
Jリーグは全てのクラブの簡単な財務データを公式HPで公開していますが、営業収入に対する人件費(「強化費」と呼ばれています)の割合はもっと高かったと思います。
NPBの場合、キャンプの費用がかなり大きいようですね。年俸に匹敵するくらい。
お返事ありがとうございます。
キャンプですか……まあチーム強化のためには致し方ないところかもしれませんね。ウチは12球団で一番といってもいいくらい熱心に練習してますから(笑)。
ちなみにウチは落合監督から高木監督になって、スコアラーの人件費が大幅にカットされたみたいです。情報を重視した落合監督は各球団1人担当をつけていましたが、高木監督になってから何人かがリストラの憂き目にあったとか。セ・リーグ各球団は予告先発が始まって先乗りスコアラーの仕事も減るでしょうから、さらにスタッフの人件費が減りそうです。
家が貧しくてまともな教育受けなかったのかな、口の利き方を知らずにかわいそうに。
NPBの球団の年俸総額は25億から50億となっていますが、キャンプの費用は毎年20億以上です。移動費(主力選手はグリーン)や、地元への寄付などもありますが。今年、広島がキャンプ地2か所に2億寄付したのは記憶に新しいところ。
ただ、このキャンプ経費の中に使途がよくわからない出費が入ってはいます。裏金などもここに含まれる可能性はあるでしょう。