稲村亜美は、21歳になるグラビアアイドルだそうだが、何をしている人かはほとんど知らない。
経歴によると2年くらい前から週刊誌やCMなどで活躍しているそうだ。
そうですか、という以外に言うべきことはない。

我々にとって、彼女は昨年3月のトヨタのCMで、最後に出てきて、スーツ姿で見事なスイングをした女性というのが、最初のインパクトだ。

あの映像はCGで、実際は球を打っていないのだそうだが、豪快なスイングはCGではない。彼女のほんまもんのスイングだ。

以後、稲村亜美は「野球が異様に上手い」女性タレントとして少しずつ認知度を広げてきた。
昨年8月以降、始球式やスポーツバラエティなどで、スイングや投球を披露してきた。

世の野球好きのおじさんが彼女に注目しているのは、手足が長いからとか、綺麗な顔をしているとか、プロポーションがいいとか、そういうことではない。
彼女が“野球的”に実に素晴らしい動きをしているからだ。

その打撃フォーム。トヨタのCMでは、アレックス・カブレラのように大きく反り返っていたが、あれは演出だろう。
バットをゆったりと高く構え、最短距離で鋭く振りぬくのだ。ヘッドが回っているのがすごい。手首もきれいにかえっている。バットに振り回されるような素人臭いスイングではない。

投球フォーム。振りかぶって、左足をくっと上げてためをつくり、きれいなオーバースローで投げる。ややダイナミックさに欠け、体を曲げた時の反動が腕や指先に十分に伝わっていないきらいがあるが、フォームは実に美しい。

彼女の投打のフォームを見て、野球好きは子供のように感動するのだ。

彼らは(私もそうだけど)、小さいころから打撃フォームや投球フォームのまねをして育ってきた。体にそういう動きが染みついている。
だからそういうフォームで投げたり打ったりするのが、どれだけ難しいかも知っている。
そういうフォームでプレーする選手を目にすると、それだけで素直に感動してしまうのだ。

そこいらの埃臭い兄ちゃんが、公園で、きれいなフォームで投げているだけで足を止めるような親父にとって、20歳のぴちぴちギャル(うわっ)が、目の覚めるようなフォームで投げるのを見ると、まるで奇跡が起こったように思ってしまうのだ。

女子野球ではもっと本格的な、ダイナミックなフォームの選手はたくさんいる。120km/hくらい投げる女子だっている。ホームランを打つ女子もいる。
しかしながら、大きな声では言えないが、そういう実践的なプレーをする女子は、実践的な体つきをしているのだ。手足が鶴のように長くて、しなやかに動く選手はほとんどいない。
べっぴんさんもたくさんいるが、片岡安祐美みたいな、なんかチョロQ風の体つきの人が多いのだ。
それでもときめいている野球おっさんは結構いるのだが。

P6024489


稲村亜美はあくまで「見るだけ」の存在だろう。女子野球に加わったら、恐らく通用しないのだろう。

平成の浮世では、野球好きのおっさんは肩身が狭いのだ。職場ではめったに野球の話は出なくなった、スポーツ新聞なんか読んでいる人はいない。
若くてしゅっとした社員たちは、スマホをいじりながらなんかわからない話をしているし、野球なんかしたことなさそうだし。
同じ年恰好のおっさんたちが寄れば野球の話をするが、だんだんにその輪は狭まっている。
もちろん、カープ女子など野球ファンの女の子はいるが、彼女たちは野球の「別のこと」を見ている。
投球フォームがどうの、打撃フォームがどうの、という話題は出てこないのだ。

稲村亜美は、そんな孤独な中年野球ファンにとって、女神さんのようなものだ。
「よくぞ、わしたちのような者の中に、降りてきてくださった」とひれ伏したいような気持にさえなる。
「こんな娘がいたら、毎日どんなに楽しいだろう」と鼻の穴を膨らませたりするのだ。

稲村亜美は、BSかなんかでキャスターをしているそうだが、うまくしゃべれているのだろうか。

そういうことよりも、もっと打ったり投げたりしてほしい。毎日始球式をしてくれてもいい。
別に水着なんか着なくていい、ユニフォームから長い手足を出して、野球をしてくれたらいい。

そして願わくば、めぐまれない野球おっさんに、にこっとしてくれたらそれでいいのだ。

IMG_7191


1981年佐藤政夫、全登板成績【12年目での先発初勝利】

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!


好評発売中