MLBが開幕した。当サイトも含めて、今年も日本人選手を中心に取り上げていくことになるだろう。
MLBが日本人に広く知られるようになったのは、野茂英雄やイチローが加入し、活躍し始めてからだ。
77年以降、日本でもMLB中継は断続的ながら行われてきたが、盛り上がったのは野茂英雄以降だ。
日本のメディアが日本人選手を中心に追いかけるのは仕方がない。
これはテニスやゴルフ、サッカーなどでも同様だ。

しかし日本のメディアの中には「日本人中心に取り上げる」のではなく「日本人しか取り上げない」メディアも多い。

タイガー・ウッズの全盛期に、海外での記者会見で、前後の脈絡なくウッズに
「石川遼をどう思うか」
と質問した日本のテレビがあった。
ウッズは如才なく答えていたが、海外メディアから顰蹙を買っていた。

松井秀喜がアメリカに渡った際には、多くのメディアが同行したが、彼らは松井を取り囲み、一挙手一投足を報道した。
当時のヤンキースには、デレク・ジーター、マリアノ・リベラ、ジェイソン・ジアンビなどスター選手が綺羅星のごとく居並んでいたが、日本人記者の多くは、彼らを一顧だにしなかった。
たまに質問をしても「松井秀喜をどう思うか」しか聞かなかった。

彼らは多くの日本人が欲する「日本人選手の情報」を得ることには熱心だが、スポーツやアスリートに対する尊敬の念はなかったのだ。
日本の多くのメディアがターゲットにしているのは、コアなファンではない。スポーツにそれほど熱心ではないが、話題にすぐに飛びつくライトな層がお客さんだ。
彼らが喜ぶような、わかりやすくて、ポジティブな情報を伝えようとするのだ。
残念なことにNHKでさえもそういう傾向が強い。

ライトなファンは「日本人選手が海外で活躍している」という情報を常に求めている。
「日本人選手が苦しんでいる」という情報はほしくない。
だから、日本のメディアはそのニーズにこたえた情報を発信し続ける。

16年目の開幕を迎えたイチローは、オープン戦は最悪の成績。開幕戦は代打で登場したが、邪飛に倒れた。
しかし日本のメディアは

代打イチロー今季初打席は投邪飛 地元人気は健在 日刊スポーツ
イチロー、代打で粘り=米大リーグ 時事
イチロー メジャー16年目の開幕は代打で凡退 “ボンズ超え”お預け スポニチ


と期待感を持たせるような伝え方をした。

日本人選手中心の報道になるのはある程度仕方がないとしても、事実をありのままに伝えることはできないのか。ダメならダメと言えないのか。
また、日本人選手がMLBに挑戦して20年も経つのだから、日本人だけでなく、他の国の選手についての情報もしっかり伝えることはできないのか。

今季のイチローはMLB3000本安打が控えている。ねつ造記録だが日米通算での最多安打記録の更新も控えている。
私などは、今となってはチームに迷惑をかけないでほしいと願うばかりだが、また狂騒曲が鳴り響くことだろう。

サッカーの話題だが、杉山茂樹氏は自身のブログで

試合の本質から外れているにもかかわらず、日本人の話ばかりをしたがるスポーツ報道に何か普通ではない、気持ちの悪さを僕は感じる。明らかにレベルの高いもの、イイものをなぜイイと称賛できないのか。しようとしないのか
(日本人の話ばかりをしたがるスポーツ報道は、“カッコ悪い”)


と断じている。
スポーツが本当に好きな人々は、ジャンルを問わずこうしたいらだちを感じているのだ。

江本孟紀は「球団はユニフォームを配ってお客を呼ぶのではなく、選手の高い技術と才能を見せてお客を呼ぶことを考えろ」と言ったが、日本のスポーツ観戦が、一向に深まらず、相変わらず表層にとどまっているのは、スポーツ紙を中心とするメディアのレベルが低いことも大きい。

彼らが一向に進歩せず、幼稚なままにとどまっている間に、コアなファンはとっくにスポーツ紙を見限って、専門誌、専門メディアに移っている。
スポーツ紙の部数が激減しているのは、その表れだ。

既存のジャーナリズムはいい加減に目を覚まさないと、終わってしまう。

PB110166



※連載中だった「2016MLBプレビュー」の情報が飛んでしまった。改めて作り直してアップするので、しばしお待ちを。



1970年堀内恒夫、全登板成績【内容良く防御率4位】

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