さち子との結婚は、この漫画のハイライトの一つ。


水島新司は、主人公景浦安武の心理描写をあえてせず、何を考えているかわからない茫洋としたキャラクターにしている。
サチ子との結婚に至る助走は、恐らくこの前に紹介した麻衣子に求婚を断られたあたりから始まっていると思うが、わかりやすい伏線を張らない。
そのことで、読者は、サチ子や父である大虎のおやじに感情移入し、やきもきすることになる。実に心憎い演出だ。

18巻 アキレスけん断裂から復帰した門田博光と痛飲する。歌手香奈香との交際報道が出る。実際は本命は別にいて、報道陣の勇み足だった。不振のため、代走に起用され活躍する。不振の南海は閑古鳥が鳴く。
79年オフの契約更改については触れられず。年俸は不明。
オフの日米野球、レジー・ジャクソン、ピート・ローズ、デーブ・パーカーらは、酒を飲んでプレーする景浦に非難のまなざしを向けるが、景浦は特大の一発で黙らせる。
ベテランスカウト堀井数男のエピソード、息子の堀井和人は私の高校の先輩だったので、応援していた。
巨人の投手岡本とのトレードの話が持ち上がる。
景浦はサチ子を連れて新潟の実家に帰る。しかし何もない。
景浦自身は結婚を意識していなかったが、近すぎて見えていないものがあることに気が付く。



19巻 巨人とのトレード話について景浦は東京の野村克也に相談する。夫人はどうやらサッチーではなさそうだ。ドカベン香川が入団する。結局岡本の評価が下がり、トレードは沙汰止みとなる。1980年、広瀬南海は機動力を見せる。



20巻 1980年当時の大阪球場の場外馬券売り場当りの描写。この漫画には大阪球場だけでなく、川崎球場、平和台球場などの今はなき球場の姿が描かれる。これも貴重だ。代打本塁打のシーズン記録を樹立する。野村克也の引退がごくあっさりと描かれる。



21巻 オフ、年俸は720万円に。南海岡本社長の紹介で、お見合いゴルフをする。おそらく包囲網が狭まっていることを感じたはず。日本ハムにいる義弟、小林満とのトレード話が持ち上がる。しかし、トレード相手は俵干玄之介だった。義弟の満がチームメイトになる。
この騒動の間、景浦は背広を着て大虎を訪れる。周囲はトレードの話の為かと思うが、景浦はサチ子にプロポーズする。「720万、たしにならないか?」「給料あずけたいんだ」。72年に出会ってから9年後のことだった。これは感動的だった。
新潟で挙式、カコと母親も参列。真新しいマンションが新居となる。

このあたりの描写、何度も言うが水島新司は脚本家、演出家としても超一流だ。


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1970年堀内恒夫、全登板成績【内容良く防御率4位】

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