震災のために、大きく報道されなかったが、プロ野球選手会は、NPBにFA権のルール変更を求めた。
この件について理解するために、おさらいをしておく。
FA(フリー・エージェント)とは、本来、プロ選手が所属チームとの契約を解除し、他のチームと契約することができる状態になることだ。
そしてFA権とは、一定の年限が経てば、選手が自動的にFA状態になることができる権利のことだ。
MLBでは(NPBでも)、FA権と言う概念ができるまで、選手の保有権は、球団が一方的に持っていた。球団が契約解除をしない限り、選手は移籍できなかった。選手は、球団が提示する年俸を呑むか、クビになるかしか選択肢はなかった。
1975年にエクスポズのデーブ・マクナリーとドジャースのアンディ・メッサースミスが、球団が提示した年俸に不服の意を示し、契約を結ばないままに1シーズンプレーをした。そして、契約書にサインしないまま1シーズンプレーをした選手は、以後、球団に拘束されることなく自由に契約ができると主張。これが公式に認められて、FA権が生まれた(この項、豊浦彰太郎さんより、デーブ・マクナリーを付け加える旨、ご指摘あり)。
その後ルールが整備され、選手はMLBでの在籍期間が6シーズンに達するとFA権を取得することとなった。
シーズンとは単純な期間のことではなく、アクティブ・ロースターに乗った日数から換算するものだ。
だからデビュー年が同じでもFAになる期間が選手によって異なることがある。
以後、MLBではシーズンが終了すると、FA権の年限に達した選手や、FA権取得後の契約が満了した選手は、全員が自動的にFAになることとなった。
MLBの球団が、毎年、大きくメンバーを変えるのは、このためだ。
選手の実力、ステイタスによって、FAの持つ意味は変わってくる。
❶上り坂で、好成績を残し、実力十分の選手にとって、FAは、巨額の年俸にありつくチャンスである。MLBでは毎年、大物選手のFA移籍が話題になる。
❷しかしそれほど成績が良くなく、MLBに残ることができるかどうかという選手にとっては、FAはクビと同じ意味だ。球団との契約でも下手に出るしかない。
FAのあと、大型契約を結んだ選手が、契約満了後、FAとなって、驚くような安い年俸で球団と契約したり、マイナー契約やキャンプ招待選手になるのはよく見られることだ。❶だった選手が❷に落ちたからだ。

NPBはMLBの制度を遅れて導入するのが通例になっている。
NPBでも1993年からこの制度が導入された。
NPBにはそれ以前から、FAによく似た制度があった。10年選手制度だ。
❶にほぼ該当する実力のある選手が、10年間一つのチームに在籍すると、自由に契約できるという制度だ。金田正一がこの制度を活用して国鉄から巨人に移ったのはよく知られている。
この点ではむしろNPBの方がMLBより進んでいたと言えるだろう。
NPBのFAは、MLBとはかなり違っている。いろいろ制度変更があったが、現在のFA制度は
NPBでの在籍シーズンが累計9年に達した選手が、FA権を取得できる。MLBより3シーズン長い。
しかしMLBと異なり、NPBは自動的ではなく、選手が「FA宣言」をしない限り、FA状態にはならない。
宣言をしない場合、保有権は球団にあり、これまでと同様、他の球団と自由に契約交渉することはできない。
ただし、FA宣言をしなかったからと言って、球団がそのまま契約を続けてくれる保証はない。自由契約や任意引退になることも多々ある。
❶の選手の多くは、他球団で高額の年俸契約をすることが見込まれるので「FA宣言」をする。
しかし❷の選手は、FA宣言をしても他球団と有利な契約交渉が望めないので「FA宣言」をしない。
実質的に日本のFA制度は、10年選手と同じだと言えよう。
❶か❷か微妙な選手に対して、球団はプレッシャーをかける場合がある。
FA宣言をした選手は、まず今所属する球団と交渉をする。FA宣言をした選手は選択肢が増えるから、年俸交渉が有利になることが多いが、球団の中には「FA宣言をした選手はひきとめない」と決めているところもある。
そういう球団に所属する❶か❷か微妙な選手は、それを恐れてFA宣言せずに球団と契約を結びなおすのだ。
昨年オフもFAを巡って、いろいろなドラマがあった。これらの多くはNPB独特の「FA宣言」に起因するものだ。いかにも日本的なウェットなドラマだ。
落合博満は、こうした状況を改めるために
「FA宣言をやめて、みんな年限が来たら自動的にFAになるようにすればいい」と言った。
まっとうな意見だと思っていたが、日本プロ野球選手会はそうは思わなかったようだ。
以下続く
田部輝男、チーム別&投手別&球場別本塁打数|本塁打大全
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FA(フリー・エージェント)とは、本来、プロ選手が所属チームとの契約を解除し、他のチームと契約することができる状態になることだ。
そしてFA権とは、一定の年限が経てば、選手が自動的にFA状態になることができる権利のことだ。
MLBでは(NPBでも)、FA権と言う概念ができるまで、選手の保有権は、球団が一方的に持っていた。球団が契約解除をしない限り、選手は移籍できなかった。選手は、球団が提示する年俸を呑むか、クビになるかしか選択肢はなかった。
1975年にエクスポズのデーブ・マクナリーとドジャースのアンディ・メッサースミスが、球団が提示した年俸に不服の意を示し、契約を結ばないままに1シーズンプレーをした。そして、契約書にサインしないまま1シーズンプレーをした選手は、以後、球団に拘束されることなく自由に契約ができると主張。これが公式に認められて、FA権が生まれた(この項、豊浦彰太郎さんより、デーブ・マクナリーを付け加える旨、ご指摘あり)。
その後ルールが整備され、選手はMLBでの在籍期間が6シーズンに達するとFA権を取得することとなった。
シーズンとは単純な期間のことではなく、アクティブ・ロースターに乗った日数から換算するものだ。
だからデビュー年が同じでもFAになる期間が選手によって異なることがある。
以後、MLBではシーズンが終了すると、FA権の年限に達した選手や、FA権取得後の契約が満了した選手は、全員が自動的にFAになることとなった。
MLBの球団が、毎年、大きくメンバーを変えるのは、このためだ。
選手の実力、ステイタスによって、FAの持つ意味は変わってくる。
❶上り坂で、好成績を残し、実力十分の選手にとって、FAは、巨額の年俸にありつくチャンスである。MLBでは毎年、大物選手のFA移籍が話題になる。
❷しかしそれほど成績が良くなく、MLBに残ることができるかどうかという選手にとっては、FAはクビと同じ意味だ。球団との契約でも下手に出るしかない。
FAのあと、大型契約を結んだ選手が、契約満了後、FAとなって、驚くような安い年俸で球団と契約したり、マイナー契約やキャンプ招待選手になるのはよく見られることだ。❶だった選手が❷に落ちたからだ。

NPBはMLBの制度を遅れて導入するのが通例になっている。
NPBでも1993年からこの制度が導入された。
NPBにはそれ以前から、FAによく似た制度があった。10年選手制度だ。
❶にほぼ該当する実力のある選手が、10年間一つのチームに在籍すると、自由に契約できるという制度だ。金田正一がこの制度を活用して国鉄から巨人に移ったのはよく知られている。
この点ではむしろNPBの方がMLBより進んでいたと言えるだろう。
NPBのFAは、MLBとはかなり違っている。いろいろ制度変更があったが、現在のFA制度は
NPBでの在籍シーズンが累計9年に達した選手が、FA権を取得できる。MLBより3シーズン長い。
しかしMLBと異なり、NPBは自動的ではなく、選手が「FA宣言」をしない限り、FA状態にはならない。
宣言をしない場合、保有権は球団にあり、これまでと同様、他の球団と自由に契約交渉することはできない。
ただし、FA宣言をしなかったからと言って、球団がそのまま契約を続けてくれる保証はない。自由契約や任意引退になることも多々ある。
❶の選手の多くは、他球団で高額の年俸契約をすることが見込まれるので「FA宣言」をする。
しかし❷の選手は、FA宣言をしても他球団と有利な契約交渉が望めないので「FA宣言」をしない。
実質的に日本のFA制度は、10年選手と同じだと言えよう。
❶か❷か微妙な選手に対して、球団はプレッシャーをかける場合がある。
FA宣言をした選手は、まず今所属する球団と交渉をする。FA宣言をした選手は選択肢が増えるから、年俸交渉が有利になることが多いが、球団の中には「FA宣言をした選手はひきとめない」と決めているところもある。
そういう球団に所属する❶か❷か微妙な選手は、それを恐れてFA宣言せずに球団と契約を結びなおすのだ。
昨年オフもFAを巡って、いろいろなドラマがあった。これらの多くはNPB独特の「FA宣言」に起因するものだ。いかにも日本的なウェットなドラマだ。
落合博満は、こうした状況を改めるために
「FA宣言をやめて、みんな年限が来たら自動的にFAになるようにすればいい」と言った。
まっとうな意見だと思っていたが、日本プロ野球選手会はそうは思わなかったようだ。
以下続く
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私も思うところあるので、続編楽しみにしてます。