オールスターに選出すべきだという意見がアメリカでも出ているのは事実だろうが、ごく小さな声で、事態をひっくり返すような勢いはないように思える。


日本では、本来選出されるべきとは思えない選手が球宴に出た前例がある。
1986年のオールスター、セの監督は阪神の吉田義男だったが、監督推薦で自軍の川藤幸三を出場させた。
川藤は37歳、この年は49試合で49打数13安打5本塁打、.265、代打の切り札ではあったが、救援選出と言う点では箸にも棒にも掛からない成績だった。
川藤は安打を打ち、二塁でアウトになったが、この年限りで引退した川藤にとっては一生の思い出になった。
これは吉田監督の「粋な計らい」だとされた。ルールよりも感情を優先する、アジア的な話である。

1974年にもこの年わずか161打席しか立たなかった阪急、高井保弘が選出されたが、これは代打本塁打のNPB記録を更新したためであり、根拠がないとはいえない。

オールスターゲームは人気投票だから、人気先行の実力のない選手が選ばれることもある。日本では近鉄の太田幸司がその代表だが、本来そういうことは望ましくない。球宴選出は、活躍に見合った正当な評価として与えられるべきものだ。

MLBのファン投票はすべてネットからになったが、その投票フォームには30球団のレギュラー級の名前が載っている。それ以外の選手に投票することもできるが、そこから選出される可能性は、極めて少ない。
実力のない、あるいは出場機会の少ない選手が「人気投票」的に選ばれることを防ぐための措置でもあると思われる。

イチローはその投票フォームには名前が載っていない。日本人野手は青木宣親だけだった。今年は4人目の外野手であり、載るべき選手ではなかった。
今年の活躍は確かに目を見張るものがある。3000本安打目前と言う実績も特筆モノではあるが、42歳と言う年齢を考えれば驚異的ではある。しかしこの程度の成績を上げている選手はどのチームにもいる。
球宴に特別枠で選出されるべきだという機運が盛り上がっているわけではない。

確かに地元マイアミの記者がツイッターでそういうコメントをして、賛同を得ているようだが、ごくごく小さな動きであり、全体としてムーブメントは起きていない。
しかし日本のメディアは、イチローを球宴にと言う声が全国的に高まっているかのように報道している。
例によって「読者が喜びそうな情報」をねつ造しているのである。

今季のMLBで最も注目されているベテラン選手は、イチローではなく、今季限りの引退を宣言しているボストン・レッドソックスのデビッド・オルティーズだ。
40歳のオルティーズは、本塁打19本で7位、打点64で2位、OBP.431、SLG.677でいずれも1位。絶好調だ。
彼は、実力でも人気でも間違いなく球宴に選出される。



それに比べればイチローははるかに見劣りする。また「今年限り」と宣言したわけでもない。日米通算最多安打は現地でも報道されたが、少し大きなトリビアと言う扱いだった。
ファン投票はすでに締め切られている。イチローの票ははるかに届いていない。選手間投票で球宴に選出される可能性もほとんどないだろう。
そうであるべきだと思う。

イチローの今年の最大のセレモニーは「3000本安打」のときに行われるはずだ。

野球ファンとしては、日本メディアに騙されないようにしたいものだ。彼らに野球に対するリスペクトや愛情はない。

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1976年永射保、全登板成績【プロ入り5年目の初勝利】


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