不明を恥じるばかりである。昨年、ほぼ斎藤佑樹の投球を1球ごとに追いかけたが、昨日のような投球は一度もなかった。西武の打線も淡白だったが、それだけで説明はできない。
Yuki-Saito-20120330




昨年の斎藤佑樹に対する不満は、

1) 球数が多い、とくに2ストライクからの無駄球
2) 調子が悪いと、変化球主体で投球を組み立てる
3) 有名打者、主力打者を意識しすぎる


このうち、1)、2)が解消されていた。

立ち上がり、ヘルマンを三球三振。三球三振はプロ入り初のはずである。栗山もストライク先行で攻める。
ただし3)は、クリアできず。斎藤は千葉ロッテの井口、西武の中島、中村との勝負を極端に恐れる。打たれればよいのに、と思うのだが慎重にコーナーをついて結果的に歩かせた。失敗を恐れるエリートの小心さだと思うが、この悪癖がまだ残っていた。

しかし、嶋に投じた2球目の速球が大飛球ながらファウルになったことで、斎藤は息を吹き返した。
2回にも高山久を三球三振。下位打線にはゆとりを持って対峙している。1回裏に味方打線が3点を先取してくれたことも大きいのではないか。

3回以降も中島、中村と対戦するときだけは慎重になりすぎたきらいがあったが、他の打者に対してはどんどん攻めていった。西武打線も淡白で、早いカウントから凡打を積み上げていった。西武は広島から加入の嶋がブレーキになっていた。

6回に失点をしたが、すでに勝敗は決していた。

この日はストラークゾーンからボールになる、縦に小さく変化するスライダーが非常に良かった。打者の手元へきて急に落ちる感じがあった。

7回以降は速球が135km/h程度しか出なかったが、西武の打者はこれが打てなかった。おそらく、この速球は動いていたのだろう。表では4S(4シーム)と書いたが2Sだったかもしれない。これにシュート(黒田博樹のシンカーを思わせる)を交えて、終盤は西武打線を翻弄した。これまでなら2回を投げれば3本は打たれる斎藤だったが、被安打が少なかったのは、打者が球を芯でとらえていなかったからだ。

早稲田大学2年の秋、ERA0.83を記録したころの斎藤は速球を主体に投球を組み立て、ここに鋭く曲がるスライダー、2Sなどを交えて打者を圧倒していた。常に主導権を握って投げている感があった。特に打てそうで打てない2Sは有効だった。この投球がよみがえった気がした。

プロ入りの時に「速球で勝負したい」という斎藤に、吉井理人コーチは「それは球速を上げることやないで、ほなまた」と諭した。速球で攻め、カウントを有利にしてあとは変化球で料理をする。そのために必要だったのは、精密なコントロールと結果を恐れぬ勇気だったのではないか。昨日の斎藤は、それを見事に現実のものにした。

西武の打線は湿っていたのかもしれない。しかしこの投球ができるのなら、“春の椿事”で終わらないかもしれない。斎藤は本当にエースになるかもしれない。

それにしても、オープン戦での乱調ぶりから、ここまで大変身したのはなぜなのか、関係者に聞いてみたい気がする。

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