野球の危機を語ると「競技人口が減っても問題はない、見るスポーツとして野球は繁栄し続ける」という反論をいただく。
確かに「大相撲」は、競技人口などほとんどいないと思われるが、人気を保っている。
今でも地方に行くと、学校の校庭に土俵が築いてあるのを見かけるが、相撲をしている子供はほとんどいない。
すでに競技スポーツとしての相撲は、マイナー化して久しいが、相撲人気は、八百長事件で落ち込んだものの相変わらず高い。本場所のチケットは入手困難だ。

「フィギュアスケート」も人気が高い。浅田真央は、女性アスリートの人気ナンバー1だ。しかし競技人口は極めて少ない。スケートをしたことがある人は多いだろうが(私は2回目のスケートで前歯を折ったが)、フィギュアと名前が付く競技をしたことがある人は微々たるものだろう。
競技人口がほとんどいない「見るスポーツ」というジャンルも存在するのだ。
しかしそれには条件があると思う。
「大相撲」は、相手を土俵の外に出すか、足の裏以外の部分を土俵につけるかすれば勝ち。決まり手や組手などは複雑だが、ルールは極めてシンプルだ。何も知らなくても熱中できる。
「フィギュアスケート」は、採点方法などは高度に複雑だが、その競技自体が美しいから熱中できる。失敗すればすぐにわかる。詳しくなくても楽しめるのだ。
「野球」はそうではない。ルールは複雑で細かい。打った、投げた、走っただけならわかるだろうが、試合展開や勝負の機微などは一定以上の知識がないとわからない。
野球界に君臨した(今もしている?)渡邉恒雄読売新聞最高顧問は、野球界の権力を掌握してから
「君、なぜ三塁に走っちゃいかんのだ」
「君、セカンドとショートはどっちが一塁に近いんだ」
と側近に聞いたと言われるが、小さいころからなじんでいない人の野球の知識などこの程度である。
今、野球の競技人口は減少しているが、とりわけ軟式野球や、草野球、野球ごっこに興じる子供の数が減っている。いわゆるライトユーザーだ。
これは「やる側」ではなく「見る側」が減っていることを意味している。
子供のころに野球に親しまなかったこともが、大人になってから急に野球ファンになることなどあるのだろうか。
そういう危機感でこの本を書いたのだが。


「そうは言うが、今、球場で盛り上げっているカープ女子は、それまでほとんど野球なんか知らなかったはずだ」という反論もあろう。
確かに、今、スタジアムに詰め掛けているファンの多くは、野球についてそれほど詳しくないのかもしれない。
しかし、私はこうした盛り上がりがいつまで続くのかと思う。
世の中にはブーム、ファッションというものがいくつもある。それらの言葉には「一過性の」という修辞が付いて回る。
ブーム、ファッションが永劫続くことはないのだ。
原宿で竹の子族をしている若者はもういないし、ディスコで踊り狂うワンレンボディコンも幻と消えた。今のファンの中には、そういう類も含まれているのではないか。
球団が、そうしたファンも呼び込んで、楽しんでもらうための営業努力をするのは当然だ。もっとやってほしいと思うが、しょせん、一過性のものではないかという気がしてならない。
コアでずっと応援をしてきた人たちはこれからも変わらないだろうが、カープ女子は5年先も10年先もそのままいると思うべきなのだろうか。

遅きに過ぎるが、子供たちに草野球、野球ごっこの楽しさを植え付けるような取り組実を始めないと、野球は「見るスポーツ」としても衰退するのではないか。
山本一義、全本塁打一覧|本塁打大全
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今でも地方に行くと、学校の校庭に土俵が築いてあるのを見かけるが、相撲をしている子供はほとんどいない。
すでに競技スポーツとしての相撲は、マイナー化して久しいが、相撲人気は、八百長事件で落ち込んだものの相変わらず高い。本場所のチケットは入手困難だ。

「フィギュアスケート」も人気が高い。浅田真央は、女性アスリートの人気ナンバー1だ。しかし競技人口は極めて少ない。スケートをしたことがある人は多いだろうが(私は2回目のスケートで前歯を折ったが)、フィギュアと名前が付く競技をしたことがある人は微々たるものだろう。
競技人口がほとんどいない「見るスポーツ」というジャンルも存在するのだ。
しかしそれには条件があると思う。
「大相撲」は、相手を土俵の外に出すか、足の裏以外の部分を土俵につけるかすれば勝ち。決まり手や組手などは複雑だが、ルールは極めてシンプルだ。何も知らなくても熱中できる。
「フィギュアスケート」は、採点方法などは高度に複雑だが、その競技自体が美しいから熱中できる。失敗すればすぐにわかる。詳しくなくても楽しめるのだ。
「野球」はそうではない。ルールは複雑で細かい。打った、投げた、走っただけならわかるだろうが、試合展開や勝負の機微などは一定以上の知識がないとわからない。
野球界に君臨した(今もしている?)渡邉恒雄読売新聞最高顧問は、野球界の権力を掌握してから
「君、なぜ三塁に走っちゃいかんのだ」
「君、セカンドとショートはどっちが一塁に近いんだ」
と側近に聞いたと言われるが、小さいころからなじんでいない人の野球の知識などこの程度である。
今、野球の競技人口は減少しているが、とりわけ軟式野球や、草野球、野球ごっこに興じる子供の数が減っている。いわゆるライトユーザーだ。
これは「やる側」ではなく「見る側」が減っていることを意味している。
子供のころに野球に親しまなかったこともが、大人になってから急に野球ファンになることなどあるのだろうか。
そういう危機感でこの本を書いたのだが。
「そうは言うが、今、球場で盛り上げっているカープ女子は、それまでほとんど野球なんか知らなかったはずだ」という反論もあろう。
確かに、今、スタジアムに詰め掛けているファンの多くは、野球についてそれほど詳しくないのかもしれない。
しかし、私はこうした盛り上がりがいつまで続くのかと思う。
世の中にはブーム、ファッションというものがいくつもある。それらの言葉には「一過性の」という修辞が付いて回る。
ブーム、ファッションが永劫続くことはないのだ。
原宿で竹の子族をしている若者はもういないし、ディスコで踊り狂うワンレンボディコンも幻と消えた。今のファンの中には、そういう類も含まれているのではないか。
球団が、そうしたファンも呼び込んで、楽しんでもらうための営業努力をするのは当然だ。もっとやってほしいと思うが、しょせん、一過性のものではないかという気がしてならない。
コアでずっと応援をしてきた人たちはこれからも変わらないだろうが、カープ女子は5年先も10年先もそのままいると思うべきなのだろうか。

遅きに過ぎるが、子供たちに草野球、野球ごっこの楽しさを植え付けるような取り組実を始めないと、野球は「見るスポーツ」としても衰退するのではないか。
山本一義、全本塁打一覧|本塁打大全
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コメント
コメント一覧
こういうコメントをするから、野球人にはまかせておけないとみんな思うわけですよ。
ちょっと硬球いじったからと言って、何がわかるんですか。
野球はプレイヤーだけのものではない。野球を腐らせたことを自覚すべきだ。
傲慢で失礼な野球経験者を嫌いな人が多いから、野球離れが起こっている。いいかげんに目を覚まさないと。
よろしければ、ビジネス、興行としての野球にプレイヤー目線がなければ、なぜいけないのか。ご教示ください。
フィギュアスケートもここまで人気が広がったのは、男女共に見た目の良い選手が活躍しているからではないでしょうか。
大相撲でも、先日亡くなった千代の富士にしてもそうですが、アイドル力士と呼ばれる存在が居て人気に一役買っていた。
野球でも甲子園のスターはルックスの良し悪しで、優勝投手だろうが人気に差が出る。
斎藤佑樹も、もう少し顔が悪ければ王子とは呼ばれず、ここまで名を売れなかったでしょう。
カープ女子も竹の子族と比較するのは間違っていると思いますけどね。
若くて、顔が比較的整っている選手が多いからこそここまでファンが増えたと思うのですが。
「野球人口が減ればルックスの良い選手が入ってくるのも減ってファンも減るのでは?」という反論もあるでしょうけど、
野球界でのイケメン扱いのハードルは芸能界と比べれば低く、野球人口の減った今の選手の方が不細工ばかりかと言えばそうではない訳です。
長文失礼しました。
ちょっとずれているのではないでしょうか。容姿の問題は努力のしようもありませんし。
カープも10年15年先に今の状態が続くかは分かりません
カープ女子の何割が○○女子に鞍替えするかわからないけど、野球に熱中した思い出は残る。
カープ女子辞めてもWBC くらいは応援してくれるだろうし、将来子供に野球を習わすかも知れないから大事な顧客です。ミーハーと見下さず優しく接するしかない(笑)
元ヤクルトの宮本が幼稚園を回って普及活動してたけど、ライトユーザー向けにこれくらいしないとダメ。
野球少年に教えるより野球を知らない子供をターゲットに教える。遊び程度でもいい。公園にしょーもない壁作ってる場合じゃない。
人気の再ピークを迎えているスポーツに危機を語っても、牽強付会にすらなっていない
そういうのを杞憂という
あるいはポジショントーク
いや、今の人気ピーク状態のときだからこそ、考えなきゃいけない事項だと思います。
広尾さんの言うように、対策を打たず今のまま突き進めば、20年後は間違いなくマイナースポーツの仲間入りをしているスポーツだと思います。
今の若い子は、野球も知らないし、テレビも見ない。そもそも野球に触れることが無い世代ですよ
マスコミはあくまで野球を守りますから。
新聞、テレビと野球は一心同体、死ぬまで一緒です。
ただ、広尾さんは著者でマスコミの球団への資本参加禁止を唱えていますが、これが実現したら野球マスコミに捨てられる可能性が出てきますね。
✕著者
↑微妙に間違えました
あまり興奮しないでください。僕はむしろ野球関係者にはビジネス目線が必要だと思ってますよ。ただ野球ファンにはプレイヤー目線でも野球を見れる人が増えて欲しいですし、野球の面白さをもっと深く感じてくれるファンを増やす必要があると思います。どちらかと言えば、私は広尾さんの意見に賛成派ですから。
そういう風には全く見えなかったので。
もう一度聞きますが、プレイヤー目線って何ですか?ちゃんと答えられなかったら、もっと興奮するぞ。
プレイヤー目線、一言で表すのは難しいですね。
例えば、150km/hのストレートはどれだけ速いのかとか、バントは実はスゴい高等技術だとか、ここではこの配球がセオリーだとか、プロ野球選手がどれだけ凄いのか実感として感じる人が増えていけば、雰囲気だけじゃなくて野球を楽しめる人が増えていくのではと思います。
素朴な疑問ですが、
プレイヤー目線というのは、昔は出来ていたのでしょうか?昔は今より野球経験者が多かったと思うので
支えているのは全てお年寄りというのがポイントですね
どれも年寄り偏重型の視聴率であり、スポンサー的にはコンテンツの価値が低い
150km/hを体験できる野球選手はほんの一握りだと思いますが。それを野球経験のない人に伝えていく努力をしなければならない。
一般人を小ばかにしている野球選手上りは、今までそんなことしてこなかったでしょ。
プレーヤー目線は、プレーヤーのためだけにあって、素人には紹介するのも馬鹿らしいと思っていたのではないですか?
フィギュアスケートを支えているのはお年寄りでは全くないですよ。高いのに極めてとりにくいチケットを買える観客という意味では3-50代女性がメインですが、ファン層は10-20代にも厚く、今期はアニメの題材にもなってます。
野球やサッカーと比べファンの多くは日本選手以外にも熱い興味があるので、観る競技としては当分すたれることはなさそうです。
やはり個人競技であり、採点系で、Xゲームのボードのような要素がないですから。
多分、自由に大きな動きができる競技に若い人は寄っていくんですよ。そういう面では。野球の場合、小さいから、そういう要素かない。
大きい場所で大きくよく展開するもの。そんな要素がほしいんでしょう。
狭い空間でやる事が今の若い人は嫌なんでしょう。
最近はバッティングセンターは少なくなりましたが、150キロを打てるバッティングセンターも探せばあると思います。
どこかのバッティングセンターには200キロぐらいの球があるバッティングセンターもありました。テレビで、引退した新庄さんが挑戦してました。
自分は中学まででプレーヤーとしては、ひとまず終了しましたが、今は無くなったバッティングセンターで140キロでよく挑戦してました。
広尾氏はバッティングセンターには行ったことあるのでしょうか?
ジャイアンツ戦で球審のマスクにカメラを付けて、プロのピッチャーがどんなものか体感する企画がありましたが、あれは良いと思いましたね。
福岡や札幌の満員ぶりや、このCSも、私はチケットが取れかったこと(もちろん一般販売初日のこと)などから
です。
まさか巨人戦の地上波中継が減ったなどということを根拠にされてるとは思えませんが、
どの点に野球人気の低迷を感じられているのでしょうか。
地上波での視聴率がほとんどとれなくなっていること、2010年から少年野球などの競技人口がわずか6年で30%減っていること、さらに、アマチュア球界から「もう人口が減りすぎて地域の活動が維持できない」という声が上がっていることなど、その兆候はたくさんあります。
プロ野球の観客動員は増え続けていますが、それは非常に限定的な現象です。
「野球崩壊」をお読みください。
これはどのスポーツでも同じことかと思います。
それに複雑なルールのスポーツは「観る」か「やる」かなら「観る」だと思います。そして野球は普及能力(競技人口を増やす能力)ではサッカーやバスケに圧倒的に及ばない。ここまで理解した上で普及のための努力、存続するための努力をすべきじゃないですか?
読みやすい内容なので一気に読み干しましたが、今後もう少し繰り返し精読し、読み込んでいきたいと思います。
広尾さん、お疲れ様でした。
野球の今後については、相撲程ではないにしても「見るスポーツ」に特化していくべきだと思います。
たしかに野球は相撲ほどルールが単純ではありませんが、競技人口が相撲の100倍くらいいますので、ルールへの大衆の理解度は高いです。
今後、競技人口はどんどん減っていきますが、それでも相撲の数十倍は維持できますから。
全部のスポーツがそうではない。野球は"難しいほう"だと思います。
普及すべきだということを「野球崩壊」で書いています。
今,3,40代の人はファミスタや燃えプロで野球のルールを覚えた人が結構いると思います。
コナミ一強かつ衰退傾向の状態をどうにかしてほしいと思いますね。
ありがとうございます。
問題は何億ももらうような選手を抱えておくことができなくなることです。
野球界を崩壊させずに、いかにダウンサイジングさせるか、という課題は難しい。
野球ゲームははっきり退潮ムードです。
特に小学校低学年以下にやらせるには野球は運動量が少すぎますし順番待ちが長すぎますので明らかに不向きです。
もしどうしても小学校低学年以下にやらせたいなら、大幅にルールを変えないと子ども達の身体の発育にマイナスではないかと思います。
三振を一振に、四球を一球に変更し、2塁を無くす、くらいの改正は必須ではないでしょうか。
まあ、そこまでして子ども達に無理矢理野球をやらせる必要は無いと私は思いますけどね。
やってもらう、選択してもらう、という発想に換えないと。
あと投手からスタートする試合というのが相当なハードルだと思う。これをまずどうかんがえるのか。
あとはオレンジボールってヤツも面白いんですが。
普及しないかな?
小学校で授業をしていますが、教えている教師が野球を知らないため、面白さが伝わらないようです。
今、小学校の授業で野球のようなものをやっているようですが、完全に「子どもに野球をやらせることが目的」の授業になってしまっています。
小学生の子どもに必要なのは、もっと全員が走り回ることであり、その点で授業時間の大半が順番待ちになる野球は不向きです。
体育の授業に求められるのは、子ども達の身体の発育を促進することであり、野球を無理やりやらせることをその目的にすることは誤っています。
その点で、子ども達の身体の発育を犠牲にして野球を強制している現状には大きな疑問を持っています。
ご丁寧なコメント、ありがとございます。
そうなんですか…寂しいことです。
広尾さんの著書、読ませていただきますd(^_^o)