今年のCSファーストステージは面白かった。特にセは、死闘と言ってもいいかもしれない。

その要因の一つは、間違いなく菅野智之 がマウンドに上がれなかったことだ。絶対的なエースがいないことで、巨人はDeNAにハンデを与えていた。

しかし、DeNAの勝因はそれだけではない。今年の巨人はDeNAに10勝14敗1分、後半戦はカモにされている感があった。DeNAは全く物怖じしていなかった。

初戦は筒香嘉智の一発でDeNAが取り、二戦目は坂本勇人の爆発で巨人が取った。3戦目、戦ううちに両者は良くこなれてきて、またもや接戦となった。

ともに投手が3番手になったことで、立ち上がりから点の取り合いとなった。DeNAはロペス、巨人は阿部慎之助がともに2ラン。内海は2回に投手の石田にも安打を打たれ関根犠牲フライ。たまらず高橋由伸監督は、大竹にスイッチ。この豪華な交代もポストシーズンならでは。

ここから膠着状態に入るが、6回巨人は村田修一に一発。村田、阿部と中軸が打ち始めた巨人が有利かと思えた。

試合は9回、村田がこの日3本目の安打を打つ。高橋由伸監督は、ここで切り札、鈴木尚広を代走に送る。
投手は4番手田中健二郎、鈴木は今季、10盗塁して失敗なし。

しかし、DeNAベンチは田中が本塁へ投げた時に、鈴木が一瞬帰塁するそぶりを見せたことで「鈴木は田中の癖を見抜いていない」と判断し、ラミレス監督に「2球牽制球を挟みましょう」と進言、はたして2球目の牽制球で、鈴木はアウトになったのだ。

今季の鈴木の戦績

T-Suzuki-run


鈴木はDeNA戦に最多の10試合に起用され、これも最多の6得点4盗塁。鈴木をこのタイミングで出すのはまさに定石だった。走らないまでも十分なプレッシャーを与えることができたはずだ。

そのプレッシャーをDeNAは、勇気をもって振り払ったのだ。

この試合は巨人に0.5勝のアドバンテージがある。引き分けならば、巨人の勝ち抜けが決まる。終盤になればなるほどそのアドバンテージが利いてくるのだが、鈴木がアウトになったことでムードは一気にDeNAに傾いた。

10回表から澤村がマウンドに。前の登板で打ち込まれていたが、ここで上げなければポストシーズンは今後、使いづらくなる。
澤村は期待に応え、1回を三者凡退、11回表、倉本のあたりが澤村のつま先を直撃、澤村は退場を余儀なくされる。
このあとに伏兵嶺井の決勝打が出る。

11回裏、これもやや不安視されるクローザー山﨑康晃がマウンドへ。1死から坂本が安打、2死後代打堂上が歩き、阿部慎之助に。
阿部の打球はいい角度で右翼に上がったが、ドラマは起こらなかった。

ここまでの試合を見せてくれた両軍に感謝したい。

勝負を分けたのは鈴木尚広のピックオフだが、鈴木を責めるのは愚かだ。今季、10回しか打席に立っていない38歳のわき役が、大一番のカギを握ったのだ。異能の選手、鈴木の面目躍如といってもいいのではないか。帰塁できなかった鈴木は、東京ドームの土に顔をうずめたが、この印象的なアウトで球史に残ったのではないか。

(日本テレビは最後まで放送したようなので、以下の一文は削除させていただきます)



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