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「ドラフトなんだけど、そろそろ自由競争に戻すべきだろう。ドラフトは戦力の均等化、巨人ばかりにいい選手が入ることを防ぐため1965年に作られた。一時期は、誰もが『巨人に行きたい』と言っていた。でも最近の選手は、人気球団よりもいかに自分が活躍できるか、レギュラーが獲れる球団かを考えはじめている。
だからドラフト廃止は検討すべきだと思う。行きたい球団に行けないのは辛いしな」
「巨人でなきゃ嫌だ」という選手がほとんどいなくなったから、ドラフトはもういいと言っているのだ。

ドラフト制度が導入されて51年、52回のドラフトで4000人以上の選手がNPBに入団した。今の制度では日本の学校を卒業した選手は、ドラフト以外では入団できないことになっている。

ドラフトは、クローズドリーグのアメリカンスポーツにしか存在しない。
オープンリーグでは、弱いチームはどんどん降格し、新しいチームが上がってくる。強いチームは有力な選手をどんどん獲得して、さらに強大になる。そこに新興チームが現れ、覇権をめぐる争いが展開される。
経済力があり、人気があるチームに強い選手が集まることで、リーグは盛り上がっていく。

しかし弱いチームでも存続し続けるクローズドリーグの場合、選手獲得を自由競争にし、強いチームに選手が集中するのを放置すると、戦力格差が広がり、ワンサイドゲームが増え、ペナントレースの興味が失われる。特定のチームは繁栄するが、リーグ全体の活力は失われ、衰退する。

NPBでは1965年まで、選手獲得に関する厳しい規定がなかった。この時期には優勝は過半を巨人が独占した。その総仕上げが、1965年から始まったV9だった。
V9の時代、巨人を除く観客動員は低迷し、テレビの視聴率もよくなかった。
これはクローズドリーグで、野放図な選手獲得を放置した結果と言ってよい。

プロ野球の視聴率が上がり、観客動員が増加したのはドラフトで入団した選手が各球団の中心的な戦力になった1970年代半ば以降のことだ。

また自由獲得競争の時代は非常識な札束が乱れ飛んだが、これも完全になくなったとは言わないが、以前よりもはるかにおとなしいものになった。
経済的に弱い球団が金の力ではなく、育成の力で勝つことも多くなった。

そういう大きな流れを見れば、不完全な仕組みながらもドラフトはプロ野球の発展に大きな貢献をしていることがはっきりわかる。

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巨人など特定の球団に行きたいというアマチュア選手が減ったのは、ドラフトによる戦力均衡が進み、球団格差が小さくなったことが大きい。
また、ドラフト制度がどんなものであるかが、アマ側によく浸透したことも大きい。

いろいろあったが、NPB球団側も選手獲得は、自由にならないという認識が定着し、選手の育成に力を注ぐようになった。また最近は、入団に際しての裏金も、なくなりつつあるという。

もし、ノムさんの言うようにドラフトの役割はもう終わったとして、廃止したらどうなるだろう。

金満球団は裏金を使って再び有望選手を爆買いするようになるだろう。
また選手も待遇の良い特定球団に行きたいと公言するようになるだろう。

アマ選手が「この球団に行きたい」とあまり言わなくなったのは、ドラフトがあったからだ。「戦力均衡のためには、そういうことを言わないほうがいい」と選手が思ったからではない。

職業選択の自由を奪っているという意見もあるが、クローズドリーグが存続していくためには、こうした特殊事情が許されるというのは、日米の見解だ。

今、ドラフトを廃止し、自由競争を認めれば、金満球団が好き勝手をするのは間違いない。そうなると経済的に苦しい球団は苦境に立つ。

それは、パの弱小球団とは限らない。経済的に芳しいとは言えない巨人あたりも「負け組」にならないとも限らない。




nabibu-Yakyu01
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