ようやく読み方を覚えた。DAZN=ダゾーンだ。スポーツ配信オンデマンドサービスである。
昨年、Jリーグと10年2100億円もの契約をしたことは、大きな話題になった。その直後に川淵三郎キャプテンにお目にかかったが「な、讀賣の言うこと聞いて、放映権切り売りしなくて良かっただろ」と言っておられた。
Jリーグは優勝賞金も、各クラブへの分配金も増額した。経済原則から言えば、これから良い人材が集まってくるはずだ。

しかしダゾーンに勝算はあるのか?Jリーグは900万人の観客動員があると言っても、人気は低迷している。サッカー人口は増えているし、根強いファンはいるが、Jリーグそのもののすそ野は広がっていない。
これまでJを支えてきたスカパーとサブライセンスを契約しないことも決まり、ダゾーンは後に引けない状況にあると思えるが。

昨日のNHKのニュース番組によれば、ダゾーンは、Jリーグには2000万人の潜在顧客がいると分析。ここへのアプローチは十分可能と考えているようだ。
その根拠として、Jリーグが技術レベルが高く、コンテンツとして顧客のニーズに応えられるという判断がある。
ダゾーンは、そのために、自分たちで映像づくりも行う。つまり彼らの判断で魅力的なプレーを切り取って配信するとしているのだ。

2000万人と言う潜在顧客は、1993年以降、サッカーの普及が進んで、少年野球ではなく少年サッカーで育ってきた若い世代のことを指すと思われる。
その多くはJリーグに興味がなく、海外のサッカーを視聴したり、サッカー以外のものに興味を抱いている。
しかしもともとサッカーへの親和性が強いので、良いコンテンツさえ発信できれば、Jリーグの視聴者にすることができるという判断なのだろう。

同時にダゾーンは、テレビやパソコンの前だけでなく、スマホなど様々なデバイスで視聴が可能だ。NTTドコモは、ダゾーンの格安視聴を拡販に利用している。

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もちろん、こうした取り組みがうまくいくかどうかは、まだわからない。巨額の投資が回収不能になる可能性もあるだろう。

しかし、ダゾーンのマーケティングは、野球の今後のマーケティングにも大いに参考になるだろう。

WBCで地上波民放は、タレントを起用したり、チアガールを結成したりして注目を集めようとしている。
またNPBの各球団も、様々なイベントを催したり、グッズ販売をしたり、マスコットを目立たせたりして、お客を惹きつけようとしている。しかし、そうしたあざといマーケティングは、一過性のものであり、野球人気の回復に役立つとは思えない。子供だましの類だ。

NPBの野球が、本当に魅力的で、コンテンツとして視聴に耐えるのかどうか、新たな顧客を獲得することができるのかどうか、冷静に判断したうえで、その本質的な魅力を、最大限にアピールすることを考えるべきだろう。

民放地上波などは「どうせ野球は面白くない」と言う前提で、くだらないタレントを引っ張ってきたり、馬鹿なアナウンサーに絶叫させたりしているが、それで惹きつけることができるのは、地上波テレビの前に口を半開きにして座っている「意識低い系」の中高年だけだ。

若い世代は、物事の良しあし、好悪を、高い次元で判断している。それまでの世代とは大いに違う。「ヲタク」と上の世代に馬鹿にされている連中が作り出している世界の精緻さを考えても、地上波テレビづれの低レベルなマーケティングでこれに太刀打ちできるはずがない。

野球マーケティングの主体がNPBなのか、野球界なのか、メディアなのかは議論の余地があるが、少なくともダゾーンが示したような判断、つまり「野球のコンテンツとしての価値の分析」と「それを受けた本質価値の訴求」を中心に据えなければ、野球の未来は展望できない。

ありていにいえばNPBもダゾーンにマーケティングしてもらったらどうなのか?



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