昨年秋以来、侍ジャパンは国際試合でふがいない試合をしている。これは今のNPBのおかれた立場と関係があると思う。
朝も少し述べたが、今のNPBの選手の待遇は素晴らしい。彼らは野球さえすればいい環境にいる。
キャンプでもレギュラーシーズンでも、周囲がすべておぜん立てをしてくれる。

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例えば阪神の宜野座キャンプには、1月中に阪神園芸の甲子園の担当者が出張して、グランドの整備をする。甲子園と同じ土を入れて、内野の感触を同じにする。
糸井嘉男は一昨日、この素晴らしいグランドで、感に堪えないように「やっぱり人工芝はええなあ」と言ったようだが、当然、天然芝だ。

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那覇の巨人キャンプは、例年、12月、1月はセルラーフィールドの貸し出しを中止し、こちらもグランド整備の専門家が来て、調整をする。この期間にグランドに入ることができるのは、自主トレの巨人選手だけだ。

他のグランドでも調整は極めて念入りだ。昭和の時代、地方のグランドが石ころだらけでエラーが続出したというのは昔話になった。

キャンプが始まるとおびただしい数のスタッフが練習環境の維持のために様々な仕事をしている。
グランドだけでなく、室内練習場も、ブルペンも、手で撫でまわすように整備されている。

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トップリーグなのだから、それは当然のことだ。選手たちはここで体を調整し、技術を高めていく。

その点は、MLBも同じだ。MLBのキャンプ地ははるかに広大で、整備も徹底されている。またロッカールームや移動手段も、驚くほど豪華ではある。

NPBはMLBについで経済規模が大きいから当然と言えば当然ではある。お金がある。ステイタスもある。NPB選手はMLBほどではないにせよ、セレブなのだ。

しかしNPBとMLBには大きな違いがある。MLBでは25人のロースターに入り、試合に出ている限り、素晴らしい待遇が得られる。しかし、ロースターから外れてマイナーに落ちたとたん、極端に待遇は悪くなる。ステーキリーグからハンバーガーリーグへと言われるゆえんだ。
25人枠にいても、契約によっては突然戦力外になったり、トレードされたりすることもある。一握りの大型契約選手を除けば、おそらく彼らは気の休まるときはないはずだ。

対照的にNPBでは、70人の登録選手、それから外れた育成枠の選手も、待遇面では大きな差はない。
二軍の球場は設備的には一軍よりも劣っているが、それでも選手の待遇は変わらない。
彼らは野球さえすればいいことになっている。NPBの場合、選手寮も素晴らしく充実している。どんな選手であれ、広い個室を与えられる。寮にはジムがあり、トレーニング機器も充実している。食事も栄養を考えた料理が三度三度出される。ホテル並みのホスピタリティが保証されているのだ。

日本の独立リーグの選手も寮で生活をしているが、多くは相部屋だ。まかないつきの寮もあるが、多くの場合、自分で調達しなければならない。また、グランドへの移動はバス。荷物は自分で持ち、グランドの整備も自分たちでする。
その環境は、MLB傘下のマイナーや独立リーグ、カリビアン諸国の下部リーグなどでも同じだ。
台湾のCPBLの待遇もNPBよりははるかに劣る。KBOも同様だ(伊東勤は、「KBOの監督時代、試合が終わった選手がユニフォーム姿でレストランに入るのはやめた方がいい」と語った)。

彼らは、こうした環境から這い上がることを夢見て、プレーしているのだ。

WBCは、そうした選手たちにとって、一獲千金のチャンスなのだ。

率直に言って、MLBのスーパースターたちは、素質でも、体力でも明らかに常人の域を超えている。そこまでたどり着くのは困難だ。

しかしNPBは、そこまで大きな違いはない。むしろ身体能力では、カリブ諸国の選手の方が上回っている。NPBは、組織力、規律、データで素材としてのハンデを乗り越えて勝っている。
それはそうだが、個々の選手としては大したことがない。
自分たちと大して差がないのに、NPBの選手は、上から下まですばらしい待遇で野球をしている。そして少々成績が悪くても、すぐにクビになることもない。
最近は、外国人選手でも、少しチームに貢献すれば契約がつながることが多くなった。

NPBと試合をする各国には、NPBの選手にとって代わりたいという色気をもっている選手がたくさんいると思われる。

NPBの選手たちの中には、本心でいえば「コンディションが万全ではない」「まだ調子が上がらない」と思っている選手もいるはずだ。
「もっとちゃんとおぜん立てしてくれないと、いいプレーなんかできないよ」と思っている選手もいるのではないか。

最近の国際試合での侍ジャパンのふがいなさは、つまるところ、こういう意識の差だろう。
WBC本番になれば、NPBの選手は「日の丸」という別種のプレッシャーがかかって頑張りだすと思うが、もともとの「気持ち」の差を埋めることができるのだろうか?



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