WBCのアメリカ代表は悪くはない顔ぶれだが、特に投手ではマックス・シャーザーやクレイトン・カーシヨウなど大物が出ていない。「全力」と言う感じではない。
WBCで春先に力投することで、投手には大きなリスクがかかる。その上、手を抜いて負ければ、不名誉が残る。
大型契約をした投手にとって、WBCには出場するメリットがないのだ。
「愛国心」「プライド」は、彼らとて相応に持っているだろうが、それとリスクを天秤にかければ答えは明らかだ。
MLBのスーパースターは、この瞬間に野球生命を絶たれても、一生ぜいたくな暮らしができるような報酬が保証されている。
WBCでリスクを冒す根拠はどこにもない(むしろその環境で、なおもレギュラーシーズンで好成績をあげようとする精神は、見上げたものだというべきかもしれない)。

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侍ジャパンに選出される選手たちには、それほどの高給取りはいない。億の単位の年俸は一般人では望めない金額だが、一生セレブで生きていけるほどのものでもない。
日本のエース級が、リスクを冒してWBCに出場するのは、MLBほど高給取りがいないからだ、という説明も成り立つだろう。

しかしながら、侍ジャパンの選手たちは、2009年ころとは明らかに意識が変化してきている。
日本が連覇した2009年ころまでの日本代表は、投手、野手ともに、のちにMLBでプレーした選手がたくさん含まれていた。
彼らは国際舞台で活躍することによって、次のステージが拓けることを渇望した。
国際社会=MLBも、次なる日本人選手を物色していた。WBCは、NPB選手にとってプレゼンテーションの場だったのだ。

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しかしながら、こうした図式は2010年ころを境に崩れつつある。
まず、野手はMLBでほとんど通用しないことが露呈した。イチローや青木のように安打を量産する選手はいても、長打を打てる=価値が高い、選手はいない。まだKBOの方がましだ。

さらに投手は優秀ではあるが、プロ入りまでの酷使(主として甲子園)がたたって、多くの日本人選手は故障持ちであることが明らかになった。リスクがあるのだ。

MLBのNPBに対する見方は、一定の「但し書き」をつけたものになった。

今でも大谷翔平など一部の選手の評価は極めて高いが、MLB側のNPBへの見切りは済んでいる。WBCで活躍して、初めて注目され、刮目して見られるような選手はまずいない。

つまり、WBCは、NPBの選手のプレゼンテーションの場ではなくなったのだ。

選手がそれを意識しているかどうかは知らないが、今の侍ジャパンの選手は次なるステージ=MLBへの野心は薄まり、「愛国心」「プライド」だけをモチベーションにしているのではないかと思う。
それでも、同質性の高い日本人選手にとっては、小さくはないモチベーションだろうが、その反面、ケガをしては元も子もない、という意識も芽生えていると思う。

最近の強化試合、練習試合での侍ジャパンの元気のなさの背景には、こうしたことがあると思う。

日本の野球界にとって、WBCは「日本の次のステージ」を提示する上で、大いに意味がある。野球少年たちの夢は「プロ野球選手になる」から「プロに入って、WBCで活躍して、メジャーリーガーになる」になりつつある。

しかし実態はお寒いものだ。
WBCの存続が危ぶまれているが、日本にとってWBCは重要だ。
侍ジャパンは、野球少年たちの夢をこわさず、彼らを惹きつけるためにも奮起することが求められる。そしてNPBはWBCの在り方をしっかり定めるために、MLBと話し合いをすべき時に来ている。



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