3試合を見て、ときどきマイクを向けられて話していたが「あ、中居、いたんだ」と思った人が多かったのではないか。
彼は2009年にテレ朝のWBCサポーターになり、2013年にはWBCの公認サポーターに就任。今年はさらにサポーターキャプテンとして、テレ朝だけでなく、TBSの番組でも応援団としてコメントしている。

ただ、その発言はこれまで、やや軽くて、ちゃらんぽらんな印象を与えたため、たびたび批判されていた。

もともと中居は、バラエティ番組では、SMAPというステイタスから「降りてきて」、芸人を軽くあしらう芸風だ。その間合いは絶妙で、当代最高のMCだと思うが、同じ軽さ、同じ乗りで野球にからむと、全く意味が違ってくる。
野球中継では、野球選手、野球人のステイタスが絶対的に高くなる。アナウンサーやレポーターは、僕のようなものだ。
中居は自分で意図したわけではないだろうが、大物なので、結果的にそのヒエラルキーを壊すことになってしまう。
自分の大きさを意識せず、無自覚的に話していたために野球ファンから散々に批判されたわけだ。

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今年の中居は明らかに違った。
よく勉強をした上に、えらくへりくだっていた。SMAP解散と言うデリケートな時期だったこともあるだろうが、「心を改めた」ようにまじめで、熱心になった。
実は、中居は2015年のプレミア12から、見巧者ぶりをちらつかせてはいた。日本対ベネズエラ戦で、ベネズエラの内野が5人態勢になっているのを放送陣で、ただ一人見つけた。

今回の中継でも、時折専門的なコメントをしている。「さすが」と思えるものもある。取材もしているようだ。

しかし、そうであっても、やっぱり思ってしまう。「中居正広ってWBCに必要か?」

野球の専門的な話は、野球解説者から聞きたい。中居が話しても「利いた風な話」になってしまう。
増田明美ばりの、こまごましたエピソードを中居の口から聞いても値打ちがない。
野球選手の話を聞いて「おっしゃってました」は背中がむずがゆくなる。気持ちが悪い・
かといって、軽いのは聞いていてむかむかするし。
どういうポジションでも、中居正広はいらないと思う。

そう思うのは、WBCという大会の試合が「面白い」からだ。
アメリカが本気じゃないとか、運営体制に問題があるとか、いろいろあったとしても、いざ試合が始まると各球団は本気モードになる。
ペナントレースでは考えられない「負けたら後がない」戦いに、選手は真剣にならざるを得ないのだ。
侍ジャパンがまなじり決しているのは毎度のことだが、昨日、キューバに惜敗したオーストラリアの選手は、ベンチで目頭を押さえていた。

WBCはいい加減な大会だが、面白いのだ。中居正広の手を借りなくても、十分満足できるほどに。

このあたりに野球放送の明日を考えるヒントがあるように思うのだが。


『野球雲 vol.8』出版記念 広尾晃さん&松井正さんトークショー&サイン会


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