昨日は、高知市野球場にいた。雨が降り、寒くなったので記者席にもぐりこんだ。プレスパスで入っているから問題ないが、グランドの空気を吸いながら観戦するのが基本スタンスの私としては、いささか忸怩たる思いもあった。
球場バックネット裏の記者席は今は地方球場しかない。NPBが本拠にする球場や新しい球場では、記者席はネット裏の観客席中段にあることが多い。

最前列には先に来た記者たちがパソコンを開いて陣取っている。
今回のマニー観戦は、豊浦彰太郎さんと一緒だ。二人で二列目の席に座った。
前列に3人の記者がいた。左の記者の手元を見ると「スコアブックの付け方」という本がある。
「え?」と目を疑った。若い新卒記者ではない。30代だろうか。

試合が始まると一生懸命スコアをつけだしたが、4-6-3の併殺崩れになると、付け方がわからなくなったらしくて、真ん中の記者に聞いている。
「この走者は生きているからアウトカウントはなし」とか言っている。
右側の記者はちゃんとわかっているのか、と思ったら、失策がらみで点が入った時に「投手の自責点はどうなる」と真ん中の記者に聞いている。
確かに難しいケース。ケースによって自責点がつく場合も、そうでない場合もある。真ん中の記者もそういう風に説明していた。

野球の取材パスで入場したひとかどのメディアの記者が、こういうレベルであることに心底驚いた。

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そういえば、前日、カメラマン席でマニーの打席を追いかけていたら、隣の若い女性記者が1打席目の三振、捕手がボールをこぼして一塁アウトというケースがわからなかったらしくて「何ゴロですか」?
と聞いてきた。「三振です」というと、女性記者は何やらメモをとって、どこかへ行った。速報記事を出す係だったのだろう。

こうした状況に接して、この間から言っている「スコアブックをつけよう」と言うのは、ひょっとすると相当高いハードルなのではないかと思った。

教えてもらわなくてもみんながスコアの付け方を知っていたのは今は昔の話だ。

野球の報道の現場、その最前線にいる人でさえ、野球をろくに理解していない人が混じっているのだ。

もちろん、ジャーナリストの劣化ということもあろう。意にそわぬ部署に回されたのかもしれないが、取材分野の基礎知識など頭に入れてから現場に臨むのが最低限の心得だ。恥ずかしくないのだろうか、とも思う。独立リーグだから「練習」のつもりだったのかも知れないが。

ジャーナリズムが骨抜きになって、ただの「お知らせ屋さん」になったのだから、それでいいのだろう。
しかし、野球の素養がない人が、すごく多くなっているのも事実なのだ。

既存メディアがまともな野球記事を書かなくなった(書けなくなった)のも無理はない。
目の前に起こったことを書くことで精いっぱいなのだ。批評みたいなことができるはずもない。
何せ素人も混じって書いているのだから。

豊浦さんと私がそれぞれスコアブックをつけていたのは言うまでもない。

豊浦さんはWBC準決勝、ロスでの日本、アメリカ戦のスコアを見せてくれた。雨に濡れてごわごわになっていたが、うらやましかった。

記者席でいろいろおしゃべりをしながら観戦していた。
豊浦さんはまた、ダゾーンで野球解説を始めている。ソフトな口調でマニー・ラミレスのこと、MLBのこと、球場のことなど実に楽しい話を聞かせてもらった。贅沢なことだった。

私たちの前で「これは犠牲バント、打数はつかない」などと言いながらスコアを付けていた記者諸氏の耳にも入っていただろうが、何を思っていたのだろう。

えらい時代がやってきたものだ。


開幕戦本塁打王は誰だ!(後編)

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