開幕以来絶好調の千葉ロッテ打線に対して、開幕戦で驚きの完投勝利を挙げた斎藤佑樹。どちらがフロックかが証明される試合、と言ってしまうと身もフタもないが。
CL-NF20120406




経験則でいえば、一時的な好調打線は“振ってくる”のに対し、強力打線は“好球必打”ができる。一昨年、強かった頃の千葉ロッテ打線は、初回から実にいやらしい粘りを見せていた。西岡、荻野貴、金泰均、井口らが、なかなかボールを振らなかった。しかし、今年の千葉ロッテは見てのとおりである。

140km/hそこそこ。開幕戦と比べて4~5km/hは遅い斎藤の速球に次々と手を出していく。VTRでよく見てみたのだが、立ち上がりの斎藤の速球は動いていない。素直な4シームだ。しかし、低めにコマンドが効いているうえに、攻めの姿勢があるから、常に先手を取っている。千葉ロッテ打線は「これなら打てる」とばかりに安易に手を出して凡打の山を築いた。

ダメなときの斎藤は、立ち上がりから「かわす」投球になってしまい、変化球を多投してカウントを悪くし、球数も増やしていたのだが、昨日の斎藤は、ストライク先行、3回を投げて27球。安打は里崎の本塁打一本だった。

二順目に至って千葉ロッテ打線はようやく斎藤に喰らいついていく。井口、ホワイトセル、サブローが三連打。球が全般的に高めに浮きはじめた。ここで斎藤は変化球主体の投球に切り替えて後続を断った。

5回以降は、打線が斎藤の投球をじっくり見だした。恐らく斎藤は、このころから試合当初に投げていたのとは似て非なる“速球”を投げ始めた。球速はさらに遅く130km/h代後半だが微妙に動いている。これにチェンジアップ、フォーク、シュート(シンカーっぽい)を交えて狙い球を絞らせなかった。

前半で球数が節約でき、“貯金”があったために、斎藤は息があがることなく7回をわずか84球で投げきった。

進歩したなと思うのは、井口資仁との対戦。去年はいきなりスライダーやカーブから入ってカウントを悪くして、歩かせたり打たれたりしていたが、今日の3回の対戦では2度速球から入った。攻めていたのだ。調子の問題もあるだろうが、意識の変化も大きいだろう。

吉井コーチは「今日は気持ちよさそうに投げてたで、ほなまた」。
斎藤佑樹2勝0敗、ERA1.69。
面白くなさそうな顔をしてインタビューを受ける斎藤の顔に、少しだけふてぶてしさを感じた。
こういう風にして投手は成長していくのか、と思った。

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!