ずっと言い続けていることだが、スポーツと「燃え尽きる」は相いれない言葉だと思う。

今季の夏の甲子園、金足農の吉田輝星が予選から1517球を投げぬいて決勝に進出したが、高野連の八田英二会長は、閉会式で
「秋田大会から1人でマウンドを守る吉田投手を、他の選手が盛り立てる姿は、目標に向かって全員が一丸となる、高校野球のお手本のようなチームでした」
と述べた。
この言葉は、一部から大きな批判を浴びた。しかし、問題にはならなかった・
八田会長は、この問題について十分理解している。
2015年のスポーツナビのインタビューではこう語っている。
「高校生の健康と気持ちの問題、それに観客の方がそれで納得されるのかどうか。『一生に1回のことだから倒れるまでやらせてあげては』と思われる方もいますし、高校生本人も『最後までやりたい』と思っているかもしれません。そのあたりの思いと選手の健康の問題。そこをどう考えるかですね」
高校野球の問題はせんじ詰めればこの部分に尽きる。
「選手の健康のほうが、気持ちよりも大事だ」と明言できないから、投球過多などの健康被害をなくすことができないのだ。
これが、どれだけ異常なことか、同じスポーツの「登山」に置き換えてみればわかるだろう。
これ以上進めば「遭難」の可能性がある登攀の時に「遭難してもいい」「ここで死んでもいい」という選手を、指導者は許すだろうか。
「二度と登山ができなくてもいいから、行かせてください」という選手に「よし、行け」という指導者などいないのではないか。

「野球は無茶をしても死なないからいいじゃないか」というかもしれないが、本当の命を失うことはなくても「選手生命」を失う可能性はある。
「思いの方が命よりも重い」は、戦前の日本で声高に叫ばれていたことだ。そういわれて多くの若者が犬死をしたのだ。同じ発想なのだ。
指導者が選手にすべきことは、第一に選手の「健康、安全」を守ることだ。その第一義を忘れているから、日本のスポーツはどんどんおかしな方向に進んでいくのだ。
広島総合・広島市民・マツダS・シーズン最多本塁打打者/1950~1986、2007~2018
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!
↓
好評発売中!
コメント
コメント一覧
野球と登山との比較はこれまで考えたこともなく、すばらしい記事と思いました。
たしか山岳部の大会にはペーパーテストもあります。
野球も、1つのトラブルも想定せず一人のピッチャーがひたすら投げ続ける計画を事前に提出したりしたらきっと減点ですね。失格かも。無計画すぎて。
素晴らしい記事ですね。
あと、福本豊さんが結構好きです。
怪我せずに、続けれるのが肝心・・て。無事これ名馬って。
そもそも高校生で野球燃え尽きたら、その後の野球人生など無いし・・
人生は死ぬまで続く・・・
中国武術の老師が「俺は死ぬまで強くなる。死の直前が一番強い」とかいう話があるとか。
そっちのほうが、なんかまともに思えます。
ありがとうございます。