世間を少し騒がせている高知商野球部が、ダンス同好会の有料発表会に出演した件、私は当事者を知っているので、逆に取材が難しかった。
今、謹慎している野球部の梶原大輔部長とは、昨秋食事をした。関西出身だが、高知にいるためかお酒が強く、付き合った私も、ずいぶんメートルが上がったが「いいと思ったことはどんどん実行する」人だった。
もともと県立の高知農野球部の指導者だったが、市立の高知商に移った。これも異例だが、選手の練習法やメンタルトレーニングも次々と編み出していた。
高知商は、昔から頭の柔らかい指導者がいる。いい投手が高校で壊れることなく次々と出ているのは、そのためでもあろうが、そういう一人だと思った。
梶原さんは硬式野球部だけでなく、ダンス同好会の顧問もしていた。そのよしみで、同好会はチアリーディングチームを結成し、高知県大会から硬式野球部を応援。決勝で明徳義塾の9連覇を阻止したときは、彼女たちはスタンドで涙にくれた。
で、甲子園でも引き続き応援した。
ダンス同好会は12月に結成10年目で初めて、大きなホールで発表会をすることになっていたが、硬式野球部は応援のお礼に出場を約束していた。
そして12月17日、同好会の発表会でチアリーディングに合わせて野球部を引退した3年生たちが、舞台でバッティングやピッチングのふりを紹介したというわけだ。

「いい話じゃないか」と思うばかりだが、後になって、入場料500円をとっていたことが「学生野球憲章」に抵触するという話が出た。そして選手がユニフォームを着ていたことも問題になった。
昭和戦前じゃあるまいし、「高校生が金をとって見せる舞台に上がるのはけしからん」とか「神聖なるユニフォームをなんと心得る」とかいう話ではないでしょう。
梶原部長は、いろいろ新しいことをする人だけに、高知県高野連ににらまれていたということだ。
「東洋経済オンライン」にこのことを書くにあたって、梶原さんに電話しようかと思ったが、高知県在住の関係者から「あなたが梶原さんに頼まれて記事を書いたように思われたら、本人も困る」と言われてやめた。偏狭な土地柄なのだ。
高野連はこういう騒ぎを起こすたびに「おっかない組織」だと思われる。当事者はなんとも思っていないのかもしれないが、もう高野連、高校野球は「選ぶ側」ではなく、社会に「選ばれる側」になっていることを知るべきだろう。
こんなどうでもいい話、「気を付けてくださいね」と口頭で注意すればいいだけのはずだ。

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こんな「どうでもいい」ことよりも高野連にはやらなければいけないことはいっぱいあるでしょう。そちらは後回しでこの件の処分だけは一人前にしている。高野連の硬直化と権威主義化はどこまで進んでいくのでしょうか。
この行為で野球部に処分を下すようですが、なんとつまらない世の中なのかと思ってしまいます。
この記事を見た方が、高校野球についてプラスのイメージを抱くことは絶対にないでしょうね。
野球の普及、発展には高野連が癌になっているという内容の記事を拝見したことがありますが、まさにその一例だと思いました。
友人も「甲子園大会有料やん」てなこと言う人いました。このコメント自体は的外れですが、学生野球憲章なんて一般の人はまず知らないのでこう言った発言も仕方ないのかもしれません。
真相を知り、ため息をついた。
既に野球部を引退した3年生ですよ?
引退した後まで監視するって…。もう北朝鮮なみですよ。
で、卒業したら関係ないか?というとそうでもない。
10年ほど前、駒大苫小牧高校で3月の卒業式を終えた3年生が、卒業式後の夜に居酒屋で飲酒喫煙をして補導されたことにより、駒大苫小牧がセンバツを出場辞退した件を思い出した。
未成年が飲酒喫煙を居酒屋で堂々としているのは確かに問題だが(公の場で大っぴらに未成年が酒タバコをのむな!後ろめたさを持って、せめて自分の家でのめ、と思ったものだ)、卒業した3年生が悪いのだから2年生1年生は関係ないだろう!と腹が立った記憶を思い出した。
どこまでがOKでどこまでがNGなのか。
吹奏楽部がTVの歌番組に出て、プロ指名された3年生が出演したら?(例えばNHK大阪で秋にやる「大阪の歌特集」で大阪桐蔭の吹奏楽部が演奏して、根尾と藤原と柿木がプロのユニフォームを着てバッティングやピッチングのふりをしたら、など)
TVのバラエティ番組に出てもダメだと聞いたが…。
朝日新聞も毎日新聞も系列のTV局持ってるだろうに…。