3日ほど前、あるスポーツ団体の人と話をしていたのだが「日本では、すごく大事なポジションに、何にもしたくない人がいて、平気でお給料もらっているから困るんですよね」という話になった。
日本という国は
「ある資格やテストに合格すると、以後は身分が保証され、安定した生活ができる」
ような仕組みがあちこちにちりばめられている。
大学入学、大学卒、国家資格取得、新卒での入社、正社員、などなど。そのことさえクリアすれば、端的にに言えばあとは「遊んでいてもいい」ようなシステムになっている。
そうした資格やテストから外れると、身分は保証されず、仕事も不安定で、経済的にも苦しくなる。
今の「階層化」は、こうした日本社会の仕組みと、それにともなう「雇用の流動化の低さ」によるところが大きい。

官庁や組織などに「正式な資格」で入った人の職場は一般的に「競争環境」ではない。年功序列はなくなったといわれるが、仕事ができなくてもクビになることはない。またいきなり非正規雇用の社員がライバルになることもない。
正規の職員や正社員は、仕事の上でのライバルであっても、自分たちの仕事場の体制を維持するためには一枚岩になる。体制が変わるような大きな改革には、反対の立場で結束する。
要するに正社員、正規職員は「目立った仕事をしない」ほうが立場が安泰だから、自ずと保守的になっていく。それは年齢や役職が上がればさらに強くなる。
日本のプロ野球は選手は競争の下に置かれているが、ほとんどの球団では幹部社員は、大手企業から天下りでやってくる。だから「目立った仕事はしない」ことを美質とする人がそろっている。
彼らが動かないから、プロパーの職員も右に倣えする。プロパー社員の中には「野球界はこのままではいけない」と思っている人はたくさんいるが、彼らが出世する見込みはないから、体制はいっかな変わらない。
「学校」「教育委員会」もそうした組織の最右翼だから、高校野球だって変わらない。

エクスパンションにしても「球数制限」にしても、なかなか変化が起こらないのは「変化が起こっては自分たちが損をする」という人たちが結束しているからだ。彼らは野球ファンや選手、子供たちのことを考えているのではなく「自分さえよければよい」と思っている。
それを「伝統」とか「文化」とか、耳障りのいい言葉で言いくるめている。
こういう日本の体制は、江戸時代の「幕藩体制」から変わっていない。「お家大事」で、ひたすら体制を維持するのが良いという「侍根性」が染みついている。
一番頭が良くて、有能で、社会的地位も高い人が競争をせず、座り込んだまま年を取っていくのは、おそらく先進国では日本だけだ。
ざんねんなことに「言論の府」メディアもそういう人が真ん中にいる。
安定期、成長期ならばそれでもよかったかもしれないが、世界のあらゆるものが「流動化」するなかで、こうした「腐った幹」は日本の深い病根になっていくのだろう。

東京球場・シーズン最多本塁打打者/1962~1972
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「ある資格やテストに合格すると、以後は身分が保証され、安定した生活ができる」
ような仕組みがあちこちにちりばめられている。
大学入学、大学卒、国家資格取得、新卒での入社、正社員、などなど。そのことさえクリアすれば、端的にに言えばあとは「遊んでいてもいい」ようなシステムになっている。
そうした資格やテストから外れると、身分は保証されず、仕事も不安定で、経済的にも苦しくなる。
今の「階層化」は、こうした日本社会の仕組みと、それにともなう「雇用の流動化の低さ」によるところが大きい。

官庁や組織などに「正式な資格」で入った人の職場は一般的に「競争環境」ではない。年功序列はなくなったといわれるが、仕事ができなくてもクビになることはない。またいきなり非正規雇用の社員がライバルになることもない。
正規の職員や正社員は、仕事の上でのライバルであっても、自分たちの仕事場の体制を維持するためには一枚岩になる。体制が変わるような大きな改革には、反対の立場で結束する。
要するに正社員、正規職員は「目立った仕事をしない」ほうが立場が安泰だから、自ずと保守的になっていく。それは年齢や役職が上がればさらに強くなる。
日本のプロ野球は選手は競争の下に置かれているが、ほとんどの球団では幹部社員は、大手企業から天下りでやってくる。だから「目立った仕事はしない」ことを美質とする人がそろっている。
彼らが動かないから、プロパーの職員も右に倣えする。プロパー社員の中には「野球界はこのままではいけない」と思っている人はたくさんいるが、彼らが出世する見込みはないから、体制はいっかな変わらない。
「学校」「教育委員会」もそうした組織の最右翼だから、高校野球だって変わらない。

エクスパンションにしても「球数制限」にしても、なかなか変化が起こらないのは「変化が起こっては自分たちが損をする」という人たちが結束しているからだ。彼らは野球ファンや選手、子供たちのことを考えているのではなく「自分さえよければよい」と思っている。
それを「伝統」とか「文化」とか、耳障りのいい言葉で言いくるめている。
こういう日本の体制は、江戸時代の「幕藩体制」から変わっていない。「お家大事」で、ひたすら体制を維持するのが良いという「侍根性」が染みついている。
一番頭が良くて、有能で、社会的地位も高い人が競争をせず、座り込んだまま年を取っていくのは、おそらく先進国では日本だけだ。
ざんねんなことに「言論の府」メディアもそういう人が真ん中にいる。
安定期、成長期ならばそれでもよかったかもしれないが、世界のあらゆるものが「流動化」するなかで、こうした「腐った幹」は日本の深い病根になっていくのだろう。

東京球場・シーズン最多本塁打打者/1962~1972
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どうすれば良いか。
野球界のみならず日本の各企業、役所の
課題でもあろう。
成果主義の導入が言われて久しい。
野球界に話を戻す。
例:
出向者に「あなたの任期期間中、観客数
を10パーセント上げよ。それにはどうすればよいか
徹底的に考え成果を出されたし」
「その結果を今後のあなたの考課とす」
>例:
出向者に「あなたの任期期間中、観客数
を10パーセント上げよ。それにはどうすればよいか
徹底的に考え成果を出されたし」
「その結果を今後のあなたの考課とす」
誠に申し訳ないですが、上司から課題を出されてその答えを考えるような人のことを「何もしない人」と言っているわけです。
そういう次元の人は昔からいますが、組織に属していようが、いなかろうが、自分で問題意識をもって事態を動かさないような人は、今後の社会では「無駄飯食い」です。
「上から課題を出さないと・・・」
上から何も言われないと、こういった人は本当に何も
しないでしょう。
もっと具体的に言いますと、成果 + 「報酬」が
必要でしょうか。
更に、特に野球に興味がない人間が出向してきた場合は
もう本当に「何もしない、任期中はおとなしく」するのでしょうね。
「子会社の野球球団に出向希望の者、手を挙げて。
成果次第で今後の処遇も考慮に入れる」
これが、現実的でしょうか。
違いますよ。
会社が求めた成果を上げることが仕事だと思っている人は、どんなに残業しても仕事をしていないということです。
「何もしない人」とは「怠け者」のことではなく「自分や自分のいる環境を自分の意志で変えようとしない人」です。
課題を出されて、それにこたえて実績を上げる人はたくさんいますが、仕事の仕組み、組織のありようがおかしいと思ったら、それにはっきりと声を上げたり、不満があれば組織を飛び出してでもそれを変えようとする人は日本にはほとんどいません。
アメリカのベンチャーは、既存の仕事や会社をぶっ潰す気概のある人が推進してきました。
今後の世界は、そういう勇気と気力がある人が拓いていくということです。昔の日本にはそれがありましたが、今の日本にはほとんどない。みんな年を取って、会社や業界の仕組みの中でしか思考しなくなった。
だから、エクスパンションは起こらないし、野球の改革も進まない。
>会社が求めた成果を上げることが仕事だと思っている人は、どん>なに残業しても仕事をしていないということです。
仕事が出来る人:目標に対して成果を上げる人
仕事が出来ない人:成果を上げない、上げようともしない人
仕事が本当に出来る人:目標を大幅に上げる人、目標以外の
こと、新しいことを開発して会社に貢献する人
こういう点も言いたかった訳です。
会社と自分の考えに相違がある場合、辞めたいけど辞められないのが悲しい日本の現実ですね。
いつも読んでいただいてありがたいとは思いますが、今、私が何について議論しているのか、せめて理解するための「調べ」「勉強」をすべきではないでしょうか。がっかりします。
辞められない人には、私は何の共感もしません。知ったことではない。
のが、今の日本の社会の組織構造で主なモノ。
これで、部下・従業員は、従順で使いやすくなり、上・指導者に立つと楽できる。
それが根本的に日本にはある。
「君たるは難し」でなく、「上なのは、楽でいい」ですから、社会が組織が衰亡する。
そもそも「戦う組織」でも「機能する集団」でもなく、「上が楽できる人間牧場」。
これで組織改革は、出来るわけがない。
なんて少々絶望的な面もあるかと。
なんせ、信賞必罰が、忖度とイジメ・パワハラで真っ当に機能しないのに、組織とは言えない気がします。
良い文章をありがとうございます。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190503-00027004-forbes-spo
「当時は幹部でも、『チェアマンが』『上が』『してくれない』という言い方をしていたんです。不満があるなら闘えばいいし、ちゃんとコミットしていれば人のせいにはしない。自分が主体者、当事者であるという自覚をもっと持とうと、繰り返し発信しました」
しかしつまらない組織ならば彼女のような人間は煙たがれ排除されてしまうだろうな。
素晴らしい情報をありがとうございます。