第90回都市対抗野球大会(毎日新聞社、日本野球連盟主催)の1次予選栃木県大会で、宇都宮工OBクラブは宇都宮大OBクに0-14で負けたが、この試合で53歳の投手が社会人デビューしたという。
その投手は村上稔。六回裏、先頭から連続で四球を与えたが、そこからは圧巻の3者連続三振に切って取ったという。
宇都宮工時代はエースだったが、県大会準決勝で敗退。卒業後は企業で軟式野球をしていたが35歳で引退。昨年から投手の練習をはじめ、人数合わせでベンチ入りしていたところ、大敗したこともあってマウンドに立つこととなったという。

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都市対抗と言えば、社会人野球の最高峰だ。その地方大会とはいえ、小宮山悟、古田敦也らと同世代の投手が、マウンドに上がるとは見事というほかはない。
「高校野球をやめたら、野球なんかしなくなるんだから、潰れたっていい」と言っている馬鹿な指導者に見せたいと思う。
「野球」は生涯スポーツなのだ。野球が好きで、いい球を投げたいと思ったら、何歳からでも野球を始めればいいのだ。
歳をとれば、自分のことを冷静に見ることができる。自分に合った練習方法で、無理をせず、少しずつ投球技術を磨いていけば、村上稔のような奇跡も全くないとは言えないのだ。

私が子供のころ「春の珍事」という映画を見た覚えがある。木製のものをよけて通るという不思議な性質の薬品を開発した野球好きの科学者が、それをボールに塗って大活躍をするという筋書きだ。
他愛ない映画だが、野球好きの素人が誰しも夢見るファンタジーだろう。

しかし、野球という複雑なスポーツは、パワーやスピードだけで成り立っているわけではない。相手のタイミングを外したり、心理を読んだりすれば不思議な薬を使わなくても、ど中年が、若者に勝つことも不可能ではないのだ。
野球をする権利は、何歳でも、どんな人にでも常に存在する。たとえ監督であれ、上司であれ、それを取り上げる権利はない。

栃木県で起こった「春の珍事」は、サッカーだけではなく、野球にも「引退」「定年」はないことを教えてくれたという意味で、本当に良いニュースだと思った。

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東京球場・シーズン最多本塁打打者/1962~1972

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