すでに指摘があるが、この問題の悩ましいところは、メディアがこのことについて「何ら疑問を呈さない」ということにある。

昨年、DeNAが、順位決定がかかった試合で加賀繁を先発させたことについてNumber Webに書いたが、ネット民の反応は芳しくなかった。編集部も躊躇しながらの掲載だった。

端的に言えば、ネットができるまでは議論に参加できるレベルではなかった民が、どんどん増殖することで、いろんな物事が曲げられている印象だ。

引退を発表した選手が、公式戦に出場する。しかも順位決定がかかった真剣な試合に。
スポーツとしてのあるべき姿からほど遠い、この異常な事態に対して、テレビラジオも、一般紙も、スポーツ紙も何ら異論をさしはさまない。これは、本当に怖いことだと思う。

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おそらくは、一部の熱狂的なファンからの攻撃を恐れてのことだろう。また、マーケティング優先でスポーツの分野を侵食することも躊躇しない球団サイドに盾つくことができないからだろう。

メディアが言うべきことを言わないのは、今に始まった話ではないが、それは視聴者、購読者への背信行為だ。

憂慮するのは、こうした事態が「段々ひどくなっている」ことだ。かつて、引退選手は消化試合に、少しだけ出場していたものが、前述のように重要な試合にも登場し、実際にマウンドに上がり、打席にも立つようになった。
何度も言うが、彼ら引退選手が、試合の行方やリーグ順位の行方に影響を与えたら、監督や球団はどうするつもりなのだろうか。

野球界も前例主義だ。一定レベル以上の選手が引退を宣すると、公式戦を引退試合にすることが前例になってしまっている。

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「引退」という私的な事情が、公式戦という「公」よりも優先される事実、スポーツとしての公平性、公正性よりも「感動商法」が優先される事実。
それはトータルで考えれば、プロ野球という巨大なコンテンツが、劣化し、社会的な存在意義を失いかねないということだ。

一部のファンが望む「感動」を球団や監督、選手が忖度して、意図的に捏造する。これが許されるようになれば、プロ野球はスポーツではなくなる。1970年に起こった「黒い霧事件」以来、営々と築いてきた「プロ野球の信頼」は危機に瀕している。


ルーキー最多安打レース・2019

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