ご依頼もあったので日曜日の山本昌の投球を1球ずつ追いかけることにした。いや、面白い。今年はダルビッシュ、斎藤佑樹、田中将大、黒田博樹、ストラスバーグと投球を追いかけているが、一昨日の山本昌は、まさに名人の投球だった。
yamamotomasa-syuusei20120417




山本昌の「スタミナ」という名の財布には、もう小銭しか残ってない。財布を開ければ札束がうなっているダルビッシュ有などと違い、無駄遣いはできないのだ。その切迫感が、この日の見事な投球につながった。

立ち上がりは、決して順調ではなかった。もともと早打ちのはずの平野がじっくり球を見極めて歩き、大和がバントの構えから強行するも併殺。しかし、鳥谷がセンター前に。130km/hそこそこの速球を狙われた。風前のともしびのように思えたが、新井貴浩の遊ゴロで窮地を切り抜けた。

※この部分誤記ありました。ご指摘いただき修正しました。失礼をいたしました。ありがとうございました。

2回にはこの日最速の136km/hが出たが、むしろ速球の球速が落ちてからの方が打者は攻めあぐねていた。速球、シュート気味に落ちるシンカー、そして小さく曲がるスライダーが、ほぼ同じ球速で、同じようなタイミングで投じられる。低め、アウトコースに3種類の軌道の球が決まり始めたのだ。

山本昌は2ストライクに追い込んでから遊ばない。財布の中にはもう小銭しかないから、無駄遣いが出来ないのだ。見逃せばストライクと言われそうな球に、打者は手を出さざるを得ない。若手投手にはできない、大胆不敵な投球だ。

2回、3回を17球で三者凡退に。こうして山本昌は立ち直った。

阪神の打線では、マートンの調子の悪さが目立った。ボールを見極めているのではなく、見えていないという感じ。彼がブレーキになっていた。

4回、5回、そろそろ焦りの出た阪神は、新井貴浩、城島健司らがファウルで粘る。しかし続くマートン、金本があっさりと凡退。投手を助けた。

狙い球を見極められないままに、回は進んでいく。

8回、これまで低めのストライクゾーンに決まっていた球がぶれはじめる。すでに速球は125km/h前後しか出ない。2死後、金本、代打の新井良太、6球ずつ粘ってともに出塁。代打の関本に安打が出ていれば、山本昌は一気につぶれていたはずだ(もっとも、そうなれば救援がでてくるだろうが)。

しかし関本の当たりは左飛。阪神の反転攻撃はあまりにも遅すぎた。
財布の中身はちょうど空になって、山本昌は歴史的な「白星」を自分のものにすることが出来たのだ。

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