筒香嘉智のMLB挑戦が失敗に終わろうとしているのは、私にとっても残念なことではある。

フライボール革命この方、客観的に見てNPBとMLBの野球は大きく乖離しつつある。投手の球速は上がったうえに、ほぼすべての投手が速い変化球と遅い変化球を持つようになった。日本のように4シームとスライダーとフォークで勝負するような投手はあまりいない。

日本の打者は非力なうえに、動く速球への対応力があまりない。そして人工芝に慣れているために、守備能力も凡庸だ。打者としても野手としてもMLBに適応するのは難しい。
結局、日本人野手で曲がりなりにも通用して契約延長をしたのは、2012年~2017年の青木宣親が最後だ。
その後の挑戦者はそもそも少なくて、田中賢介、筒香嘉智、秋山翔吾だけだが、今のところ通用していない。また菊池涼介、西川遥輝もMLBを志望したが、オファーはなかった。

日本でフライボール革命について最も理解のある野球指導者の根鈴雄次さんには何度か話を聞いたが、打撃フォームの問題と言うより根底にある「意識」の問題が大きいという感じだった。根鈴さんは「大谷翔平がMLBで評価されたのは、反対方向に大きなホームランを打ったことが大きい」といった。フライボール革命の「意識」は、その方向に大飛球を打つためにどんなスイングをするのか、ということのようだ。

筒香嘉智もそれを意識していた。そして最初のホームランはそのイメージ通りだった。しかし、残念ながらその対応は「付け焼刃」だった。MLBではデータによって選手を徹底的に調べつくす。筒香が今季全く不振だったのは、それもあるとは思う。

MLBで成功するために必要なのは「NPBの技術、実力で勝負する」選手ではなく、MLBの野球に対応して「変化、進化できる」選手だ。
ダルビッシュ有や田中将大などの投手は、まさにMLBに来て進化、変化したわけだ。その前の黒田博樹もそうだが、速球主体の組み立てを変えて、2シーム、スプリッター、スライダーなど多彩な変化球主体の投球に変化した。
投手はある程度進化、変化の方向性があるが、打者は今のところ指針がない。大谷翔平は極めて柔らかくボールをとらえて、並みはずれたパワーでスタンドに運ぶことができるが、それは誰にでもできることではない。大谷はMLBに来てから肉体改造も行ったが、他の野手はその余裕もない。

筒香のDFAによって、NPB出身野手は秋山翔吾だけになった。彼はイチローや青木宣親に近いタイプだからまだ結果を残す可能性はあるが、厳しいことに違いはないだろう。

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筒香の結果は、MLBサイドに「NPBの野手はよほどのことがないと通用しない」という印象を与えたことだろう。
NPBの野球は「ガラパゴス化」が進んでいる。野球の世界地図は新型コロナ禍で、白紙の状態ではあるが、進化の道筋を考えるべきだろう。


1971~73年梶本隆夫、全登板成績

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