四国から関西に帰るには、いろんな方法がある。JR在来線で岡山まで出て新幹線に乗るのがオーソドックスだ。速いから行きはたいていそうする。昔は飛行機という手もあった。徳島松茂空港から伊丹まで、YS11だったと思うが、大層な音をしてプロペラがまわって、上がったなと思ったらもう降りてきて、あっけないものだった。
しかし今、帰りはだいたいバスだ。JRより安いし、乗り換えなしで梅田でも難波でも行ける。バスそのものも大型になって快適になっている。

昨日もそういう感じで、高知で昼飯を食べてバスで帰ってきた。高速バスの運転手というのはけっこう過酷で、とくに四国関西くらいの距離だと交代なしの一人だから、5時間くらい運転しっぱなしで、1日1往復半とか2往復とかする。運転手はだいたいくたびれていて、アナウンスは言葉遣いこそ丁寧だが、声の端っこが擦り切れていたりする。その点が少々残念だと思っていたが、この日、高知から乗ったJRバスは女性の運転手だった。そのアナウンスが素晴らしかった。張りのある声で、過不足なく情報をアナウンスする。途中の休憩場所のガイダンスも適切で、よく気が回っていた。運転も安心感があった。
アナウンス一つでこうも気分が違うかと思った。降りるときに顔を見ると、目が少し充血していてそれなりに大変なのだろうと思ったが、しかしアナウンスは疲れを微塵も見せないものだった。

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思うに、彼女はバスの運転手になることを望んでそうなったのだろう。男の運転手の中には、生活のために仕方なくハンドルを握る人もいる。というか、ほとんどがそうだろう。中にはバスの運転手になりたくてなった人もいるだろうが、そういう感じの運転手に当たることはほとんどない。
彼女の仕事ぶりが快く感じたのは、仕事に前向きに取り組み、懸命に努めていることがお客にも伝わったからだろう。

そこで野球の話になるのだが、ドラフト候補の選手を取材する中で、ドラフトにかかるかどうかはわからないが、それとは関係なく野球が好きで、プレーも練習も楽しくて仕方がない、という選手がいる。そういう選手は私の質問にも張りのある声で答えてくれるし、逆に問いかけしてきたりもする。指導者にかけられた言葉をよく覚えていて、うれしかった、とか、心に残った、とかいう。

しかし残念ながら、そういう選手ばかりではない。昨年は話を聞いた20歳の投手は、ドラフト前には注目される一人で、指名されなかったことが意外なような報じられ方をした。
昨年は独立リーグでプレーしたが、制球が定まらず、打ち込まれてはマウンドで投げやりな表情を見せたりした。
話を聞いても「別に」「がんばるだけです」みたいな散文的な答えしか返ってこない。ドラフト指名されなかったことについても「わかりません」だけである。
終始不機嫌そうだったが、果たして、昨年のドラフトでも指名されず。その投手は、その後退団してしまった。

野球が嫌いだったのか、何か環境に文句があったのかはわからないが、どんなに素質があっても自分の仕事に向き合わない人間は、うまくいかない。
スカウトだって体つきやボールの威力だけで選手を見るのではない。仕事に取り組む姿勢が何より大事なのではないか。

関西弁でいえば、どんな仕事でも「好きでやってるねん」と言い切ることができない人は、たぶんダメなんだろうな、と思った次第。


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