二けた勝利と二けた本塁打を一人の選手が同一シーズンにやるのは、1918年のルース以来だと言うニュースがいっぱい出てくるが、単年の比較と言う意味では、大谷はルースをとっくに抜いている。
私も2018年に紙のNumberにルースと大谷の比較を書いた。大谷がやろうとしていることが、どれだけ歴史的なということを「お話」として書いた。そのあとから、山下大輔さんやいろんな人が話題にしていたから、それなりの影響があったと思う。

しかし、大谷とルースの比較は、あくまで「お話」であって、記録として真剣に比較するようなものではない。
年齢を軸に大谷とルースの成績を並べてみよう。

Ohtani-Ruth


大谷とルースがちょうど1世紀の時間差だ。確かに因縁があるとは思う。

ただルースのキャリアを見ればわかるが、彼はレッドソックスでは左腕エースだったのが、ヤンキースに移籍したころから打者に専念したわけだ。「二刀流」はその過渡期に短期間現れた「現象」だ。

しかし大谷は、頭から本気で投打の両立を目指している。瞬間的にルースとSTATSが似ているだけで、本質は全く異なるのだと思う。

ルースは「二刀流」ではなくMLBに「ホームランを打つ」という新しい概念をもたらしたことで、野球に革命を起こした選手だ。それまでの最強の打者はタイ・カッブであり、彼の打つ最も長い打球は四塁打だった。さく越えは例外的な当たりだった。



そんな時代にルースはさく越えを連発し、ホームランと言う野球の新たな魅力を開拓した。ルースが他の選手と一線を画するのは、まさにその革新性だ。
「二刀流」は、投手から野手に転向する際に、一時的に見られる「現象」であり、他に例がないことではなかった。NPBでも川上哲治をはじめたくさんにる。ルースはホームランを量産したので目立っているだけだ。

大谷の「二刀流」は、今のところそれが「最終形」であるという点で、ルースとは一線を画している。真剣に比較するのはあまり意味がない。

私は、今年が大谷翔平の「キャリアハイ」になる可能性が結構あると思う。ルースに並び称されるほどの選手になれるかどうかは、これからの話であって、比較するのはずいぶん早いと思う。


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