一昨日、西武第二球場のブルペンで、二人のファームの投手がウォームアップをしていた。当然、二人の捕手が受けていたのだが、一人は捕球の瞬間に一度ミットを閉じてタイミングを合わせて捕球していた。もう一人はミットを開けて動かすことなく捕球していた。二人とも良い音をさせていたが、どちらが良いキャッチングなのか。
私は草野球で捕手の経験があるが、ミットを一度閉じるのは自分のタイミングを取るためである。自分のタイミングでぐっとミットを突き出せば、良い音も出しやすい。ミットを動かさずに取るのは、球が速い時は恐怖感がある。球をはじきそうな感じがする。捕球の瞬間までミットを動かさないのは勇気がいる。

『週刊ベースボール』3月5日号のベースボールゼミナールで土井淳さんは「ミットを動かさない方が正しい」と解説しておられた。

投手にとって「あの位置にミットを構えていた」という残像が残る。その方向に向かって投げるので、そのミットがぶれると目標があいまいになる。精密なコントロールが出来なくなるというのだ。

土井淳さんは今年79歳になられる。私は現役時代を知らないが、「プロ野球ニュース」でキャンプ地を巡って注目投手の球を受けるレポートをしておられたときのことが強く印象に残っている。

昔ながらの、真ん中にキャッチングスポットが開いたアンパン型のミットをもってブルペンに座った土井さんは、そのミットを寸分も動かさずに球を受けておられた。このときすでに50歳をとっくに超えておられたと思うが、背筋を伸ばして蹲踞し、ミットを構える姿は美しかったし、そのキャッチングは実に小気味よかった。

アンパン型のミットは、そもそもミットをしっかり閉じることが不可能なのだ。ミットを閉じてタイミングを取るキャッチングは、ファーストミットから派生した今のキャッチャーミットが普及してから広がったのだろう。確かに一塁手は、ミットを閉じて捕球のタイミングを取っている。

昨日の中日巨人戦、中日の谷繁元信は、中田賢一の球を受けるときにミットを動かさずに捕球していた。ミットの口は開いたままだった。巨人の阿部慎之助はホールトンの球を受けるときに、構えた後、ミットを下げてタイミングを取っていた。投球を左右するほどのことではないかもしれないが、レベルの高い野球ではなにがしかの差が出るのかもしれない。



今はミットを動かさないキャッチングは少数派のようだ。しかし、投手にしてみればミットを動かさないキャッチングは、自らの球の軌道を確かめる上でありがたいのだと思う。40歳になった谷繁が、今も第一線で、セリーグトップクラスの中日投手陣の球を受けている背景には、こうした細かな技術もあるのだろうと思った。

catching-02


catching-04


catching-03


(写真はイメージ、文章と直接関係はありません)

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!
↓