1月3日、NHKで放送された「マイケル・サンデルの白熱教室 中国の友よ 君はそれで幸せなの?」は非常に刺激的な内容だった。
日本、アメリカ、中国のエリート大学生が、自らの社会、政治体制などについてリモートで語り合う番組だ。
「マイケル・サンデルの白熱教室 」は、通常は出演する若者がサンデルのうまいリードで本音を吐露し、議論が深まっていくのが面白いのだが、この回は違った。

中国の学生は、中国政府の厳格な監視のもと出演している。近年の中国の極端な教育政策について紹介されたが、中国の学生たちはほんの少し本音は吐露するが、基本的にはもろ手を挙げて自国の政策を称賛する。「政治が安定しているから技術が進化する」「政府がみんなを豊かにしてくれるから信頼している」である。
普通であれば、アメリカ、日本の学生が中国の学生の矛盾をついたり、揚げ足を取ったりするのだが、今回はそれもなかった。そういう内容になれば、中国政府が放送を許さないからだ。

結果として、中国の学生が自国の体制をもろ手を挙げてたたえ、アメリカ、日本は「それに引き換え」となっていた。象徴的だったのは「自国の政権を支持するか」というサンデルの問いに、中国では全員が手を上げたのに対し、アメリカは1人、日本はゼロだった。
中国の学生は勝ち誇ったような顔をした。日本の東大生の女性が「中国の政府はこんなに信頼されているんだなあと驚きました」と言ったのは、いかにもお利口さんらしい忖度ではあったが。

この番組は中国政府の思惑通りに作られたのだが、それは同時にサンデルやNHKの思惑通りでもあっただろう。
エリート大学生と言えば、自らの知力にプライドを抱き、権力や権威に対しても懐疑的であったり、ニヒルな姿勢をとったりするものだ。そういう中から変革のエネルギーも出てくる。しかし中国のエリート学生は中国政府、習近平政権に1ミリの疑問も抱かず、ひたすら賛仰するだけだ。彼らは勉強ができて科学論文は書けるかもしれないが、この世の事象すべてに疑問を抱き、そこから新しい何かを発見するような「知のエリート」ではないのだ。いわば「知能の高い奴隷」「高学歴の政治的囚人」のようなものであることを自ずと露呈した。
何も説明しなくても、この番組は中華人民共和国がこんなにも異様で、人々を支配している国だということを鮮やかに切り取って見せたのだ。

中国政権は、この番組を見て「世界の国が中国学生の優秀さに驚き、賛同しただろう」と思ったかもしれないが、少なくとも自由主義圏の人々は「中国の若者は洗脳されている」「ああいう国には住みたくない」と思ったことと思われる。自由な国で自由に生活している人たちは、この番組から中国の「欺瞞」と「圧政」を自ずと感じたはずだ。

1か月先には、北京冬季五輪が開催される。このころにはオミクロン株で大変なことになっている可能性が高いが、中国は力づくで感染拡大を抑え、抑えきれないものは隠ぺいして「スポーツの祭典」を強行することだろう。
我々は「欺瞞の祭典」の本質的な部分をじっくり見つめなければならない。

839869_s



2021年山本由伸、全登板成績【投手五冠にリーグ優勝に金メダル】

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!