「文武両道校」とは、野球でいえば「甲子園に出場する」ような実力がある上に、「偏差値が高くて有名大学にたくさん合格する」学力がある高校のことだ。
じつは「文武両道」には、いくつか種類がある。一つは公立の「文武両道」だ。もともと偏差値が高くて、勉強ができる生徒が入ってくる。しかも伝統的に野球も強い。こういう学校には野球でも勉強でも頑張りたいという選手が入ってくる。昔はそういう公立校がたくさんあった。
そもそも、野球というスポーツはお雇い外国人から、一高(東京大学)にもたらされ、その卒業生が、教員、指導者となって、各地の学校に普及した。最初に野球をし始めたのは、各地の最高の学校だった公立の中等学校、師範学校などのエリート校だ。
だから甲子園の初期のころは各地のトップクラスの中等学校が、甲子園に出ていた。
その後、私学や商業学校が台頭するが、いわゆる「古豪」はそういうエリート学校だ。
その伝統が今も残っている学校があって、偏差値も高いうえに野球もまずまず強いほうで、たまに甲子園に出てくる。最近では静岡や米子東などがそれだ。

もう一つ、私学の「文武両道」がある。それほど数は多くないが、私学でも学校の方針として「勉強も野球も」という学校がある。高知の土佐などがそれにあたる。ただ、昔は甲子園に出るほど強かったが、学校が「大学進学」にシフトチェンジしたために、野球は弱くなった高校もある。私が出た「明星」などは、その典型だ。
さらに、一般的な「文武両道」とは少し違う傾向の学校もある。大学の付属校だ。名門大学の付属校は、普通に勉強していれば上に進むことができるが、そうした学校でも野球部が強い場合がある。典型が慶應義塾高校だ。多くは幼稚舎から慶應に入り持ち上がっている。中学、高校から入るのは非常に大変だが、そうした難関をかいくぐってでも「慶應で野球がしたい」という生徒がいるのだ。慶応高校の森林監督に話を聞いたが「彼らはよその学校のように受験勉強はしない。だから野球に打ち込む時間がある。もちろん、上に進めないと困るから勉強もやるときはやるが」とのことだった。立命館宇治の西田部長も同じようなことを言っていた。
こういう学校も「文武両道」のうちではあろう。
「文武両道」と似て非なるものに「文武別道」がある。一つの学校に「受験コース」「体育コース」など全く別のコースがあって、それぞれ違うタイプの生徒を受け入れている。受験コースには本来なら偏差値トップ校に行くようなエリートが、学費免除などで入ってくる。そして体育コースには中学野球の有名選手が入ってくるのだ。
大阪桐蔭などがその典型だが、そういう学校に行くと、クラスはもちろん、カリキュラムやクラブ活動なども全く別で、同じ学校とは思えないような状況になっている。
少子化が進む中で「文武両道」は生き残りをかけた高校にとっては理想的なスタイルではある。しかし、その現実はなかなかせちがらく、厳しいものだと実感する。
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コメント
コメント一覧
神奈川県の桐蔭学園も似たような学校ですね。
ただ、最近は、受験も東大に一人いけるか否かに状況ですし、スポーツもラグビーを退いて苦戦しているようですが。
参考書持参で甲子園宿舎に出向く
今治西高もよろしく!