宮崎、沖縄から一昨日帰ってきたが、関西に帰ってきて感じるのは、関西ローカルテレビ局の影響の大きさだ。
宮崎ローカルのテレビ局は、夕方、全国ニュースの後ろ辺りでちょこっと情報番組を制作する程度。沖縄は独自の番組は非常に多いが、予算の少なさを感じさせる。そしてこれらの県の局で制作した番組は、その県だけで視聴できる。まさにローカルだ。

しかし関西ローカル局は、全国放送の番組をたくさん制作している。平日でいえばミヤネ屋、 秘密のケンミンSHOW(読売テレビ)、土曜日なら、朝だ!生です旅サラダ(朝日放送)、教えて!ニュースライブ 正義のミカタ(朝日放送)などなど。地方局が全国放送の番組を作るのは、他の地域ではゴゴスマ -GO GO!Smile!-(CBCテレビ)くらいではないか。

日本のテレビはキー局が圧倒的ではあるが、関西ローカルはそれに次ぐ勢力だ。そして関西ローカルには独特の匂いがある。端的に言えばそれは「吉本臭」ではある。地元だから吉本芸人がたくさん出演しているだけではない、吉本はかつて朝日放送や毎日放送、読売テレビと合弁で番組制作会社を作っており、現在も放送局とは密接な関係になっている。端的に言えば、関西ローカルと吉本が共同でテレビ番組を作っているのだ。だからどの局の番組からも同じ匂いがする。
ちなみに吉本ホールディングスの主要株主は、民放キー局であり、キー局制作の番組でも吉本を抜きにして番組を作ることはできないが、関西ではより濃厚な影響力がある。関西ローカルの番組が、どの局のものも同じように見えるのは、要するに吉本が強く関与しているからだろう。

関西ローカル局は、視聴者に対して極めて馴れ馴れしい。吉本の芸人が「みんな、そない思うやんなあ」と言って「そうやそうや」と関西のおっさんおばはんが応えるような生ぬるい関係がすぐにできてしまう。私はメディアと視聴者のそういうずるずるの関係が大嫌いだが、関西の番組はそのノリでできている。

当然、「関西ファンやったら、阪神ファンやんなあ」となって、スポーツ番組は阪神ファンが前提で、底の浅い番組が作られる。昨年はオリックスが優勝したが、そうなると「オリックスもちょっと言うといたろか」となって、オリックス芸人がちょっと出たりする。しかしヒエラルキーは揺るがないのだ。

「関西人は東京が嫌い」「関西人は庶民派で、人情深い」「関西人はネタを振られたら反応する」「関西人は派手好きである」みたいなステレオタイプが次々と生み出され、無自覚な関西人はどんどんとそれに染められていく。
最近はそこに「関西言うたら、大阪維新の会やないか」と言うのが加わって、橋下徹、吉村洋文、松井一郎がタレント並みに関西ローカルに出演して、吉本芸人やアナウンサーとトークライブをしている。今年になってさすがに毎日放送が「政治的中立上問題がある」と言い出したが、無自覚的な関西人は「そうやそうや」と言い始めているのだろう。

新型コロナ禍で、大阪の人口比での死者数が東京よりも多い傾向にあるのは、橋下徹が知事、市長時代に保健所、公立病院を徹底的にリストラし、医療インフラをやせ細らせてしまったことがある。狡猾な橋下は自分からそのことを言い出し、吉村、松井に「苦労を掛けています」と言っているが、関西メディアはこの致命的な失政を追求しない。
関西のメディアが、維新の政治家たちを「人気タレント」と見なし、なれ合いの関係になってしまっているからだろう。

メディアが権力や企業と緊張感がないのは、私は大嫌いだが、それを何とも思わない関西人にも怖気がするような気がしている。

そのうち関西ローカルは「関西は民主主義違うねん」と言い出して、関西人が「そうやそうや」と言う時代が来るのではないだろうか?

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