手ごわい相手、自分を信用していない相手、疑っている相手に対しては、嘘はだんだん巧妙になるが、服従している相手、抗う心配がない相手に対しては、嘘はぞんざいになり、適当になっていく。
ロシア政府は、ウクライナについて「ネオナチの政権」「ロシア系住民の虐殺(ジェノサイド)を行っている」と国民に説明しているが、その証拠らしきものはほとんど示さない。国民の「知る権利」はもとより存在しないのだから、国民に対する誠実な「説明責任」はない。
しかし、国際社会に対しては、そうではないはずで、主張をするなら説明もしなければならないはずだが、ロシアはそうしない。国際社会に対しても、だれも信用しないような見え透いた嘘をつく。

[6日 ロイター] - ロシアのメディアは6日、ウクライナが放射性物質を拡散する爆弾、いわゆる「汚い爆弾(ダーティーボム)」の製造に近づいていると報じた。
タス通信、ロシア通信(RIA)、インタファクス通信が、ロシアの「信頼できる関係者からの情報」として伝えた。ただ関係者は証拠を示していない。
報道によると、ウクライナは2000年に閉鎖されたチェルノブイリ原子力発電所で爆弾を開発しているという。


ロシアに「信頼できる関係者」がいるかどうかはわからないが、もしそれが真実で、それを知りうる立場にあるのなら、戦争前になぜそれを指摘しなかったのか、そうすれば「攻め込む大義名分」が強化されたはずだ。そうせずに、チェルノブイリ発電所を占拠してからそういう発表をしたのは、今から「証拠」を捏造する気なのか、あるいは「汚い爆弾を作った証拠がない」ことを隠ぺいする気なのか、と思わせる。

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独裁政権は自分たちを「客観視」するのが苦手だ。国内では絶対的な存在だから、どう思われているかを気にする必要がない。「国民の本心」は、本当はぞっとするものかもしれないが、それは気にかけない。その習癖が、国際社会でも抜けなくて、自国のステートメントに疑問の声が上がることを想像できない。だから外国の記者の質問にしどろもどろになったりする。
あるいは中国のように、海外メディアをあたかも自国民のように𠮟りつけたりする。

そういう国は国民のリテラシーが必要以上に高まらないように、学校教育などにも介入することが多い。国民は目や耳を半ばふさぐように強制されるのだ。
「権威主義」の「権威」とは、自分たちに絶対的な権威があると思い込むことで、国民を躊躇なく押さえつけることができるということだ。。しかしその権威は、根拠のないものなのだ。

人々を翻弄するような「巧妙な噓」は、言論の自由が保障されている自由主義圏で発達する。それはそれで問題だが、独裁国家のつく「嘘」は、自由主義圏のリテラシーのある人々をだますことはできない。


NOWAR


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