ウクライナの戦場ではジャーナリストの死亡が相次いでいる。
3月13日、キエフ郊外のイルピンでは、ブレント・ルノーという記者が狙撃されて死亡した。各メディアに記事を売るタイム・スタジオズというニュース配信者の資格でウクライナ入りしていたが、遺体の首にはニューヨーク・タイムズが発行した記者証がかかっていた。何らかの記事を書き、写真を撮影すれば、タイム・スタジオズを通じてニューヨーク・タイムズなどに売るつもりだったのだろう。
ニューヨーク・タイムズそのものは「危険すぎる」ということで1週間前に契約する記者を引き上げている。残ったのはこの記者のような非正規のジャーナリストだったのだろう。
また15日には、これもキエフ郊外で、米FOXニュースの取材班2人が銃撃を受けて死亡した。アイルランド人カメラマンのピエール・ザクルゼウスキーと、ウクライナ人プロデューサーのオレクサンドラ・クフシノバの2人だという。
日本からも遅ればせながら現地にメディア関係者が行っているが、これらの国際ジャーナリストにとっては、戦場はニュースの宝庫ではある。
日本には「頼まれもしないのに勝手に戦場へ行って、弾に当たって死んでいるのだから自己責任だ」という江戸時代の小役人みたいな性分の人もいるが、世界で今、何が起こっているかはどんな現場であろうと足を踏み入れて取材する人がいればこそ、世界中の人が知るに至るのだ。
日本小役人は「政府発表があればいいじゃないか」という人もいるが、政府や紛争当事者が発信する情報がいかに不誠実で、バイアスがかかっているかは、今のロシアや中国のステートメントを見ればわかる。

国家や公的機関とは独立したメディアが「フリープレス」の使命感を持って、時には命を賭して現場に赴くのは崇高なことなのだ。戦場で記者としての仕事を全うするためには、トップアスリート並みの知力、身体能力が必要なのだと思う。
ところで、今回、命を落とした記者のうち、13日に死んだのはリベラルの代表的メディアとされるニューヨーク・タイムズに寄稿する記者だった。そして15日に死んだ2人は保守派の代表メディアFOXニュースの記者だった。FOXはトランプ支持の論陣を張ったことでも知られる。
アメリカのメディアは右でも左でも、言論機関として健全な使命感を持って動いていることがわかる。日本のメディアはサンケイから朝日まで「記者クラブ発表」に大きく依拠しているが、アメリカのメディアは独自取材を重要視しているのだ。
今回のウクライナ侵略は、すでに先進国の「右だ、左だ」の論争の針を大きく振り切った向こうで起こっていることがわかる。
この暴挙の前に、先進国はリベラル、保守の論争をストップさせてでも、中止させなければいけないのだ。

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アメリカのメディアは右でも左でも、言論機関として健全な使命感を持って動いていることがわかる。日本のメディアはサンケイから朝日まで「記者クラブ発表」に大きく依拠しているが、アメリカのメディアは独自取材を重要視しているのだ。
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