生まれて初めて牛丼店の牛丼を食べたのは、大阪の予備校に行き始めたころだ。たしか「なか卯」だったと思う。牛肉はちまちました小片で、玉ねぎが多いなと思った。
吉野家の牛丼はしばらくしてから、日本橋1丁目の交差点の店で食べた。こちらは薄い牛肉がたくさん入っていて「さすが吉野家」と思ったのを覚えている。東京の浅草演芸ホールの近くの吉野家で食べたときは「関西のより味が濃い」と思ったものだ。
昔の牛丼は、いわゆる「端材」を使うことが多かった。牛肉のいろんな部位を切ったときに出るきれっぱしだ。肉屋では分厚いものは「カレー、シチュー用」、薄いのは「細切れ」「切り落とし」などで売っている。形も一様でなく、しかも小さいので煮込むとちまちましてしまう。
しかし吉野家はショートプレート(業界的にはショープレ)と言う大きな部位を使った。公式サイトには希少部位のように書いているが、要するに「バラ」だ。一番脂肪分が多い。焼肉屋ではバラ、カルビなどの名称で食べさせる。端材よりは高いが、吉野家で使っているのはグラスフェッドという一番安い牛だ。昔はオーストラリアあたりが多かったし、アメリカ産も多いが、牧草を食べて育つから。赤みが多くて固い肉だ。
ほとんどの和牛や多くの食用牛はグレインフェッド、つまりトウモロコシなどの穀物や植物由来の資料を食べる。脂肪が多くて肉質も柔らかく、高価だ。
最近はグラスフェッドはオーガニックでいいとか言っているが、牧草にも農薬を使うし、牛に抗生物質を打ったりするから一概には言えない。

ショープレをカットした「原木」の状態で冷凍して輸入し、冷凍庫で保管し、使うときにスライスしている。だから吉野家の牛丼の肉は「判(平面)」が大きく、食べ応えがあったのだ。
今は他の牛丼屋もすべてショープレを使っている。ただ、味付けは各店で違う。私は吉野家が今でも一番好きだ。ただ、グラスのショープレは加熱すると独特の匂いがする。つまりそれが「牛丼の香り」になっているのだが、焼き肉店でバラを焼いて同じ匂いがすると「安い肉使ってるな」と思ったりする。
ロウリーズのプライムローストビーフなどを食べると、牛肉はここまでおいしくなれるのだ、と感嘆するが、だからといって吉野家が「まずい」と思うわけではない。
同じ牛丼でも伊賀の「いとう」の牛丼は、伊賀牛を使っていて肉が口にまとわりつくような独特の触感で、口の中に消えていく。全く別物という感じではあるが、それを食べたからと言って吉野家が食えなくなるわけではない。
私などは「どうしても吉野家の牛丼が食べたい」と思う時がたまにある。それも特盛をつゆだくで。一気に掻き込むと若い時の感覚がよみがえってくる。うちの家内などには絶対にわからないだろう。
ただ、一度食べてしまうと、何か月かはもう食べたくない。いかに吉野家の常務が中毒にしようと思っても、吉野家の牛丼は年に数回で十分だと思うのだ。
チキンラーメンなんかもそうだが、いい年したおじさんの中には「年に数回だけ食べたいもの」がいくつかあるのではないか。

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ほとんどの和牛や多くの食用牛はグレインフェッド、つまりトウモロコシなどの穀物や植物由来の資料を食べる。脂肪が多くて肉質も柔らかく、高価だ。
最近はグラスフェッドはオーガニックでいいとか言っているが、牧草にも農薬を使うし、牛に抗生物質を打ったりするから一概には言えない。

ショープレをカットした「原木」の状態で冷凍して輸入し、冷凍庫で保管し、使うときにスライスしている。だから吉野家の牛丼の肉は「判(平面)」が大きく、食べ応えがあったのだ。
今は他の牛丼屋もすべてショープレを使っている。ただ、味付けは各店で違う。私は吉野家が今でも一番好きだ。ただ、グラスのショープレは加熱すると独特の匂いがする。つまりそれが「牛丼の香り」になっているのだが、焼き肉店でバラを焼いて同じ匂いがすると「安い肉使ってるな」と思ったりする。
ロウリーズのプライムローストビーフなどを食べると、牛肉はここまでおいしくなれるのだ、と感嘆するが、だからといって吉野家が「まずい」と思うわけではない。
同じ牛丼でも伊賀の「いとう」の牛丼は、伊賀牛を使っていて肉が口にまとわりつくような独特の触感で、口の中に消えていく。全く別物という感じではあるが、それを食べたからと言って吉野家が食えなくなるわけではない。
私などは「どうしても吉野家の牛丼が食べたい」と思う時がたまにある。それも特盛をつゆだくで。一気に掻き込むと若い時の感覚がよみがえってくる。うちの家内などには絶対にわからないだろう。
ただ、一度食べてしまうと、何か月かはもう食べたくない。いかに吉野家の常務が中毒にしようと思っても、吉野家の牛丼は年に数回で十分だと思うのだ。
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