FM東京に聞かれて、私も「ルースの偉業に迫る大谷翔平」についてコメントしたけど、そこでも「もうルースを超えている」と言った。10勝10本塁打を「偉業」というのは、率直に言ってナンセンスだ。
まず、比較する対象が古すぎる。ベーブ・ルースは歴史的にはたった一人で「本塁打時代」を開拓したと言う点で、圧倒的な存在だと言えるが、その当時と今のMLBでは環境も選手の実力も大きく異なっている。端的に言えば、今の横綱照ノ富士と江戸時代の雷電為右衛門を比べて「どっちが強いか」と言っているようなものだ。

もう一つ言えば、ベーブ・ルースは投手から打者に転向する過渡期に「10勝10本塁打」しただけだ。大谷翔平は「本気で二刀流」を目指している。状況が全く違うのだ。

MLBで「10勝10本塁打」を記録した選手と、それに近い成績を残した選手

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上の2つが10勝10本塁打。大谷翔平とルースだ。9勝10本塁打は2021年の大谷と1919年のルースが記録している。

それ以下の選手は二けた勝利と7本塁打以上を記録した投手。ウェス・ファレル、ジャック・スティベッツ、ドン・ドライスデールなど、何度も記録している選手がいる。これらは「打撃の良い投手」と言えよう。

1930年代から21世紀まで時代に関係なく記録されている。

最下段のブルックス・キーシュニックは、2003年、珍しく救援投手で7本塁打している。この選手は42試合に救援登板するとともに打者として70試合に出場している。救援投手としてはさっぱりではあったが。

それにしても「大谷翔平またやった」はこれくらいにすべきだと思う。言っているのは野球をよく知らない人ばかりだ。
大谷の言う通り二刀流としては「ふつうの記録」だと言っても良いだろう。


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