昨日、ティモンディ高岸宏行は2つのステージで注目を集めた。1つは独立リーグのデビュー、もう1つは「鎌倉殿の13人」の仁田忠常役で、比企一族殲滅の急先鋒として大刀を振るうシーンだ。

私はこの芸人がかなり苦手だった。口跡が非常に悪いうえに重く、たどたどしい言葉しか発することができないのに、なんとなく笑いを取る。「やればできる」が惹句だが「できていないじゃないか」と思ってきた。デビューから済美出身の元高校球児であることを売りにして、しばしばいろんなスポーツお笑い番組で豪腕を披露してきたが「それだけ」と言う感じだ。

ざっくり言えばキャイーンのウド鈴木のように「無敵の天然」で、相方に突っ込んでもらって初めて「芸」として成立するような「素材」だ。こういう芸人はいつの時代もいる。「見世物」と言っても良いかもしれない。芸としての発展性はないから、飽きられれば終りというパターンが多い。

ただ「可愛げ」が人間的魅力になれば、ウド鈴木のように「一つのキャラ」として生き延びる可能性はある。
「鎌倉殿」では、鍛え上げられた肉体と、演技と言うより素地が現れた、実直そうな人柄が存在感になっていた。意外にシリアスな脇役としてドラマの世界で生きていく可能性があるのではないか、三谷幸喜はそれを見抜いていたのかと思った。

野球はどうだったのか。私は見に行かなかったが、宇都宮の球場は5000人と言う異例の観客を集めた。
芸人が独立リーグに挑戦するのは、高岸が初めてではない。2016年、四国の愛媛に360°モンキーズの杉浦双亮が入団して投手としてそこそこ成績を残したが、杉浦は芸人としては売れていなかったのでほとんど話題にはならなかった。

その点、高岸は旬の芸人であり、インパクトが違った。ただ、今の独立リーグはレベルが高い。投手としてまともに通用するような実力ではなかったようだ。140㎞/hの球速は、今の独立リーグでは並みではあるし、あの制球力では通用しない。29歳と言う年齢からしても野球でも「色物」だったのは間違いない。

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栃木は独立リーグでは断トツの金万球団であり、これまでも村田修一、西岡剛、川﨑宗則と有名選手を入団させてきた。恐らくは独立リーグでは破格の年俸を払ってきたはずだ。高岸にも相応の報酬を払ったと思う。しかしそれで通常の10倍近くお客を集めたのだから、採算は合うのではないか。

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メディアは高岸の登板を一斉に報じた。そして口をそろえて「独立リーグと言ってもプロ野球ですよ」とレベルが高いリーグであることに言及した。
「独立リーグの味方」としては喜ばしいことだと思ったが、肝心の高岸の登板で、栃木ナインがぽろぽろやったのは本当に残念だ。
あまり知らない世間の人は「あ、プロ野球と言ってもこの程度なんだ」と思ったことだろう。


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