1971年以降、半世紀のMVP獲得状況も見ていこう。
rWARでは8.0以上がMVP級、5.0以上がオールスター級、2.0以上がスタメンとのことだ。
1971年から1995年

ア・リーグだけが投手のMVP受賞が5回。全員、サイ・ヤング賞とのW受賞。1973年からア・リーグでは指名打者制が導入されたが、以降も4人の投手がMVPを取っている。
うち3人が救援投手。1992年のア・リーグ、エカーズリーはWARでいえば、問題外の数字だが、51セーブと言う破天荒な成績を評価されたと思われる。「球史を塗り替える記録」と言う点では、昨年の大谷に通じる部分もある。
対照的にナ・リーグは投手のMVPはなし。打者=MVP、投手=サイ・ヤング賞という棲み分けができている感がある。両リーグでMVPの概念が変わってきている印象を受ける。
なおサイ・ヤング賞は1966年までは両リーグで1人選出だったが、1967年からは両リーグ1人ずつ選出されるようになった。
1996年から2021年

2001年、イチローはリン以来の新人王とMVPをW受賞。
2005年頃からWARがMVP選出の指標として重要視されるようになる。MVP受賞者のWARの数字が揃ってきていることでそれがわかる。
2011年のアで投手のバーランダーが選ばれたのはWAR8.6で、打者のレッドソックス、エルズベリーの8.3を抜いて1位だったからだ。
2012年ナのカーショウは6.8で6位、1位はジャイアンツのポージーで7.6だったが、投票でカーショウが選ばれた。
2012年のア・リーグWAR1位は10.5のエンゼルス、マイク・トラウトだが、WAR4位の三冠王のタイガース、ミゲル・カブレラが選出された。この時も議論が起こったのを覚えている。
MVP投票の基準は今も揺れ動いているが、基本的に2020年までは、例外はあるにせよ、打者=MVP、投手=サイ・ヤング賞と言う棲み分けが定着した感があった。
そもそも、今のWARの考え方では、投手が打者を上回ることはレアケースなので、実質的に棲み分けができてしまっているわけだ。
なお1999年に制定されたハンク・アーロン賞はMLBの「主要な賞」のうちには入っていない。現在は「ファン投票」で決められており、サイ・ヤング賞に匹敵するほどの重さはない。
2021年の大谷翔平は、打撃成績だけでWARの上位につけていた上に、投手成績が付加されたために合算で1位になった。投手成績は上位ではあったが、トップクラスではなかった。
その結果として、大谷翔平は史上初めて、サイ・ヤング賞を獲得していないMVP投手になったわけだ。
2022年の大谷翔平は、打撃成績は上位ではあるがトップクラスではない。投手成績は昨年より良いが、これまたトップクラスではない。ポイントは「二刀流の稀少性」をどう評価するか?ということになる。
恐らく投打合算でも今年の大谷のWARがジャッジを上回ることはないはずだ。それも含めて、今の成績をどう評価するか、だ。
「日本人なら大谷翔平のMVPを推すのが当たり前じゃないか」みたいな安物ナショナリズムは、私は馬鹿にしているので、それには乗らない。
むしろ、大谷が本当にすごいと思うから、その評価は辛口であるべきではないかと思っている。

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1971年から1995年

ア・リーグだけが投手のMVP受賞が5回。全員、サイ・ヤング賞とのW受賞。1973年からア・リーグでは指名打者制が導入されたが、以降も4人の投手がMVPを取っている。
うち3人が救援投手。1992年のア・リーグ、エカーズリーはWARでいえば、問題外の数字だが、51セーブと言う破天荒な成績を評価されたと思われる。「球史を塗り替える記録」と言う点では、昨年の大谷に通じる部分もある。
対照的にナ・リーグは投手のMVPはなし。打者=MVP、投手=サイ・ヤング賞という棲み分けができている感がある。両リーグでMVPの概念が変わってきている印象を受ける。
なおサイ・ヤング賞は1966年までは両リーグで1人選出だったが、1967年からは両リーグ1人ずつ選出されるようになった。
1996年から2021年

2001年、イチローはリン以来の新人王とMVPをW受賞。
2005年頃からWARがMVP選出の指標として重要視されるようになる。MVP受賞者のWARの数字が揃ってきていることでそれがわかる。
2011年のアで投手のバーランダーが選ばれたのはWAR8.6で、打者のレッドソックス、エルズベリーの8.3を抜いて1位だったからだ。
2012年ナのカーショウは6.8で6位、1位はジャイアンツのポージーで7.6だったが、投票でカーショウが選ばれた。
2012年のア・リーグWAR1位は10.5のエンゼルス、マイク・トラウトだが、WAR4位の三冠王のタイガース、ミゲル・カブレラが選出された。この時も議論が起こったのを覚えている。
MVP投票の基準は今も揺れ動いているが、基本的に2020年までは、例外はあるにせよ、打者=MVP、投手=サイ・ヤング賞と言う棲み分けが定着した感があった。
そもそも、今のWARの考え方では、投手が打者を上回ることはレアケースなので、実質的に棲み分けができてしまっているわけだ。
なお1999年に制定されたハンク・アーロン賞はMLBの「主要な賞」のうちには入っていない。現在は「ファン投票」で決められており、サイ・ヤング賞に匹敵するほどの重さはない。
2021年の大谷翔平は、打撃成績だけでWARの上位につけていた上に、投手成績が付加されたために合算で1位になった。投手成績は上位ではあったが、トップクラスではなかった。
その結果として、大谷翔平は史上初めて、サイ・ヤング賞を獲得していないMVP投手になったわけだ。
2022年の大谷翔平は、打撃成績は上位ではあるがトップクラスではない。投手成績は昨年より良いが、これまたトップクラスではない。ポイントは「二刀流の稀少性」をどう評価するか?ということになる。
恐らく投打合算でも今年の大谷のWARがジャッジを上回ることはないはずだ。それも含めて、今の成績をどう評価するか、だ。
「日本人なら大谷翔平のMVPを推すのが当たり前じゃないか」みたいな安物ナショナリズムは、私は馬鹿にしているので、それには乗らない。
むしろ、大谷が本当にすごいと思うから、その評価は辛口であるべきではないかと思っている。

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コメント
コメント一覧
WARは二刀流が不利にならない公平な指標!ということが証明されるなら、記者の投票基準として納得します。(もはやWAR賞のようで味気ない気もしますが。)
二刀流について計算方法の発案者から見解出ないかなあ。
計算方法を勉強するにはハードル高いので、可能であればどなたか解説していただければ有り難い。
(ヤフコメとかでWARについて、「DHはマイナス1.1されて不公平」、「二刀流を適正に評価できているか疑問」とかコメントを見かけるが、根拠がよくわからない)