ドラフトと言う制度が「職業選択の自由」に反しているとか、「独禁法違反」であるとかはよく言われて来た。
これはアメリカ発祥のプロ野球のリーグが「クローズドリーグ」で、入れ替えがなく弱いチームもずっとリーグにい続けるので、自由競争を放置していると強いチームと弱いチームが固定してしまって、ペナントレースが面白くなる、だから戦力均衡を図る必要がある、と言う理屈だ。

日本でも1965年にドラフト制度が導入されたが「戦力均衡」よりも「選手獲得のコストを削減したい」という意向が強かった。金満球団の巨人などは反対していた。それもあって、完全ウェーバーではなく「くじ引き」という日本独特の制度が行われるようになった。

以後、ドラフト制度は、荒川事件、江川事件などその趣旨を毀損するような事件も起き、その挙句に「逆指名」「自由獲得枠」と実質的にドラフトを骨抜きにするような制度の改変も行われた。
しかし、その背景で「裏金問題」が噴出した。

その結果、2008年以降はドラフト1巡目のみ指名が重複すれば「抽選」、2巡目以降は完全ウェーバーとなった。「くじ引き」はNPBのドラフト独特の制度ではあるが、ドラフトの「見もの」になっていた。

しかし、今年は9球団が事前に1位指名選手を公表した。DeNA、阪神、ロッテの3球団のみが公表しなかった。これは「1位指名重複→抽選」を忌避したいという球団の意向が働いたからだという。「外れ1位」を出したくないから、という球団もあったが、よくわからない。

結果的に抽選は楽天とロッテ(立教大 荘司康誠)、阪神と巨人(高松商業 浅野翔吾)の2組だけとなり、いずれも事前に指名を公表していた楽天、巨人が当たりくじを引き当てた。
事前に1位を表明した9球団は、事前に球団間で何らかの調整というか、談合のようなものをしていたのではないか?「うちはあの選手で行きたいけど、〇〇さんどうする?」みたいな。それに、選手に対しても事前に「1位指名するから」と言っていたののではないか。
これ、ドラフト制度骨抜きの前兆ではないかと思う。またぞろ「ドラフトに弱い球団」が、有望選手を好き勝手に獲得したい、という意向を示しだしたのでははないか。

IMG_0190


私は少なくとも今世紀に入って、NPBで「ドラフトに失敗して弱くなった」球団は存在しないと思っている。
日本のドラフトは、上位指名選手が活躍する確率がそれほど高くない。MLBのようにデータに基づいた精緻な選手評価ができていないから、1位指名でも全く活躍しない選手が結構いる。2010年の早稲田ドラ1トリオ、斎藤佑樹(日本ハム)・大石達也(西武)・福井優也(広島)などその典型だが、ブランドやコネクションで指名して失敗することも多い。また抽選に外れた「外れ1位」が、1位よりも活躍する例も山田哲人、村上宗隆をはじめ、たくさんあるのだ。さらに「育成枠」で活躍する選手も増えている。

日本のスカウティングの精度が大して高くない中で、なぜそんなに「1位指名選手を単独で指名する」ことにこだわるのか、よくわからない。大した「鑑定眼」も持たないのに、なぜ「裏でうまいことやりたい」と思うのか、そのさもしい根性が情けない。

「くじ引き」が嫌なら、完全ウェーバー制度にすればいいのだ。前年日本シリーズで負けたリーグの最下位球団から順番に選手を指名していけばいい。ドラフトの見もの「くじ引き」が減るのは、ちょっと残念だが、大して意味のない「小細工」をやめさせるためにも、そうすべきだろう。



NOWAR


興津立雄、全本塁打一覧|本塁打大全

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!