私は筒香嘉智がMLB移籍に至る経過を見続けてきた。
毎年、堺ビッグボーイズで子どもたちを前に熱く語る筒香を見てきたし、彼がMLB挑戦に至る過程も見てきた。質問もして彼の熱い思いも確認してきた。筒香のときでも、私は成功する可能性はほとんどないと思っていたが、それでも多少は期待し、そしてがっかりした。
同時にMLBに挑戦した秋山翔吾は、筒香よりもさらに惨めな成績だった。

鈴木誠也は今のところ成功とも不成功とも言えないが、NPBからMLBに挑戦した打者で、うまくいったと言える選手は極めて少ない。

過去の18人のNPBとMLBの打撃成績を併記する。右端には打率と本塁打率(HR/G)の変化も示した。

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MLBで3000本を打ったイチローも含め、ほとんどの選手が打率を落としている。平均で85%、田口壮だけがMLBでの打率の方が上だが、彼は外野のスーパーサブであり、打率が期待された選手ではなかった。

本塁打率に至っては、平均で42%、長距離打者が中距離以下の打者になっている。NPBでのホームラン記録はMLBではほとんど信用できない。

唯一の例外が大谷翔平だ。彼は打率こそ下がったが、本塁打率はNPBの倍近くになり、MLBでも屈指の長距離打者になっている。

彼は間違いなく「MLBに行ってから成長した」のだ。NPB時代とは別の選手になっていると言っても良い。それができたのは、大谷の資質もあるが、23歳と言う「出世前」の年齢で移籍したことも大きいだろう。心身ともにまだ柔軟に変化できる年代だったのだ。

これらの数字から見えてくるのは、吉田正尚のMLBでの打撃成績だ。打率が85%、本塁打が42%になるとすれば、今季打率.335、21本塁打だった吉田は、打率.285、9本塁打になる。この成績でも守備や足があれば、MLBで生きていけるが、吉田は外野守備、走塁ともにNPBで平均以下だ。筒香嘉智とほぼ同じ程度。これではレギュラーはおぼつかないだろう。

筒香はポスティングシステムを利用してレイズに移籍した。2年1200万ドルの契約で、球団には240万ドルのポスティングフィーがしはられた。
秋山は3年総額2100万ドルでレッズにFA移籍した。

筒香、秋山ともにNPBでは手にすることのできない巨額の年俸を手にした。失敗したとしても、使わなければ一生楽に暮らせるような金額を手にすることができるのなら、それもまたよしとは言える。

筒香、秋山が比較的高い評価でMLBに移籍できたのは、大谷翔平の活躍が背景にあったと思うが、吉田正尚の場合、ほかならぬ筒香、秋山の不成績で、吉田の評価はダダ下がりになっているはずだ。

単年契約で200万ドル程度、ポスティングフィー100万ドル程度ではないか。あるいは買い手がつかない、マイナー契約しかオファーがない可能性もあろう。

「やってみなけりゃわからない」「夢をかなえさせてあげよう」みたいな意見は重々承知だが、可能性がほとんどない挑戦なのが分かっていながら、もろ手を挙げて賛成する気にはなれないのが率直なところだ。

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1982・83年松沼博久、全登板成績

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