左わき腹を痛めた山本由伸のWBC参戦に暗雲が垂れ込めて、その代わりにダルビッシュ有が参戦するという話が出てきた。
総大将の若武者の出陣ができそうになくなって、ベテランの大御所がおっとり刀で駆けつけまする、みたいな図式である。「お家の一大事」みたいなことか。

長引く「野球人気低迷」の中で、2006年にスタートしたWBCは、日本の野球人気を掻き立てる「独参湯」のようなものになった。
2006年、2009年と優勝して「世界一」になったことで、WBCは「プロ野球の甲子園」のようになっていった。テレビ朝日お得意の「絶対に負けられない戦い」にもなって、メディアは大騒ぎするのだ。

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しかし世界の参加国がすべてそうではない。韓国は日本への対抗心から結構盛り上がっている。台湾は、八百長によるダメージの開発途上にWBCの台湾ラウンドで多くの観客を動員し、人気の起爆剤になったので、力こぶが入っている。
しかしアメリカは、創設当初は「エキシビションゲームの一つだろ」みたいな認識で、多くの選手は無関心だったし、球団オーナーは「大型契約の選手がペナントレース以外で怪我をされてはかなわない」と主力選手を出さなかった。MLB選手はアメリカだけでなく、ドミニカ共和国やベネズエラなど北中南米の国から出ているから、そういう国もMLBのトップ選手が出場することはなかった。
日本は、WBCの最大のスポンサー国であることもあって、イチローや松坂大輔などの出場が認められたが、2回目までのWBCは、参加国の選手の中身を見ればとても「野球のワールドカップ」と言えるような代物ではなかった。日本、韓国などアジア勢だけがシャカリキになっていたから勝てたのだ。

しかし第3回あたりからMLBも限定的ながら一線級の投手を出すようになった。そうなると、日本はもう勝てない。2回連続、アメリカラウンドの初戦で敗退した。

今回は、MLBはさらに本腰を入れてWBCに取り組むようだから、日本が勝てる可能性はさらに低くなるだろう。

しかしMLBは、それでも「怪我のリスクを顧みず」選手を派遣しているわけではない。特に大型契約をした先発投手の起用は極めて限定的だろう。「勝った方がいい」とは思っているが「絶対に勝たなければ」とは思っていない。

日本はWBCとなるとまなじりを決した顔になるが、WBCでの無理のし過ぎがもとで、松坂大輔がまともに投げられなくなったことを考えても、むきになってはいけない。
重要な大会ではあるが「絶対に負けられない」わけではない。最近のアメリカとの「格差」は確実に広がっている。そんな中で、日本だけが無理をして選手が怪我をしたり不振に陥ったりしないように調整してほしい。

栗山英樹監督は、ダルビッシュ有、大谷翔平、佐々木朗希、千賀滉大と、かつてない豪華な投手陣を使う指揮官になりそうだが、彼らの「将来性」を削り取ることなく「ほどほど」に使いまわしてほしいものだ。


NOWAR


1982・83年松沼博久、全登板成績

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