ロブ・マンフレッドと言う今のMLBコミッショナーは「時短」に異様な熱意を燃やしている。敬遠四球を廃止して申告敬遠にしたのを皮切りに、ワンポイントリリーフもやめた。そしてピッチクロックである。
2020年からMLBでは
・投手は最低でも打者3人もしくはイニング終了まで投げ切る必要がある(負傷などを除き)
と言うルールになっている。2死から上がって1人投げることは可能だが、1死からだと2人、無死からだと3人と対戦しなければならない。
NPBにはソフトバンクの嘉弥真新也のように、56試合に登板して27.1回しか投げていない投手がいる。彼は典型的なワンポイントだが、MLBはこれはできない。このルールはNPBでは導入していないが、WBCでは適用される。救援投手が不振でも簡単に降板させられなくなっている。
これも、侍ジャパン指揮官は頭に入れるべきことではある。

2023年からMLBではピッチクロックを導入した。

・投手は、ボールを受け取ってから、ランナーがいない場合は15秒、ランナーがいる場合は20秒以内に投球動作に入らなければならない。これに違反した場合、自動的に1ボールが追加される。
・打者は、制限時間の8秒前までに打席に入っていなければならない。これに違反した場合、自動的に1ストライクが追加される。
・走者がいるときに、投手が牽制や投手板を外した場合、制限時間はリセットされる。


審判が大変だ。カウントを数えるインジケーターだけでなく、投球間隔の時間にも気を遣わなければならない。
投手にも打者にも永年続けてきた「間合い」のようなものがあるが、これをいったんリセットしなければならない。これも大変なことだ。
幸い、WBCには適用されないが。

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投手も打者も感覚が狂って、成績が下落する選手が出てくるだろう。日本人は器用だから適応できる選手が多いだろうが、MLB選手の中には感覚が狂って大不振に陥る選手も出てくるのではないか。

「申告敬遠」「ワンポイント廃止」によって、試合時間が短縮された事実はない。2021年にはMLBの平均試合時間は3時間10分を超えて最長となった。
ピッチクロックはマイナーリーグではそれなりに効果があったようだが、MLBではどうだろうか?

試合時間が長引いている原因はいろいろあるが、「投手の分業化」によって、1試合当たりに投げる投手の数が増えたことが大きい。さらにイニング間のインターバルの短縮が進まないことも大きい。この時間は「CMタイム」であり、放送局側が短縮に難色を示しているのだ。
国際大会になどではCMタイムがあるために、審判がプレイボールの声をあげられないこともある。

選手や試合にしわ寄せするよりも、こっちの方が大事だろうと思うのだが。
MLBでは、時短の対策として7イニング制や3ボール制なども検討されているようだが、こうなると「本末転倒」だと思う。


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1960~62年柿本実、全登板成績