私は十代のころからスコアブックをもって球場に行っていた。試合が始まればスコアをつけながら、時に写真を撮りながらずっと野球を見ている。ビールは1杯だけ飲むが、トイレに立つこともほとんどない。プレーボールからゲームセットまでずっと座っている。
WBCでもそういう調子だった。WBCは通し券でずっと同じ人が隣にいたが、段々に私が「そういう人だ」ということがわかって「すいませんね」とか気を遣ってくれるようになった。

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野球について書く仕事だから、パスを取って記者席で見ればいいという人もいるだろう。
私も一時期そうしたことがあるが、パスを取るとネット裏とかにある記者席に座らないといけないし、写真を撮るのもダメだ(私は西武ドームでめちゃくちゃ怒られたことがある)。それに申請したメディアにしか書けない。
私たちは試合のたびに取材申請をしなければならないが、スポーツ紙の記者は毎年「NPBパス」を発給される。実はNPBパスを持っている記者の中には、こっそりと別のメディアに無記名で記事を書く人がいた。アルバイトだ。このことがNPB12球団広報担当者の会議で問題になって、取材者とメディアの紐づけが強化された。それもあって窮屈で仕方がない。ブログに書くことまでは言われることはないだろうが、それでも気持ちが悪い。
それやこれやで、試合の取材申請はしなくなったのだ。お客さんだからどこででも大っぴらに観戦できるのだ。実はそういうライター、結構いるのだ。
取材申請するのは春季キャンプだけと決めている。

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ただその観戦スタイルは異様ではあろうと思う。ここまで根を詰めて試合を見ている人はそんなにいないとは思う。
しかし、昔はたくさん見かけた「スコアをつけて観戦する人」はすっかり見なくなった。私は成美堂出版の一番小さいスコアブックを年に5~6冊使うが、神宮の学生野球ではそういう人をちらほら見るもののプロ野球ではほとんど見なくなった。中には「それは何ですか?」みたいな人も多い。

そして試合の最中でも頻繁に席を立つ人が非常に多い。男の場合、多いのが煙草だ。定期的に行ったり来たりするのは大体スモーカーだ。香ばしいにおいを漂わせて帰ってくる人が多い。
それ以外にも食べ物を買ったり、気分転換にうろうろする人がいて、通路は常に人が行きかっている。ま、野球場とはそういうもので、私の目の前をうろちょろする人がいない限り、別に気にはならない。

応援団の近くにはいかない。一度そのど真ん中で観戦をしてえらい目に合ったからだ。

最近目立つのは、スタジアムの上の方にある「個室」から試合を観戦する人だ。何万円もするシートで、食事やお酒を頼めば持ってきてくれるような特別席だ。そういう部屋には、モニターがあって、目の前の試合の映像を流している。個室の客はそのモニターを見ながら食事を楽しみ、ホームランなどビッグプレーが出たときだけバルコニーから身を乗り出して球場を見ているのだ。
何が面白いのか、私にはよくわからない。

しかし新設のエスコンフィールドも含め、こうした「特別席」を設けるのは今の球場のトレンドになっている。富裕層を取り込むことが今後の課題だからだ。
彼らは「試合の雰囲気を楽しむ」だけに野球場に来るのであって「話のタネ」になればよいという程度のファンなのだ。

プレジデントのここまでアクセスが悪いスタジアムは見たことがない…日ハム新球場「エスコン」大失態の根本原因はこういうお客をイメージしているのではないか(ひょっとするとこの記事、削除されたのではないか?)。

野球の将来のことを考えれば、そういうお客も大事なのだろうが、私は古いお客のままでいたいと思う。


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NOWAR


1960~62年柿本実、全登板成績