昨日、昼夜2試合見て、ともにスコアは7-5で好勝負。試合時間も3時間ちょっとで何とか我慢できる長さではあったのだが、昼の阪神―中日戦の方が圧倒的に楽しかったし、集中できた。応援団がなかったからだ。
野球というのは、細かな作戦もあり、心理戦もあり、流れもある。選手起用の綾もある。先が読めないストーリーを予想するのが楽しいのだが、応援のある試合では、いらない言葉が勝手に耳の中に入ってきてしまう。試合展開を見ていれば「ここで安打が欲しい」「本塁打が出ればいいな」みたいなのは誰もが分かるわけで、それにかぶせて大音声で「安打、安打、なーんたら」とか「ここで一発なーんたら」とかはいらない。「わかっとるわい!」と言いたくなる。

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野球という複雑なゲームは、見る側もいろいろ想像しながら見ることができる。スコアをつければストーリーをより克明に読むことができる。そこが面白いと思う。「筋書きのないドラマ」とはまさにこのことではあろう。

例えばテレビドラマで、応援団の声が副音声でくっついていたらどうなるだろうか?

「逃げるは恥だが役に立つ」で、 星野源(津崎平匡)、新垣結衣(森山みくり)がいい感じになったときに、
「やってまえやってまえ星野」とか「今日こそいけよつーざーき」みたいなのが聞こえてきたら、どう思うか?より盛り上がるか?

「鎌倉殿の13人」で、源頼朝(大泉洋)が次々に権力者を粛正するシーンで
「殺せ、殺せ、よーりとも」とか「こいつもやってまえ、おーいずみ」みたいなの、いるか?

「半沢直樹シリーズ」のクライマックスで
「土下座、土下座、おーわだ」とか「倍返し、倍返し、はーんざわ」とか、うるさくないか?

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そんな馬鹿な、というかもしれないが、野球観戦の応援団というのは、みんなが一生懸命集中して見入っている「筋書きのないドラマ」の「筋書き」を頼まれもしないのに、大声で叫んでいるのだ。しかも最も陳腐な筋書きを。

アメリカのチャントはもっと単純で「盛り上がろうぜ」「さわごうぜ」というものだ。それもうるさいが、球場全体でやったりしないし、試合の間中ずっと続けたりはしない。

台湾は「アッタラアター(安打、安打)〇〇」、韓国も「アンタ、アンタ(安打、安打)〇〇」と連呼している。これは日本の影響であり、東アジア独特だと思う。

応援団は「走者進めろ、ゴロゴー」とか「カウント見てやれエンドラン」「ファーストストライクから打っていけ」みたいな細かな声援はできない。馬鹿の一つ覚えみたいに「安打、安打」「ホームラン」「もってこいもってこい」だ。
その単純な連呼が、複雑なスポーツである野球の魅力を半減させているのだ。

野球の細かなストーリーの起伏を、サンドペーパーで削るようなことをしているのだ。

無視しようと思っても、この大声は耳に入ってくる。応援団にいたって野球に詳しくはならないだろう。彼らは野球をダシに騒ぎたいだけなのだから。こんなに面白いゲームなのに。


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