52-0の試合のコメントには「まともに野球ができるチームだけでやるべきだ」とか「そういう奴は軟式でもやってろよ」みたいなものが散見された。
日本の野球ファンは「凄い選手、うまい選手が大事で、あとはどうでもよい」という考えの人が本当に多い。
「目の前の野球」だけにしか興味がないようなド素人のファンにしてみれば「へたくそなんか、どっか行けよ」ということかもしれないが、へたくそが野球できない状況が今後も続けば、高校野球もそれ以下の野球もどんどんシュリンクしてしまう。大事なことは「へたくそでも野球を続ける選手を増やす」ことなのだ。

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実は高野連もその認識が希薄だ。今は、ほとんどの都道府県でシード制を敷き、強豪校同士が当たらないような配慮をしているが、一方で合同チームや万年初戦敗退の弱小チームについては適当に振り分けているだけだ。「お前らどうせ初戦で負けるんだから、適当にやっとけ」という気持ちがにじみ出ている。

今は「子供のころに全く野球をしたことがない高校生が大部分」という時代だ。サッカーは近所にクラブがあったり、フットサルのチームがあったりして一度は経験している子が多い。バスケットボールも普及活動が盛んにおこなわれている。
しかし野球はこうしたアプローチが本当に弱い。12球団本拠地ではNPB球団の「指導普及部」が普及活動をしているが、それ以外の地域では少年野球がどんどん減っている。
指導者は高齢化が進み、知識も技術もアップデートできていない。いまだに「俺の指導が嫌ならやめろよ」という馬鹿な指導者がたくさんいる。そういう指導者が煙草を喫いながら罵声を浴びせるのを見て「野球は絶対させない」というお母さんもたくさんいるのだ。

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野球というスポーツは「小さい頃からやっていた方が有利」とは言えない。子供のころに肩肘を酷使すれば投げられなくなることも多いし、走り込みや筋トレなどをやりすぎると骨端線が閉じて、背が伸びないことも多い。中学や高校から本格的に野球を始めて、プロの一線級で活躍している選手もたくさんいるのだ。そういう子どもを「へたくそ」だからと排除していては、人材がいなくなってしまう。

今の野球指導者もファンも「目先の勝利」に固執しすぎている。高校野球の強豪校には「才能を先食いして」立ち枯れ寸前になっている選手がたくさんいるのだ。その一方で現時点では「素人同然」ながら、大きな伸び代を持っている選手もいるのだ。
今、へたくそだから「どこかよそでやれよ」というのは、本当に浅はかな態度だと言えよう。

「へたくそでも野球が好きでたまらない」選手がたくさんいる中から、ほんの一握りの「スター選手」が出てくるのだ。その法則は今も昔も変わらない。

0-52で惨敗したチームから、優秀な選手が出てくる可能性はゼロではないのだ。


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